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強い強い風に額が切れた
あっという間に滲んでいく中で
あの横顔だけはっきり見えた
強く強く押されて柔らかいものが出ていった
あれがハートというのなら
今ぼくを動かしているものはな ....
夜が胸に叩きつけられていく
まだくすぶっていたものが
無数の靴音にまぎれて
いつか悲鳴を上げそうな
古い洗濯機に放り込まれる
長い長い妥協の列に並んで
気が遠くなりそう ....
月に光る草を見つけた
君の持ってきたビニールシートが
魔法のように浮き上がっていた
口では言わない言葉の
墓場のような気がしていた
お互い様かもしれないが ....
山の中にかえっていく今日を
力強い何かに掴まりながら見ていた
薄っすらとあらわれはじめる
星の一つ一つに名前をつけて
大好きだったものに似た影を覚えていく
それぞれのたましいを均 ....
たとえば君がこの厄介事に手を伸ばさない歴史があって
その軸に戻ろうとする意志も目的もなくなったら
大爆発のスキマから僕にハローと言ってくれるかい
ふんぞり返って偉そうな海老が光線銃を ....
宵はカラスの群れと羊たちのサーカス
銀の膜に薄く張り付いた星が剥がれていく
触れなかったあの子と
大事に抱えた僕で
写し描いていたものすべてが大げさにズレていく
夜光虫の森の入口で
た ....
灯台の下のテトラポッドはいつまでも輝いている
防波堤に波がぶつかって砕ける音は
真っ暗な地平線へと吸い込まれていくようだ
パチパチと光る緑色の灯は
きっと私に何も伝えない
落書きと錆にま ....
思い出そうとしたことに
ハシゴをかけて
一緒になって寝てしまった
小さな虫は春を焦って
網戸に張り付き始めた
次の季節も
私は何ひとつ気づかないまま
きれいに折りたたんで
どこかに ....
月の横に大きな鯨が浮かんでいる
ちいさな星や人工衛星を食べて生きるまぼろし
ごちそうさまの煙を吐くと
オーロラに乗ってどこかに帰っていく
きっとあれは
我々のことなんて何も思わなくて ....