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あの日、ぼくは死期の近い人のそばにいた。基督教系のホスピスへ出入りし、ただその人の横に座っていた。モルヒネのせいで朦朧としたその人にとっての今は、50年前の初夏の昼下がりだった。そして、ホスピスは何十 .... 「雨」

夜の雨の音がする
夜の雨の音の匂いがする
いや
夜の雨の音の匂いの音がする
ちがう
夜の音がする
うん
そういうことだ


「朝」


朝のくらさがある
ま ....
「おはな」

おはなさん
おはなさん
ひとりになっても
大丈夫?


「わすれない」

おそらから
ひとつぶ
ふたつぶ
みつぶ

ふるあめが
たまったものが
うみな ....
ぼくは華麗な洋服を怠そうに着て
傷口からにじみ出る滲出液の水路を跨いでゆく。
ふたたびすべてが鋳直された火曜日や
二十億年前の晴れた木曜日や
遠い外国の豊かな安息日__などを思い出しながら。
 ....
数日まえ発達障害の当事者会に参加してきた。コロナの折り、方々尋ねてやった掘り当てた直近で参加できそうな集まりだった。遠方ではあったが行って来た。

参加者は10人程度。半分は当事者の家族で、当事者 ....
あなたの詩にはどこかしつこいところがある

押し付けがましいところがある

詩なんかぜんぜん読んだ事もない人にそう言われたことがある

あ、ちがった

あなたにはどこかしつこいところが ....
ひたすら壁にむかって投げ続けた
ひとりだった
みんな学校へ行っていた
じぶんのふるさとをこうして
時々
思い出す事がある

電車が通ると夏草がゆれた

およそ色んなものが
おもえば ....
ひさしぶりに古本屋にいき
古本をみてまわった
買う金がないのでおやじと話をした
ひさしぶりに人と話す
しかも本のことがわかる人と話すのは
何年ぶりだろう
数年前の岩波文庫の充実ぶりを褒め
 ....
空という海になれない碧の果て空どこまでも海に骨ぬき

一握の土に賑わうたましいをそっと戻して春風うらら

まあいいさどうでもいいさべつにもうとうていこんなひらがなばかりじゃ

霜とりの篦に ....
雨のおとがした

雨がようやくふっている
空から釘が降って来ます
かなしい月夜の破片のように

眼のない森に歯形を付けて
ひとり眠りにつくとしよう
たとえば
詩人は
行間に暮らすマルクス・アウレリウスだ
鷲の目で彼は
位置補正に躍起となるが
彼の魂は複雑過ぎて
民衆には手におえない
罵言と祝詞の人
それが彼
理性は上辺に過ぎない ....
月のない晩に涙の人拾う


透明の仔猫拾って新聞紙


あくびして痛む顎もつ焼き魚


満月を放って収まる腹の虫


引き潮のレコード盤と海なし県


今日というお地蔵さ ....
鳥はなんでとぶか
この謎をしるものはいない
人がなんでとべないか
これも誰もしらない

仮説を枕にみる夢は
打ち続く杭となり
惑星の地平線を覆い尽くす

繋ぎ止める物語が無ければ
 ....
信濃毎日新聞という故郷の新聞に、むかし、俳句を投稿していた時期がありました。何度も投稿したものの全部没で、一度も俳句欄に載ることはありませんでした。一度でも自分の書いた俳句が新聞に載っていたら、ど .... うつとは端的にいうと
左手を一晩中冷たい床に投げ出していても何ともないことです
何ともなくはないのですが
それでもそれはやはり何ともないことです
そこがおかしなところです
そこがかなしいとこ ....
{引用=星、片付ける
古詩はポケットでゆらし
{ルビ掌=たなごころ}に於いて
ポインセチア
聖夜の{ルビ閂=かんぬき}おろせば
樅ノ木の
{ルビ馥郁=ふくいく}
いざ
めいもくし
三 ....
{引用=とてもかなしいので
{ルビ直喩=シミリ}です
花はだからみんな
そういう詩想の末裔です
すずらんのひと房
指で弾けば
千とひびきます}
 
  {引用=みずうみに
釣り糸をたらすと
うつくしい皺が外縁へむかい
逡巡をひろげていく

魚のいない惑星では
玻璃でできた液体はとてもあおい

水べの図書館の閉架には
魚偏で ....
a iさんの道草次郎さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夕焼けの記憶- 道草次郎散文(批評 ...5*21-3-11
ついーと小詩集- 道草次郎自由詩6*21-2-23
おはな- 道草次郎自由詩8*21-2-22
ぼくは華麗な洋服を怠そうに着て- 道草次郎自由詩4*21-2-20
反射窓の印象- 道草次郎散文(批評 ...4*21-2-16
裸の王様- 道草次郎自由詩9*21-2-15
ボール投げ- 道草次郎自由詩10*21-2-11
古本屋来訪- 道草次郎自由詩7*21-2-5
飴ちょうだい- 道草次郎短歌2*21-2-3
雨の時制- 道草次郎自由詩4*21-2-2
釘降りの夜- 道草次郎自由詩8*21-1-31
詩人はどこにいるか- 道草次郎自由詩5+*21-1-30
人拾う- 道草次郎俳句321-1-29
鳥はなんでとぶか- 道草次郎自由詩621-1-28
俳句の良さについて- 道草次郎散文(批評 ...6*21-1-28
冷えている人へ- 道草次郎自由詩3*21-1-25
星に捧ぐ- 道草次郎自由詩220-12-24
すずらんの花- 道草次郎自由詩4*20-11-5
幻想と歴史- 道草次郎自由詩13*20-10-27

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