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うつろいを風で知る
突然キンモクセイの香りが通り過ぎて
ふるさとのまちなみをおもいだす
大切な人を喪って
もう何十年と経っているのに
まだちゃんと立ち直れないの と
彼女は言った
あ ....
ぼんぼりが灯る参道すれ違う人のひとりがあなたのようで
いつだって食べきることができないでもて余すのに追憶を買う
はかなさとうつくしきこと金魚釣り尾ひれ胸びれ赤い焔よ
人波をぬければ路 ....
お寺の境内の一角、緑の葉が繁り、そのところどころで小さな可憐な花が咲いている。
その紫色を見ているとなぜか懐かしさでこころのうちがあたたかくなる。
「萩の花だわ」
すれ違っていく観光客の会話でそ ....
初めて訪れた街で
かわいい二両編成の電車に出会う
道路のいたるところに
その線路が巡らされているようで
はっと気づくと踏切の直前
一時停止しそこねる
運転する身としては
なかなかあなどれ ....
小さく咲いたバラは
小さく散っていく
はなびらは
真新しいももいろの紙石鹸みたいに
つややかなのに
一度も泡になることもかなわず
埋葬されないいのちだったもの
うつし世に迷い込んだ
黒 ....
さらさらと雨はふる
そんな日はるすばんだった
家の人がいなくなると
いくつかのへやがあらわれて
ぼくをまっていた
ぼくがひとりになるのをまっていた
孤独のかんむりをかぶり
手の中にはたっ ....
からりと晴れた
あさ、きのうまでのあめかぜがうそのように
ジンジャーホットティーはからくてあまい
のどをとおりすぎるとき
ギフトのように細胞にしみた
暑さをまいとし更新するような夏
この夏 ....
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