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わたしはさいきん
けずりぶし
いえ、最近じゃなく
常時そうなんです
ふりかけられては
振り落とされては
そこが あつかろうが
さむかろうが
おどっている
おどらされている
....
ひとの形をしている友は
寒い寒いくにへ行って
そのまま凍えて雪になった
ひとの形をしていない友よ
くちは利けずとも まだ
わたしの隣にいてくれる友よ
心臓などなくても
温かい友よ
....
コの字の形をした控室に
ルームロッカーが並んでて
中身だけ抜き取られたように
ハンガーが各自一本ずつ整列している
その服を着て出たのか
それとも初めっから
誰もいなかったの ....
*
私がひとり降りた夜
バスは静かに荒く息を吐き出しながら
また次の者を乗せ降ろしして
それ自体 拍動しながら
もう 見えなくなっていく
のこされた私は
安堵を荷物に 歩き出す
....
いちごみるくのいちごとみるくをぱっくり分離した色の
花は散っていったけど
四月のバリアに張り付いて流れていったけど
またね
ありがちなころがる嘘につまずきたくて、
だけどおとなの ....
約三時間前にサイレンが鳴った
そのあとやけにテンションの高いリサイクル業者の声が一帯を過ぎる
テレビをつけて相撲中継
七年経った
母は画面に正座で向かったまま
頭を垂れて舟をこい ....
もうすぐ日がめくれ
いくつか数えた頃
かの女はバラをたくさん落としてきたが
もうプロポーズされることがなくなったからと
時ごと綿毛に包んで
夏の来ない春に明け渡そうとしている
....
川が近づいてそっと入っていく
金属くさい くさい 私と
その鎖のつながりあるところまで
この世が終わるなら私ひとりだけ終わっていいと
いつも思っていた いつも思っていた ....