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想い出したように
鳴る
風鈴が
躊躇うように
あなたが
幼い頃の話をする時のように
鳴る
風鈴が
逃げる風を追い駆けようとして
諦めたように
鳴る
あなた ....
いつまでも
想い出にならない夏
痛くもなく
ただ痺れていただけの夏
ぽとり
昨日の端から
呆気なく零れ落ちたわたしは
黒い服を着せられ
どこかが
痛いような顔 ....
ときどき船になる
ただ流されるだけの
木の葉ではなくて
川を下る船になる
くぐった橋を数えるだけの
泡ぶくではなくて
時を忘れた船になる
舳先にとまったユリカモメ ....
今の風は何色だった?
耳のうしろで
あなたの声が聞こえた気がして
振り返ると
早咲きの桜が咲っていた
雲って風の言葉なんだっけ?
そんな気障を
言ったつもりはないと笑いな ....
猫が液体なら
花は気体だ
空が固体なら
あなたは液体だ
あなたは卵を茹でながら
何処へ行こうか考える
アンドロメダは遠いけど
映画館ならすぐ行ける
あなたは景色で映画を選ぶ
....
「0」を探す旅は続く
一昨日も今日も
おそらく明後日も
「0」は見つけづらい上に
なかなか手に入らない
排水溝の鉄格子に引っかかっていたり
街路樹の枝先で揺れていたり
さ ....
坂を下りながら考える
答えの出せないあれこれ
ぼんやりと迫りくる YES/NO
一歩ずつせり上がる街
視界の隅に追いやられる空
さざめきが耳たぶを染める頃
わたしは街に均されている ....
左手に溶けたアイスクリーム
右目に遠ざかる稜線
風の音しかしない口笛
右足で蹴ったゴミ箱
左耳で聞いた流行歌
海の匂いしかしない溜息
右手は枯れたサボテン
左足は錆びた自転車 ....
駄々をこねて
手に入れたものは
すべて行方知れず
罪の数と罰の数が
同じでないと知ったのは
ずいぶん後になってから
誰かのために摘んだ
花の毒に侵されて
薬指を枯らした
....
未だ血圧の上がりきらない朝
乳白色の靄がかかった意識の西側から
コーヒーの香りが流れ込んでくる
オールを失くしたボートさながら
廊下をゆうらりと彷徨いながら
食卓のほとりに流れ着く
....
ryinxさんの夏井椋也さんおすすめリスト
(10)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
風鈴
-
夏井椋也
自由詩
13*
25-7-12
想い出にならない夏
-
夏井椋也
自由詩
15*
25-7-5
船になる
-
夏井椋也
自由詩
13*
25-5-31
風について
-
夏井椋也
自由詩
8*
25-3-9
液体
-
夏井椋也
自由詩
10*
23-10-4
「0」を探す
-
夏井椋也
自由詩
7*
23-8-5
坂
-
夏井椋也
自由詩
6*
23-8-1
私
-
夏井椋也
自由詩
5*
23-7-28
此処
-
夏井椋也
自由詩
6*
23-7-24
食卓に朝を置く人
-
夏井椋也
自由詩
14+*
23-7-15
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