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久々に訪れた病院の園庭は、
十数本の桜の木が
無数の赤い蕾を膨らませていた。 

その生命力は、
春の大気に漲り震え
園庭という枠を獰猛に
突き破っていく不穏さを含んでいた。

膨ら ....
音の滴、斑点となって飛び跳ね
郷愁、遠い深みから到来する

胸掴む憧れ、未知から溢れ出し
遡行する魂、源頭の水流を浴びる

振動する大地 、脈打つ心臓
  終わることのない命
   終 ....
行くあても無く歩行する
真っ青な夜に靡く草原を

やがて月の照る浜辺に出る
遠く漁り火が燃えていて
忘却された団欒のようだ

月光がつくる海の道が伸び
僕は何処までも歩いていく

 ....
青い夜の風の匂い
君に包まれていたあの時代
虚無の底に引き摺り込まれ
虚脱しながら僕は嗅ぐ
そこに浮かび上がるものを
掴み取ろうとして

今、独り寝の床のなか
自らの熱を感じながら
 ....
何処にも行き着くことはなく
そっと明かりを灯すように
静かに確かに歩んでいる
過程にのみ意味が開き
繋ぐ意味に花が咲く
そんなひたむきな息継ぎを
ただただうつくしく晒している
(目眩くよ ....
今日高曇りの空の下、
肉を引き摺り歩いていた
春という大切を
明るみながら覚えていく
妙に浮わついた魂を
押し留めながら、押し留めながら

離れていかないように
剥がれていかないように ....
降り止まない雨が
心の奥底に言葉を溢れさせ
魂の隙間から
零れ落ちるような光滴たち
無数に煌めき散逸する
終わらない旅路の果てに
訪れるもの一つ
想い描けないなら
何億もの地上の眼を掃 ....
海はいっそう青くなり

白い皮膚を浮き立たせる

歌う女の眼差しが

いつしか濡れてどよめいて

開ける銀河の流れ出す

此岸と彼岸の境界で

眩暈しながら佇立する

手繋 ....
虚空は青 穏やかに
紅梅咲く 野の道を
歩めば春 肉感の
季節は巡り 憩う心
開けた窓から雨の匂いが流れ込み
濡れていく遠い森のざわめき始めて
貴女の声は透明な水底に沈んでいく

ああ、
こんなに澄んで囁き交わす時ばかりなら
詩を書くことすら要らないだろうに
僕は ....
青い空に浮かぶきざはしは大地に伸び

雪に埋もれた彫像は白く染まり震え

剥き出しの枝を掠める風たち

光のなかを泳いでいる

すべて

沈黙した遠い森の遥かな思い出



 ....
腐乱した犬の
うつくしい歯が
その人の口から語られた時、
男根たちは騒然となり
子宮たちは安らいで
世界の終わりを迎えていた
繰り返し
欠伸と不安のうねり、

繰り返し
安定剤と躁鬱のうねり、

あるモノあるモノ
切迫し

また夜が来て夜深まり
私の宇宙を横切って
闇夜の混沌充溢し
指揮系統の不在 
 ....
開いた本の頁が
ほんのり茜に染まる頃
太陽は傾きながら爆発し続け
西空はやがて色彩渦の奔流となる
わたしは本から顔を上げ
地上の夕べの目眩く一瞬を
遠退く意識に刻み込む

夜闇が忍び込 ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている

大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
訪れる
時はじんわり
湧き出づる
そうして私は橙の
脳裡の懐かしい光に包まれ
生きている、生きている
くっきり浮き立つ輪郭と
物という物が発散する
確かな響きに包まれて
活きている、 ....
銀輪の
跳ね返る
光の束
眩しくて
ガクンと揺れた
視界の先
道行く人の
後ろ背に
未知悠久の
時、踊る

あゝ何もかも
渦巻いて
異郷となって
迫り来る
この懐かしい
 ....
歌声が聞こえていた
夢のなか
濡れるようなヴィブラート
君の弟だと紹介された
いがぐり坊主に白のTシャツ
別世界の住人みたい
僕たちはすぐに打ち解けた

萎れいく花々
目醒めてみれば ....
また夜が来て
まだ私は生きていて

堆積した記憶の回収不能
後頭部辺りから凹んでいき
何一つ思い出せない
何一つ思い出さない

)モノクロームの響き充満し

また夜が深まり
まだ ....
永遠からすれば
一瞬に過ぎない
この今を
落ち続けている
この俺は
奈落の底まで
落ちて行く
後少しで
叩き付けられる
俺の体が
叩き付けられる

