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わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない
わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
....
うすぐもり
ベランダから
なにを見ているんだろう
虫
鳥
雲
それとも
窓
ひとだけに
不自由がはびこる
気づくと
いつ死んだかわからない
カタツムリの
はりつめたよ ....
季節を食べ終えて妖精は床下に眠る
たてものの屋上から見える木
その枝の集まりにはカラスが眠る
昼間、子供たちに小石を投げつけられたのだ
ときおりの短い夢にぶるっと身震いしながら眠る ....
青空が言っている
死はここにあると
公園のベンチから立ち上がって
探しまわる
散歩のひと
ランニングのひと
子を連れたひと
また
ひとばかりさがしている
誰にも会いたくないの ....
ふるさとみたいな
おなかのつめたい石に
雨が降る
チャコールグレーの傘をさした
すぎやまくんに
水溶性の雨が降る
溶けていくね
好きだったのに
ほんとうは存在していない ....
バスは満員
電車も満員
ひとびとは水底に四角くならんで
青くひかる
ぶつかり合わない程度に
ゆれあい
いつか
自由になれるんだろうか
乗り物を降りると
豆腐屋が通りを ....
終わったテレビが砂嵐になっても
続いている物語
今日ごはんを噛みました
敗北者の味がしました
必要なのは
それでいいと言ってくれるひと
それとも
それ ....
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた
りーん
ちりーん
光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
霧吹きのような雨はふかみどり
胸の奥まで吸い込んで
わたしは森になる
しばらくすれば
じゅうぶんに水を含み
耳を傾ける
彼らは
永遠を指し示すこと ....
ガタゴトとはいわず
きゅうきゅうと鳴く電車
繊細な指先をもつサラリーマンとか
はこぶ電車
朝早くからごくろうさま
きのうハンカチを落とした女子高生が
あたらしい花柄のハンカチでやは ....