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離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな接続詞を
あてがい 続ける
たくさんの繊細な 傷を
指でなぞり 再生して
....
落とした視線に降り注ぐ光
飛び散った心をまとめるように
照り返す熱を真っ直ぐ感じる
一筋の軌道を希望と呼んだ
指先から抜けてどこまでも行けば
体に傷を残す優しい糸で
檻を作った逃げ ....
箱の内側に油を塗って
取り出したマトリョーシカみたいな
重なる記憶がぶつからないように
思い出はいつも滑りやすいから
スケートリンクで放し飼いにする
転んだら痛みが伝わる身体
あの ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う
揺るぎな ....
宇宙の冷たい感触が 朦朧とした頭に響く
世界の一様な無表情が 奥まる意識を取り巻く
(フォークとナイフがぶつかる音、砕けるグラス)
世界は今日終わるかもしれず
それなのに宇宙は爆発と沈黙を貫く ....
もうあざやかさにそめあげられた青空が
海に落とされ
凍りつく落下速度の門を
美しく破る波の牙
切り立つ崖の上に立って私の
半生を眼下の海に沈めたい
秋も終わり
歌う虫もいず
....
髪の毛の抜ける軽さで舞いあがったビニール袋が
ハの字に並んだ社宅のあいだを海溝にして見えなくなる
溶断した五線譜に置く
冷えた喧騒のフェルマータ
胸底のゲル状濁点や句点硝子の乱濁流を ....
眠り続けるこの気持ちは無色
誰の目にも見えない雨が降り
隠れるように君のことを想えば
生まれなかった言葉が胸にある
弾けるようなサイダーの泡が
華やかな命を絶って消える
まるで恋心の模 ....