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だめなひと

いとしい


すまなそうにうつむいて

小さく笑う


もういいから

だめでいいから

わかってるから


そんなに小さくなるな

泣きたくなる  ....
思い出は

ぼんやりした
景色の中にあるよ

夏の夕暮れの
田舎の電車とか

色あせた自動販売機とか

誰かの白いシャツとか

それはどんな記念日よりも
心に残って消えない
 ....
少しも
優しくないんだよ
私は
優しくなれないって
優しく出来ないって
何なの
優しさって努力なの?
違う
優しい人は
何も考えずに優しいんだよ
どうしようもなく優しいんだよ
腹 ....
私が大嫌いなお正月を

母がどんなに楽しみにしていたか

考えると涙が出てくる

少しボケたせいか

鯛のお頭が二つ買ってあった
高齢者の運転は危険だよって
母から車のキーを取り上げた
買い物に行けなくなっても
母は文句ひとつ言わない
ただ
バッテリーが弱るから
エンジンだけはかけてやってと
小さな声で頼まれた
 ....
西日で
黄色くはじける街は

水彩絵の具で描かれた空を
背負っている

窓から見える線路を
新幹線が走るたび
部屋の中がキラっと光る

反射する光で
列車が光のように速いのだと
 ....
海に潜り
息を全部吐き切って
胚を空にすると
体は砂底まで沈む

水が冷たくなって
辺りが暗くなって
とても怖いんだけど

そこで仰向けになって
見上げる海面の
美しさと言ったら ....
温室の中で

枯れてしまう花のように


ただ

日差しに抱かれている



暖かい

それでいい
失くした人を
偲んで見上げる
朧月

何かに抱かれるような
宵の人肌

湿った土が
ほんのり香る

始まりと
終わりの理

四条大橋から見渡す
川床の灯りは

春に滲ん ....
今 触れてはだめ

六番目の勘が囁くままに
突き止めようとする指を戻す

峠越えの山道を運転しながら
闇を縫って光を探した

開きかけた何かは
古い本のように堅く閉じて

忘れら ....
月夜の晩

いつも通り軽く蔑まれて
ふっと笑って家を出る

会いに行くたび
同じことの繰り返し

車を運転しながら
ホッとして

気がつけば泣いてる
母のことを
嫌いだと打ち明けたとき

とてつもなく心が晴れて

そして
私は

その安堵の中で死んだ

言ってはいけない言葉だったのか
わからない

ただ解き放たれた自分が
 ....
あなたに優しくできないのは何故か

なぜなら私が今も
愛されない子供のままだから

あなたがとてつもなく女で母で

愛されたかった記憶が
胸の中で震えるから
母が私に
寂しい寂しいと泣く

そのたび
犬が

ずっと母を見ている

それが
たまらなく悲しい

私ではだめですかと
犬が言っているのに

母には聞こえないのだろうか
現実に埋もれて
灰色になった部屋は

がらくたが積み重なる
心の祠

一番奥から
古びたランプを取り出して

キュキュっとこすり
ふと息をかければ

ほらね

舞い飛ぶ埃が ....
リビングで
回遊している銀の魚は

言い出せなかった言葉の群れ

怠惰な午後に
ゆらゆら

なんて美しいのかしら

この沈黙は
秋葉竹さんのガトさんおすすめリスト(16)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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憧憬- ガト自由詩10*20-6-6
- ガト自由詩7*20-1-29
錆行く声- ガト自由詩11*19-9-4
ひかりごう- ガト自由詩1*19-9-3
光の窓- ガト自由詩7*19-9-3
それだけでいい- ガト自由詩1*19-5-16
- ガト自由詩4*19-3-17
灯台- ガト自由詩7*19-2-26
1号線- ガト自由詩2*18-12-27
籠女- ガト自由詩8*18-12-27
- ガト自由詩1*18-12-27
愛しい目- ガト自由詩5*18-12-9
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背中- ガト自由詩7*18-12-5

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