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何処までも続く無色透明の青
ぽつぽつと現れた雲の鱗片が
家族の元へと帰る父の骨の様だ。
炎の熱を帯びた銀の台を眺めたら
思わず声をかけていた。
「お父ちゃんお帰り。熱かったねぇ。 ....
父のお骨を眺めたら
諦める。という気持ちが
蘇ったらしい。
重たい陶器の蓋を閉めて
位牌と遺影を並べたら
合わせた手と手の隙間に
小さな水たまりができた。
木箱に入り
白い布に包まれた父の骨壺を抱きしめてみる。
次々と浮かぶ
共に過ごした楽しくも懐かしい日々。
一緒に眺めた江の島の海と
鼻先をくすぐる潮風の匂い。
真っ暗な部屋の中に
....