すべてのおすすめ
雨時計とは雨のふる街をさす
誰もが知らないふりをしたことだが
秒針は環状線のアシンメトリーに似ていた
夜、神話としての男と女が踊り出すと
点と線をむすぶようなあいまいさで
ビニール傘 ....
かえらぬ人々の
かつてかえっていった道を
あるく
うらぶれた街のシャッターには
等高線のかげがかかる
どこよりも遠い落日にてらされて
石室めいて閉ざされた家々の
木立のな ....
水の声を聴くがいい
水面のゆらめきに影をとられ
なお掴みがたきひとよ
あなたもまた歴史の谷を
流れる水の影なのだ
水は石理を濡らし
戦禍をまたぎ
あなたの口を潤した
だがこの水 ....
トルソの夕焼けに
切断された四肢の休息を
みるものはない
石理から拭きとられた水も
砂漠をこえ ひとをこえ
高低をのみほしてきた
砂時計はアシンメトリーである
あらゆる風と雲 ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る
列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく
だがひとえに言ってしまえ ....
昏い海の波間で
人魚にもなれなかった
青白き亡霊たちは
海よりも深い森のなか
銀竜草の霧のなか
木漏れ日のような朝露から
こぼれ落ちたのだ
月の投げた銀の網が
のたり、と揺れて ....
どこまで漕いで行こうか
こんなにも暗い夜だ
幽かに揺れている水平を
描いているのはいつの波紋か
この舵だけが覚えていることだ
銀の月が爛々と眩い
溶けているのだな、おまえ
うつくしく ....
雨と雨との距離を測りかねて
戸惑いに揺れる傘は
五月の鋭敏にやられた心です
ビル街はところにより墓地のよう
予報どおりに雨は止みました
枯れかけた花束の空ですけれど
新緑が瑞々しいですね
....
まぼろしである
しとどに濡れる街が
明滅する赤信号が
交差点にあふれた人びとが
舗装された道路の窪みが
まぼろしである
底のすりへった靴が
歩道橋の一段目が
つらなった改札の狭 ....
太陽がとおく大洋の彼方を翔ぶ。
あらゆる波には
千々の銀箔が散りばめられていた。
不滅の翼などはない。
宙に驕った罰であろうか、
この黄金には蒸発さえ赦されない。
落日。
あ ....
海に近づくと一瞬の真空がある。
漣は失望のように浜辺につもり、
明日を生きる人は海を捨てた。
漂白した回想が水泡となったころ
海は思い出したい人を抱いて、
漣はやはり、つもるばかり。
....
ryinxさんの新染因循さんおすすめリスト
(11)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
雨時計
-
新染因循
自由詩
12*
21-10-21
楕円のエッチング
-
新染因循
自由詩
9*
21-8-13
水の声(改)
-
新染因循
自由詩
6*
21-8-8
断章
-
新染因循
自由詩
5
21-2-26
海のパース
-
新染因循
自由詩
16*
21-2-25
月(2)
-
新染因循
自由詩
6*
19-7-2
月
-
新染因循
自由詩
17*
19-6-22
五月の鋭敏
-
新染因循
自由詩
9*
19-6-14
まぼろしである
-
新染因循
自由詩
10*
19-1-15
傲慢の火
-
新染因循
自由詩
6*
18-12-10
沈黙の海
-
新染因循
自由詩
5*
18-11-25
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する