鳥には孫はいないような気がする
この世に存在するのは親と子の二代だけ
俺には未来がないような気がする
俺にあるのは過去とその最前線の今だけ
ほてる公園YouTubeを過ごす ....
寂しいと
口に出すのがくやしくて
ぜんぜん寂しくないふりをする
吹かれ堕ち
桜の花の無残たる
汚れた悲しみなんかが好きだし
憎みたい
人ならいっぱいいる夜に
憎むきもち ....
{引用=
こわれた家で待っています
むかし きいたことのある
こんな声、です
「死んだ子たちはけだかいので
星になったりしません
晴れ空に光がみちるだけです」
(おし ....
目が覚めて一番に 口にした言葉は
くちなし
薫り ゆたかな色彩の白
しずくを 湛えた光沢の葉
無垢を 口にするときの ふるえる くちびる
くちなし
きょういちにち なにを はなすことだ ....
{引用=落ちてきました
くだものです
なまえはしりません
まるくて、やわらかいです
あなた神さまからうまれたんですよね
了介くんがいってました
(了介くんは十二歳の時に
海でお ....
{引用=ちいさい音ですね
しってますよ、草むらのなかです
(ひとはいつか 虫になる、のでしょう)
わたしは音に、よびかけます
海に行ったこと、ありますか
....
母が静かに佇み
やわらかな星々に横たわると
夜が落下する速度で
慈しみと憎しみが揺れ動く
母の季節が訪れるとき
夏と冬が行き来して
子どもたちは春と秋を奪い合う
「あんたは身 ....
{引用=*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に書 ....
ビルの窓に褪せた空の青さ
夜のままの側溝の饐えた臭い
音漏れしている流行曲
眩暈のするようなデジャヴ
なにもかもが痛くて堪らない
肉体は暴力である
殴打された何十億光年の静寂に
雑踏 ....
【さかくだり】
あの懐かしい橋を渡れば
蛙のひしめく道がある
いきものを ころさないように
体が傾むく川下にむかって
足をゆっくりと あるく
あの懐かしい橋を見下ろせば ....
{引用=やせていくわたし椅子の上にでもかけておいて
そ 室内干しでいい
こんな時はメロンパンをたべるの
歯の裏にくっつくうっとうしさがばかげててすき
生きてるかんじする?しない ....
夜道
突然何かがヘッドライトに浮かび上がった
猫だと直感した
避ける暇もなくブレーキを踏む間もなかった
瞬間、タイヤが踏んで ぐしゃり 鈍い感触があった
が
そのまま通り過ぎてしまった
....
誰かいる様な気がして ふすまを開けた
隣の部屋は誰もいない
更に隣の部屋のふすまを開けた
そして また隣の部屋へ 隣の部屋へ
どの部屋も 同じ様な部屋だ
....
一輪挿しの花を
わたし達はただ愛で
やがて枯れたならば
裏の畑に埋めて
忘れてしまうでしょう
なぜ、忘れてしまうのでしょう
そうして人々はまたこともなく
明日の朝を、明後日の夕 ....
ちかり ちかり と
機械の奥で青白いひかりが 点滅している
とりあえず 生きていますよ と報告しているみたい
なんて 持て余した時間に妄想して
勝手に泣きそうになったのは 疲 ....
心にも闇はあるらしい
顔はヘラヘラ笑っていても
心にゃ真っ暗闇が立ち込めて
雨もざぁざぁ降りまくる
心にも炎がめらめら立ち上ぼる
火の見やぐらをよじ登り
思いきり鳴らせよ
はんしょの ....
低気圧が近付いてゐる午後。
少年が鉛筆を削つてゐる。
室内に、新しい芯の匂ひが満ちる。
「隆、下りてらつしやい」
と、羊羹を切り終へた母の声が階下から聞こ ....
誰もがそれとわかるように
名前をつけてみましょうか
花と名前をつけます
蜂と名前をつけます
光と名前をつけます
だけれど君がそれを指さすとき
花と戯れる蜂や蜂と戯れる花を
輝かせ ....
ほら、樽のなかでお眠りなさい
煩わしいすべてをわすれて
檸檬かしら、いえ、林檎でもいいわ
樽のなかを香気で満たしてあげます
息を潜めて、あ、とも、うん、とも
言わないで猟犬を連れた ....