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列を成す
車の息にむせ返り
雲は咳き込み五月雨を吐く
一
胸と背中に挟まれた
狭い胸郭のお立ち台で
夜もたけなわと、踊る心臓
ドックドックと五月蠅くて
寝返りを打つベッドの独り身
いっそのこと、止まってくれれば
永遠の眠りに ....
一
目ざめの雨音が
昨日の悲しみを洗い流す
クズと呼ぶ声、狂った手もと
外した目論見、無残な成果
傘を置いたまま外に出て
頭から水に打たれると
体温と記憶とが
皮膚から剥が ....
一
僕らが互いに
傷つけあうことで
互いの心に
拳を打ちこむことで
五月の空に
広がっていく亀裂
それは、樹のようにも見える
幹の下から仰ぎ見る
真っ白な枝の広がりに ....
春に恋して
夏に遊んで
秋に耽って
冬には眠る
人生、そんな風に
四季を巡りたいもの
とりあえず
春を振り返ると
新しい教科書
風が捲ったページから立ち昇るのは
影を煮 ....
膨らんだ
腹と裏腹の虚しさが
溢れて伝う
涙一筋
思い出は寄り添う
犬のように
抱きしめ、
愛おしむことができる
そんな記憶だけを
私は飼っていたかった
だが因果なもので、心の眼というのは
暗く忌まわしい思い出の方に
向いてし ....