時間は普通に流れている
空 ....
知覚感覚が
空の彼方を震えさせ
海の底を掻き回しても
それがいったい何だと言うのか
僕には大事な夢がある
胸震わせる予感がある
たとえ旅路が終末でも
置いていけない憧れ持ち
五感の海を ....
夢の夜空に星々は
巨大に不穏に輝いて
渦巻く星雲が三つ四つ
眩めく明るさに発光し
それぞれの存在を鮮やかに
闇のスクリーンに穿っている

夢の夜空はやがて刹那
一つの艶かしい発光体とな ....
静けさ
ちょこんと
座っている
気付けば
夜底に
座っている

私は寝床を整える
不眠の夜を払うように
新しいシーツで敷布団を包み
黄色い朝の喧騒に
心の奥処の祭壇が
荒らされ ....
夜は虚ろなくらげ模様
太古の姿に後退し
触手で宇宙と交歓する
共感したり反感したり
寄り添ったり離れたり
形象渦巻く意識の中を
ふわふわふわふわ渡ってゆく

(表象意識は鈍くなり
わ ....
夜が深まっていく
連絡がつかない、繋がらない
隣室からコツコツと壁を打つ音、間欠的に
遠くの森を手繋ぎ歩いた愛娘は
青春を謳歌しているだろうか、今頃

夜が深まっていく
オレンジジュース ....
一つの生をたずさえて
一つの詩をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く

)今は何もせずぼうとして
)うねる夏の光を夢見ながら
)美しく深まっていく世界を信じ

 ....
よる
あふれる
かなしい
ゆめだけ



あさ
こぼれる
いとしい
ことばだけ



ひる
みちる
うれしい
ひかりだけ
気が遠くなる
丸い三角や四角が浮かぶ
この静けさに包まれ
気が遠くなるよ
やがて深く沈んでいくんだ
この静けさに呑み込まれ

静けさの
深淵が奏でる
 全て諦めたとき
静けさが
 ....
白く燃えている
白く
詩の言葉のなか
わたしはもはや
この世の物ではなく
白く燃えている
白く


純白の壁取り囲む
純白の壁走る
純白の耳鳴り
純白に総毛立ち

体が空だ ....
  *

新年の夜が深まり
姿を持たぬ思考たち
五感の縛りから解き放たれ
星空の下で踊り出す
遠い過去へと遡行する
魂の営みの始まりだ
透明な窓辺で落ち合って
僕ら、それぞれの旅に出 ....
道草次郎さんのひだかたけしさんおすすめリスト(132)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
見えるもの・見えないもの(改訂)- ひだかた ...自由詩921-3-12
螺旋- ひだかた ...自由詩7*21-3-10
歩行- ひだかた ...自由詩12*21-3-9
青い夜の風の匂い- ひだかた ...自由詩521-3-7
永遠- ひだかた ...自由詩421-3-6
今日この春日に- ひだかた ...自由詩421-3-5
Across_The_Universe- ひだかた ...自由詩5*21-3-2
願い- ひだかた ...自由詩321-2-21
初春- ひだかた ...自由詩4*21-2-21
無垢と復讐- ひだかた ...自由詩1121-2-20
思い出- ひだかた ...自由詩521-2-17
うつくしい歯の神話- ひだかた ...自由詩721-2-16
闇夜- ひだかた ...自由詩4*21-2-15
夕べの一瞬- ひだかた ...自由詩421-2-15
〈根源悪〉の原体験(改訂5)- ひだかた ...自由詩421-2-12
イキテイル- ひだかた ...自由詩821-2-11
異郷に揺れて- ひだかた ...自由詩521-2-9
メタモルフォーゼ- ひだかた ...自由詩421-2-8
記憶喪失- ひだかた ...自由詩521-2-7
人生と信- ひだかた ...自由詩421-2-4
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静けさ、ちょこんと- ひだかた ...自由詩12*21-1-30
幻視くらげ2_夢我- ひだかた ...自由詩521-1-29
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推移- ひだかた ...自由詩521-1-25
後もう少し- ひだかた ...自由詩821-1-24
反転記憶〇赤チン小僧- ひだかた ...自由詩421-1-22
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