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この唄は夕べの思い
旅人がいつか満月の夜に唄った
ろうそくの下で読む人には
なかなか分かってもらえない
子どもにも分かることなのに

月に唄う、月は語る
いにしえの地球を目醒めさせ
そ ....
春の喜び、
夏へのあこがれ、
秋の憂愁、
冬のさびしさ

時は過ぎ去り
季節は巡る
人生は進み
垂直に落ち

わたしのいない、春夏秋冬
静謐の夜を穿つ
透明な明滅は
哀しみの在り処を指示し
沸き立ち、立ち消え
律動する

冷える夜底をひっそりと
移動していく影
背景に流れ
根なし草の寂寥と
一握の希望を落とし込み
 ....
世界の厳かが露わになるこの夕べ
わたしは静かに此処に留まり
在るものすべてに身を委ねる

まるで人生の鍵を手に入れたかのように 

在るもの在るもの輪郭鮮やかな世界が
おもむろに眼前に広 ....
この夜に目醒め
この夜底に触れる
私にはもはや
親兄弟家族親族はなく
現世的無縁仏だ
円やかな現世孤児だ

そこでは
 私という存在が剥き出しで
そこでは
 私が真っ裸のすっぽんぽ ....
それを夢見たのはいつだろう?
すべては澄みわたり凪いでいた
吹き抜ける風、高い空
光の彼方に虹は立ち
すべては澄みわたり凪いでいた

秋も半ばこの十一月
日射しの入射は既に深く
カーテ ....
孤独である
関係を全て切断し
諦めている、静かに
幸せとか不幸せとか

ただ驚くのだ、
世界に自分に詩に一日に

オドロキは転がっているから
至るところに

オノレが在る、セカイ ....
感覚する、
風の通り道、雨の匂い
そのたび新しい自分がいて
ぼくは大きく両手を広げる
この広大な地球の上で
この肉体を抱えながら
笑っている泣いている
すべて愛しい日常些事
一つ一つ噛 ....
在ることの
謎に触れたとき
ウォーターと
手のひらに
書いてみる

初めて地球を生きた日のように
その鮮烈な霊気に貫かれ

ウォーターを
感じて、感じて
独り大地を
舞い踊る
 ....
逃れ去っていく
逃れ去っていく記憶の
その核心を掴もうと
広がる鉛の海を泳ぐ、泳ぎ続ける
 
 失われた薔薇の花と団欒
 終わった関係と更地
 虚脱の時を刻む秒針

静まっていく
 ....
夏は静かな川遊び
彼岸に逝く人
此岸に来る人

水の流れは絶えずして
海の潮を落としては

彼岸から此岸まで
川から河童もやって来る
ターコイズブルーの湖、三つ
ねっとりと動かず
こんもり黒々とした山々の頂きに
ぽっかり ひっそり
横たわり在る

(空は妙に白く透き通り
皮膜の裏光り)

湖は波一つ立てず
こちら ....
猛々しい暑さ、
眩み包み込む
この夏の午後に
園庭は発光し
微睡む午睡の子供達、
ルウ ルウ ルウ
夢の中で
歌っている

通り掛かる街角で
不思議な三角や五角形
浮かんでは消え ....
ひろびろ青がひろがって
鳥の群れが行き過ぎる
街は熱波に曝されて
子らの午睡を浅くする

  *

ちから抜けちから抜け
胸にわだかまる不安感を
呑み込みおれは街を行く
こんなにひ ....
かなしみの
青が降る
透明、
ただ透明に
なっていく
己の体
幾億もの幾兆もの者達が通った道
途、未知、溢れ
枯れ果て、移行する
光の奥の
ふるふる震え揺れ
時の間隙縫い
開く ....
僕が世界と繋がるために
涼やかな夜風を浴びながら
今日も一つの詩を書き留める
それは静かな吐息をついて
雨降る白壁に投映される
夢の間に間の幻灯機
巨大な毒蜘蛛を追いやって
雨滴を溢す紫 ....
夜風がすぅすぅ網戸から
入って来ては肌を撫でる
その微妙な心地よさに
うっとりしている午前三時、
電車は大通りを走り雪山へ
凍り付くよな身震いを
誘いぐんぐん進んで行く

鈍色空を背景 ....
ついこの前まで
白い花を咲かせていた木が
早くも新緑へと移り変わり
午後の日差しに照らされて
青々と輝き揺れている

その木の根元を
春の青大将の群れが
唸りを上げて進んでいく

 ....
闇夜に
突き刺さる
サイレン

神々は未だ
現れず
嘔吐感だけ
せりあがる

千の眼が
砕け
残骸を咀嚼する
音が鳴り響いて
廻る廻る大地が廻る
壊し創る力は無尽蔵に
無作為に選ばれた人々の
哀しみの雨が降り注ぐ

(世界は只残酷に美しく)

