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n'est plus l'impromptu, déjà
一階の角部屋を覗きに行く
カーテンのない窓から室内がよく見える
六畳の板の間の隅に
サ ....
川縁に壊れてあった
あの洗濯機
蒸し暑さに立つ{ルビ寒疣=さぶいぼ}の肌を撫で
何者でもなく
何者である必要もないらしいこと
{ルビ寒疣=さぶいぼ}の肌を撫で
自室を出る前に
緑黄色野菜 ....
転がっていく
林檎が
レモンが
いっしょうけんめい転がっていく
いつか終わる坂道で
かけっこのように追いかけあって
いきいきと
私はからっぽになった紙袋をさげ
なんとな ....
神社の鳥居の下で倒れた
おじいさんに若さをあげたい
もう何も言わない
ぴくりともしない
髪の毛一本が風でふわりと飛んでいく
光れる救急車が
ぜえぜえ言いながら交差点を曲がり
絶叫しながら ....
工事現場の作業音は窓越しに聞こえる
家を出る時 ドアを閉めるとその音は ドアの外の俺には聞こえても 家にはその音は聞こえないという
世界とそういう関係性にあることを いつも通り確認したら
鍵を閉 ....
僕たちはシャボン玉よりほんの少しだけ頑丈にできている。
超構造を覗き込み続ける勇気こそが僕たち野良犬の一つの愛だ。なんて、
そんな神様みたいなことをぼやいたって野良犬は非神様に過ぎないのにね。
....
そう
せめて、こういうことでありたい
ノートと鉛筆 2本の脚と
このへちまの頭
歩く 歩く
歩く へちま
このへちまは
最近、物を語ることが
すっかり苦手になって
嘘を ....
崖のうえで
いまやっと
生きている気持がする
はだかで
つめたく嬲られて
ごつごつした岩に立って
穴だらけのひふを脱いで
ねばっこい血管を捨てて
さわがしい心臓も
置いてきて ....
わたしたち、ちいさな山のちいさなおうちで、朝食のお皿を並べて二枚、三枚、並べているうちに足りなくなって、並べても並べても足りなくなって、テーブル継ぎ足しても足りなくて壁つきやぶって外に伸ばして、それで ....
一人暮らしの私の家に
奇妙な動物が紛れ込んできた
害はなさそうなので
飼うことにした
白くて丸くて
わりと愛嬌がある
たてがみは赤く
瞳はつぶら
私は日中この動物を
なでて
だきあ ....
線路が繰り返し
ひとの声をつれ
あしもとにのびる
夏の繁茂が
覆いかぶさったまま
ことばが違う
ようだった
毎日同じ場所に立つ
建物にはただしく
光が射す
帰る道すがら
....
四年京都に住んで
今でもよかったと思うのは
はる を覚えたことだ
生まれ在所に戻ってからも言っている
開けてはる居てはる植えてはるえづいてはる起きてはる
噛んではる切ってはる ....
紙の鎖の端をにぎって
妹も姉もいないところで
父と母が編んだ赤い塔をゆく
らせん階段はきらいだ
古い日々を思いださせ
とにかく青い
ノ・ヴァ、きみが秋晴れだったころ
ぼくが立派な牡鹿 ....
つまりそういうことにしておこうかな)あっちこっちで閉じ忘れた括弧をあつめて閉じて廻ってみたりして)立派なカメラを持ってるくせに何もしないから)こちらからタイミングよく飛び込んでいかなくちゃならない)背 ....
さあ こいさん着きましたで
わてら思い出の法善寺
水掛け不動さんへ
覚えたはりまっかこいさん
わてが初めて〈元祖メカ割烹・Fuji=Yoshi〉に
奉公に上がった晩
....
○○○○
○○○○//
おい
なんや
鉄板熱かったな
たいがいやったで
最初は温うて気持ちよかってんけどな
後からたまらんかったな
けど我慢できへ ....
子らにはすべて名まえがある
物のなかにいる子
鏡を割ったような子
一粒の歯もないままでわらう子
レモンイエローの乳房の子
氷点下で生きている子
それでも
澱とともにあるとうめい
....
ホームを切り裂いて列車がページを捲っていく。同色の
制服に制服を重ね着してずきずきと圧密する、頭痛がちな
通勤電車のようにきつく綴じられた紙の隙間を押し開き、ぼくと
膝頭から胸元まで触れるほど巧 ....
枕元のタバコとサイフと携帯をかき集めて
ついでに目を二個と鼻とか口を持って
....
なにもかも
粉砕
ナイフでは永久に
無理な救いと
手を
つないでいた
椎間板を守りながら飛ぶ
ポリゴンの鳥が
ひきずりだした
わたしたちの赤い国旗
万歳 ....
死んだら尼信の本店の普通の9155473に
六十三万入ってるから
....
日本海の港町に
住み始めて半年をやや越えた
『明日は ....
火がつかねえな 湿ってるのかな
こすれねえな 噛み合ってねえな
あったまんねえな 明るくなんねえな
このまま凍えるのかな
火がつかねえな 湿ってるのかな
こすれね ....
十字路という十字路を捜し歩いてようやっと
悪魔の居る十字路に辿りついた
僕のスタン・スミスは十六代目
....
それは子猫にしては無理のない話で
信号を見ることも横断歩道を渡ることも
所詮はできはしない相談だったかもしれない
ただその軽やかな身のこなしで
何度かは成功してきた国道の横断
今朝はほんのち ....
山から吹き降ろす冬の風が
裸の木立をゆするころに
この村の家々の軒先に
縄でくくられた猫が
何匹も何匹も下がる
この村の特産品である
ほしねこを作る作業は
山から雪混じりの寒風が吹き ....
冬が来て りんごが
日毎に軽くなっていると わかった
まもなく分銅の 劣化がはじまり
正しい数値を知ることは 出来なくなったけれど
思いのほか冬が 長く続き
ある朝りんごは ついに消滅してい ....
とても広い湖の
至るところにブイが浮かび
竹を編んだ丸いものが
そっと押されて岸を離れる
竹を編んだ丸いものから
一つのブイが遠のいていき
またそれ以外のあらゆるブイが
どれも等しく遠の ....
東京ドームのまんなかで腰をふったよ、わたし
観客5万4千人 全世界同時ナマ中継
相手は神さまだったから わたしもすごく真剣だった
わたしは処女でもなんでもなかったから
前に寝た男たちは全員、シ ....
僕らが歩き出す衝動は
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番 ....
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