十九、までは数えた
そこから先は途切れがちになった
よく躓いてしまう君の後ろで僕は
ありふれた、馴染まないままの歌を歌った
スモールタウン、僕らがかたちになりかけた頃
この腕に抱ける言葉が、 ....
暮らすように歌う
寒ゼミの最後の声が
あかるいよるの雲の腹の
内側であふれている
世界ということばがあまくかじられて
「明日死ぬかもしれない」と
しろい猫が鳴き
び ....
「序詞」
ゆりかごの中で
小さな戦があった
理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした
けたたましくサイレンが鳴り響き
その海から人は
眠りにつくだろう
....
夕暮れの残照に透きとおる
樹々の枝葉のように拡がった
私の末梢
手のひらの静脈
幾度となく
訪問する季節を測り
文字にして書き写し
そしてこの夜の連なりへ
伸ばされた白い片腕から
一 ....
なんつーかこうこのフラットな光る画面の中を横切っていく情報のなかに含まれる暗号
みたいななものを切り取っていると
嘘をくっつけていいのかここにとか
これが本当の事だろうがこれが
みたいな
ど ....
私はインターネットで詩を書き始めてからまだ4,5年ですので、Niftyのパソ通時代の現代詩フォーラム等は知りませんが、恐らく現在のネット詩愛好者は何となくですが第4世代くらいにあたるのではないでしょう ....
1.
手紙は書きかけのままテーブルの上で黴びてゆく。
青黴、赤黴、黴の色ってそんなに単純だったかしら。
ふくりと黴が起きあがる、
まき散らされる胞子は常に薄い紫で、
私の部屋はすっかり煙 ....
生野菜が部屋を出て行く
生の野菜
それだけの理由で
ぼくらはたくさんの歯形をつけた
外では大切に育ててきたバス停が
音もなく
静かに腐っている
逝くものだけが優しいのだ、と
き ....
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=73125&from=listdoc.php%3Fstart%3D30%26cat%3D5
気にはなっていたのですが、文 ....
(一)
駅の改札を出て
長い階段を下りたところで
醜く太っていて、サスペンダーと蝶ネクタイをした
男に声をかけられた
公然わいせつ以外のすべてのこと。
世界と呼ぶには狭すぎる生活、 ....
たべかけのくっきいに
ゆうひのはがた
これは いったいぜんたい
こんせいきさいだいの なぞですぞ
そういった はかせのくちもとから
うつくしいゆうひが こぼれてる
*
わ ....
いつもほんの少しを数えたくて
それは真っ直ぐに見えない夜のために
道に帰れないその日のために
僕が、ほんの少しを数えたくて
出来るなら、そんな僕のことを
少しでも待っていてほしい、とか
....
われわれのうちの多くは、自分の脚でいろいろなことを行う。
走り、跳び、ボールを蹴り、時には自分の頭より高く脚を振りあげたりもする。
だがこれらの動作はまず、「歩く」ということが出来なければどうにも ....
四つの脚をたて
温度の低い床に
椅子が停泊している
いつまでも出航しないのは
その方法を忘れてしまったから
ではなく
航行すべき海が
椅子の内に広がっているからだ
水が溢れ出さ ....
足跡は
続いていく交差点の
その先に落ちている
踏締めるには少しだけ、遠い景色
よくありそうな一日を
(転がるように)
*
無駄なことだと、言葉にしたものと
無駄 ....
そうして
幼い僕の侵攻は
今、どれくらいの位置にあるだろう
左手をここに
全てが巻き戻る下り車線に添えて
旅のような言葉があった
細い腕で、深い夜に何かを抱えて
昇りそうな気持ち ....
森には染み渡る声が
扉を開ければ触れない写真の自転車が
東京に、はじかれれば零れていく生活が
薄い川の堤防に腰掛ける人の背中に染み付いた匂いが
襲い掛かる全てを
まな板の ....
11
「地球は二酸化硅素の体を持った生物である
ことが最近になって判明した」と
夢の中で見たプラカードに書いてあった
地球が寝返りをうった 地球がくしゃみをした
その際に起こりう ....
1
「静かの海」に移り住んで五年
いつしかぼくは
ブロード・ビジョンに映される
地球の姿を見続けていた
何も入っていない写真立てを
そっと伏せる
ゆっくりと死んでいく巨 ....
真新しく光る記号になりたい、と
ピンクのブーツをぶらぶらさせながら考えた
雨上がりのカップルは
急ぎ足で写し出されているなんて知らない
愛すべき先輩たち、がっかりしてよ
中途半端な振動がぼくを繋いだ ....
海岸に沿って並ぶテトラポットには無数のお
っぱいが隙間なく張り付いていて、朝凪の時
刻になるときゅぅるるるぅーとすすり泣くよ
うな音を立てる。声にすら成り切れていない
その音はまるで餓えた乳呑 ....
満水の夜に
感覚をとぎすませながら
無数の魚が泳いでいる
距離と、位置と、
上昇する体温と、
そういうものを
止めてしまわないように
蛇口に口をつけて
あふれ出すカルキを吸うと ....
トップスピードの悲しみ
えもいわれぬ快感に酔い痴れて
俺の身体の真芯に電流感じた
インチキでマガイモノで信頼できない心とやら
ダムの底で眠った家屋のように
いつに ....
http://hem.passagen.se/replikant/
古今の文学、映画その他の「ディストピア物」を網羅するウェブサイト。
全文英語だけどなんとなく内容がわかります。
Ingso ....
国道沿いのマクドナルドで
あなたのシルエットを買った
伝えたかった言葉で
支払いを済ませる
足りなかった文字が、あったような気がする
4時限目の鐘が
モノレールをつたって、とど ....
何かが焦げたような臭いがする
最初に気づいたのは
たったひとりの 男だった
どこにでもいるようでいて
どこにもいないような
若いひとりの 男だった
男は狂っていたのだろう
その臭いに鼻を ....
クリープ現象で
夜をすべる
アクセルを踏みそこなった右足で
有明ランプをまたぐと
すこし遅れて
あした が きょう になる
うしろへと流れる景色を手がかりに
恋人だったはずの
....
潮風にのって白髪が
飛散するのを
じっと
唇をかみ締めて
耐えていた、
(藤壺を舐める舌の痺れ)
....
昔の知り合いから電話があって
ちょっと帰ってこないかって
ナンデって聞いたら
亀ちゃんが死んだよって
久しぶりに海に下りた
なんにでもなれるような気がして
なんにもなれないジレンマ感じ ....
サハラ砂漠で夏眠中のカエルは
とてもつらい
遊牧民に掘り起こされ
厚い安らかな粘膜のシートを
乱暴にこじ開けられ
たっぷりと溜め込んだ皮膚の水分を
絞りとられるのだ
たいせつ ....
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