廻る廻る大地が廻る
次から次へと命は芽吹き
哀しみの雨は
もう ....
久々に訪れた病院の園庭は、
十数本の桜の木が
無数の赤い蕾を膨らませていた。 

その生命力は、
春の大気に漲り震え
園庭という枠を獰猛に
突き破っていく不穏さを含んでいた。

膨ら ....
荒れ狂う海を見た
 防波堤は決壊し
穏やかな海に遊んだ
 日がな一日泳いでは
甘やかな海を味わった
 夕げに貝をほじくり食べ
律動絶えない海を聴いた
 夜の浜辺に蟹を追い
太陽を溶かす ....
有刺鉄線をいじっていたら
異常にこんがらがって溶け始めた
俺の熱のせいか、指先は既に燃えていた

 閉じ込められたまま閉じ篭もったまま

砂漠に墜ちたプロペラ飛行機
赤いいきもの達が列を ....
茜の斜光の残像が
余韻響かせ揺れ動き
赤胴色に燃える富士山が
傾く夕陽に落ちいくとき
私は覚えずひざまづき
褪せて青澄む天仰ぐ

あゝ秘匿された未知なるものよ
おまえは今日もヴェールに ....
開けた窓から雨の匂いが流れ込み
濡れていく遠い森のざわめき始めて
貴女の声は透明な水底に沈んでいく

ああ、
こんなに澄んで囁き交わす時ばかりなら
詩を書くことすら要らないだろうに
僕は ....
鈍い痛みを抱え
月も氷るこの冷夜
紡ぎ出される救済の
余りの味気なさに
呆れては
ぽつぽつと辿る
情念の
小さな鏡に反射する
忘れ去られた純情に
身悶え七転八倒する

消失した記 ....
繰り返し
欠伸と不安のうねり、

繰り返し
安定剤と躁鬱のうねり、

あるモノあるモノ
切迫し

また夜が来て夜深まり
私の宇宙を横切って
闇夜の混沌充溢し
指揮系統の不在 
 ....
開いた本の頁が
ほんのり茜に染まる頃
太陽は傾きながら爆発し続け
西空はやがて色彩渦の奔流となる
わたしは本から顔を上げ
地上の夕べの目眩く一瞬を
遠退く意識に刻み込む

夜闇が忍び込 ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして浮き立ち
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う、
 ....
訪れる
時はじんわり
湧き出づる
そうして私は橙の
脳裡の懐かしい光に包まれ
生きている、生きている
くっきり浮き立つ輪郭と
物という物が発散する
確かな響きに包まれて
活きている、 ....
Giovanniさんのひだかたけしさんおすすめリスト(116)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
月に唄う_- ひだかた ...自由詩421-12-20
春夏秋冬- ひだかた ...自由詩721-12-19
夜の断章- ひだかた ...自由詩921-12-13
断章- ひだかた ...自由詩1021-12-10
宇宙の風道(改訂)- ひだかた ...自由詩721-11-5
すべては澄みわたり凪いでいた- ひだかた ...自由詩621-11-4
光の一閃、突き抜ける青- ひだかた ...自由詩8*21-10-17
風の通り道、雨の匂い- ひだかた ...自由詩7*21-10-17
ウォーター- ひだかた ...自由詩14*21-10-12
その時その瞬間- ひだかた ...自由詩721-8-3
夏休み- ひだかた ...自由詩921-8-1
ターコイズブルーの湖、三つ- ひだかた ...自由詩721-7-31
夢の中で- ひだかた ...自由詩621-7-20
青い街を行く- ひだかた ...自由詩15*21-7-16
ハレル(再録)- ひだかた ...自由詩721-5-22
一つの詩を- ひだかた ...自由詩12*21-5-20
夢と夜風と雪山と- ひだかた ...自由詩15*21-5-17
春の青大将- ひだかた ...自由詩921-5-10
サイレン- ひだかた ...自由詩321-4-10
春の記憶- ひだかた ...自由詩821-3-13
見えるもの・見えないもの(改訂)- ひだかた ...自由詩921-3-12
海よ- ひだかた ...自由詩621-2-28
熱砂- ひだかた ...自由詩1021-2-24
夕景未知- ひだかた ...自由詩721-2-23
無垢と復讐- ひだかた ...自由詩1121-2-20
荒れ地- ひだかた ...自由詩421-2-16
闇夜- ひだかた ...自由詩4*21-2-15
夕べの一瞬- ひだかた ...自由詩421-2-15
在るものの開け- ひだかた ...自由詩721-2-12
イキテイル- ひだかた ...自由詩821-2-11

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