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いつかこの世界が終わるなら
それは夏の終わりのようであればいい
光と熱はなおも強く地上を
支配しようとしているけれど
加速度をつけて日暮れは早まってゆく
僕らは睡くなってゆく

漂ってい ....
光の骨をなぞる指のことを もう思い出せない

言葉を思いかえすほどに
少しずつずれて嘘になってゆく
そのグラデーションをせめて美しく
夕映えに織り込んで
待っているうちに
身体は闇の鱗で ....
最初から廃墟だった場所で
最初から破片だった言葉を
拾い集め交わし合う
それは破片だから
時に自らを 誰かを
傷つけてしまう

しなやかで
すきとおる思惟で
編み上げられてゆ ....
僕らをつなぐものは
あの哀しみの聖地だけ
もう今はたやすく訪れることもできない
あの場所の記憶だけ

今頃はまた あの場所をふちどるように
菫が咲いているんだろう ちいさな光を纏って

 ....
君と僕とのあいだに
置きたい言葉があるとして

それはいつも最初の言葉であり
最後の言葉

初めての言葉であり
いくたびも繰り返されてきた言葉

すでに過ぎ去ったこと
あるいはいま ....
思惟のふちから
言葉が崩落してゆくとき
僕は君の夜を抱き
君は僕の夜を抱く

その暗い球体の中に
守るべきすべてが
あるかのように

たとえばそこに
紅い薔薇
暗さの中では
も ....
踊っている
{ルビ歪=いびつ}な星の上で
バランスをとりながら
踊っている
踊っていないと
この星からこぼれ落ちるから
どこなのかわからないどこかへと


この星は歪でなかったとい ....
壊れた
あるいは
壊した季節
散らばる破片を
君は今は
振りむかずともよい

君が遠くを歩いているあいだに
それをそっと
継ぎ合わす手がある
月と星の光を熔いたもので
ひとつひと ....
あまりにも純粋で
故に{ルビ果敢=はか}なく捉えがたく
けれど
強く深く

轟きでもあり
静寂でもあり

満ちあふれ
けれど虚ろで

鋭く
けれどやわらかく

かぎりなく甘 ....
すべての夢が燃え尽きたあと
僕と君とはふたたび会うだろう

そこには静かな風と
穏やかな光があるだろう
そして僕は
もはや語らないだろう
叶った夢のこと
叶わなかった夢のこと

た ....
君の言葉と沈黙をたどる
僕の言葉と沈黙とで
その感触をさぐりながら

そうすることだけで
行ける場所があると
いつからか――

記憶の海より深く
予感の空より遠く

その道のりで ....
僕らは彼方で会う
今此処で会うための身体に背いた僕らは
彼方で会う

今此処を縛る身体に縛られない僕らは
彼方で会う いつでも

いつまでも
僕らは互いに彼方のまま
何度でも会う
 ....
優しい崩壊がはじまっていた
あまりにも優しいので
感じるべき痛みを
感じることができない

あまりにも無垢な幻想が
あまりにも無垢なまま
此処を通りすぎることはできず
幾重にも折り畳ん ....
濃い青の空に
白い雲の城砦がいくつも立ち
なかぞらを埋めつくす蝉時雨
他のどの季節にもない濃密さで
夏は君臨する

けれどその夏の中に
巨きな空洞がある
夏のあらゆる濃密さが
そこで ....
亡びたもののあかるさが満ちる夏の庭
もう誰も時刻を読むことのない白い日時計
茂みに囲まれた小さな池

茂みをざわめかせていた風がやむと
あちこちの陰にひそんでいた気配たちが
(それが何の気 ....
君が「孤独」と名づけた場所
そのさらに奥に
小さな部屋がある

くすんだ象牙色の壁紙
いくつかの黒ずんだ木の棚
そこには本 小函 硝子壜
円い置時計 何処かの土産といった風情の
人形や ....
ささき にとさんの塔野夏子さんおすすめリスト(16)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
晩_夏- 塔野夏子自由詩6*24-8-19
水へ還る- 塔野夏子自由詩13*24-6-27
失伝説- 塔野夏子自由詩7*24-4-29
哀しみの聖地- 塔野夏子自由詩5*24-3-29
合言葉- 塔野夏子自由詩6*24-1-27
抱_擁- 塔野夏子自由詩8*23-12-19
踊っている- 塔野夏子自由詩5*23-12-5
継ぐ手- 塔野夏子自由詩8*23-11-27
THIS- 塔野夏子自由詩5*23-11-9
夢のあと- 塔野夏子自由詩7+*23-10-15
- 塔野夏子自由詩4*23-10-7
彼方で会う- 塔野夏子自由詩5*23-9-29
優しい崩壊- 塔野夏子自由詩7*23-9-19
夏の空洞- 塔野夏子自由詩11*23-8-15
夏の庭にて- 塔野夏子自由詩14*23-8-7
小さな部屋にて- 塔野夏子自由詩11*23-7-29

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