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子どものころ
友人の家に遊びに行ったときのことだ
リビングでTVゲームなどして遊んでいると
友人は思い出したように
家での仕事を忘れていたから
ちょっと地下室へ行ってくる、と言う
地下室と ....
休みの日の朝
ガスコンロとトイレを掃除することにしている
付着した汚れが気になる
私は一言多いから
言わなければよかったと
何度も思うのに
沈黙に耐えられず
また余計なことを言う
....
梅雨になって
雨がすきな
人もきっと
そばにたくさんいるだろうけど
いまは
青い空がすき
心が浮かび流れていきそうな
どこまでもファルセットが続きそうな
目を閉じて ....
暖かな湯気が立ち上る南瓜と小豆の煮付け。
薄く切った胡瓜の上に鰹節をのせたら
慣れた手つきで父がぽん酢をかける。
こんなものしか出せなくてごめんね。と
母はみそ汁をよそい
今焼けたばかり ....
【時鳥】
ある一時
保育園のときのセリフは 小鳥の役柄だった
「ニュースだよ ニュースだよ たろうさんのお宅に あかちゃんができたよ」
小鳥役の私が 時空のかなたからやってきて ....
良く見かける 昔ながらの三つ編み
黒く伸びる髪の毛の先に
赤いリボンが はためいている
拘束された カラフル
誰しもが 似たような意見で
流されて行く 世の中に
吐き気をもよおした ....
ぼくがきみのためにしたことと
きみがぼくにしてくれたこと
まよなかのこうえんでむかいあって
たばこをすいながら たしざんひきざん
マイナスばっかりだ…
おもわずたばこをなげすてて
にが ....
ぬっとり湿った夜の膜を
そっとふたつの指で広げれば
胸を裂くような光のしたを
あたたかさ、なさけなさの影が歩いていた
カーブミラーの歪みのなかの
少しだけ正しい領域を
裸足で歩くわたし ....
広場の顔した 原っぱは
住宅街の 一角にある
四号公園の立札みせて
そして
男の幼子は 黄いろの声で
掛けっこを始め
女の幼子は ブランコ ....
澱んだ空が憎たらしくて
蹴りをいれたいのだけれど
殴りつけたいのだけれど
想いさえも届かなくて
精一杯に唾を吐きかけ
考えつく限りの罵声を浴びせ
それでも気持ちが収まることはなく
さらに ....
すべて諦めかけたときに
コンビニに行って弁当買うてあたためた
何も変わらないいつもの弁当
俺の一所懸命にあたためつづけたもの
それと弁当
くれるレシートと夕陽
そして弁当
....
わがやのまよこの
原っぱには
(ときには鴉が来るけれど)
幼い子たちを待ちわびて
晴雨をいとわず座ってる
木製ベンチと滑り台
ジャングルジムや
....
夏の気配が確かに漂う
まだ肌寒い夕方
この居心地の悪さが
不気味にすら思われ
全速力で駆け抜けようと
試みた後で思い出した
速くは走れないことを
あんまりにも格好悪くって
笑って誤魔化 ....
車輪の下ほど甘美でも無いが
歯車の間ほど滑稽でも無い
それを中途半端だと自嘲もするが
どこかで信じている
未来は俺らの手の中だと
いや
それもどうか分からない
握った限りの砂なのか
....
シャッター通りの真ん中で
あたしは夢の中に立っている
正社員だから、収入が増えてと、彼女は言う
そう、よかったねとこたえた私は
それきり何も
言いたくなかったのだけど
有給のこ ....
四月に
雪が降ることが
当たり前になった時代から
四月に
雪が降ることが
特別だった時代に戻って
残された音楽を聴きながら
振り向かない背中を
眺めている
届かない指先なら
も ....
中途採用の
面接試験に
落ちたから
厳正なる選考の結果
残念ながら、採用を
見送り
させていただくこととなりました
ご健勝をお祈り申し上げて
おりますと
受かったら
あ ....
詩よりも素敵な端正な言葉を
音律にのせて
たとえばジャニスは疎外をブルースにして
もうひとりのジャニスはこころの陰影をうたにする
ジムはロックの神になり
もうひとりのジムは瓶のなかの ....
卒寿となった
いまになり
とぎれ とぎれに
きこえてくる
青い年に
満ち満ちていた
ひかり あふれる
卯月の声が
なつかしいけど
あわれだ ....
おお!! してヤラレタ!!
…して 何を?
会話が成立するような背表紙
物語の終焉は
決まっているようで
整ってはいない
定められている感覚で
変更は 可能なのです
....
ゴミ捨て場に群がるカラス
性質の悪い笑みを浮かべる人間よりは 美しい
羽根が 七色に染まる度 描く曲線は
一度 空へと舞いあがり
再び 地上に 降り注ぐ
天使の梯子のよう
細や ....
目の前にたくさん転がっていた
あたりまえの積み木を
崩してなくしました
わたしが積み上げたいカタチは
誰もが羨むような
とても綺麗なお城で
どうして此処に三角形を置くのか
納得の ....
そうだなあ
と
ふかす
何ごとに関しても
そうだよねえ
と
啜る
時間をそしゃくするごとに
そういうことが増えた、
何もうまれてはいない
何もかもが産まれて、空までたち ....
コンビニエンスストアの前で
すれちがうひとがいる
ひとはすれちがいながら
目くばせする
わたしたちは
皆
ひとを見て
ひとといい
ひとりとして
ひとりではないのに
ひとりのひと ....
ねえ 一体 何時から
誰かを心配する気持ちに衣をつけて
カリッカリに 揚げちゃうような 世の中に
なっちゃったんだろうね
カリカリするばかりでサ
喜怒哀楽の 二番目の感情でしか
物 ....
開け放した玄関はその年の夏そのものだった
わたしはサンダルをつっかけて座り
水羊羹をのせた小皿を手に女をみていた
わたしを産んだ女は真剣な表情で
庭の手入れをいそいそとこなし
と ....
はる地球の回転が速まるせいか
わたしは立ちくらみして
光は速さをなくしたみたいになる
だからかはる 風が軽くなりすぎて
わたしの姿は光をうまく受けれなくなり
わたしの影はどこかへい ....
デパートの屋上で子供の頃の願望が簡単に拾えてしまう
少し汚れたパンダにまたがって、ためらいなくコインを入れた
童心に帰るほど、帰らなきゃいけない距離ができたこと
まだ寒い春の昼間に
花粉症 ....
『奇妙な世界』
奇妙な世界を
祝日の朝に聴きながら
ここしばらくおざなりにしてきた生活を
梅干し入りのおにぎりにして食べた
陶芸教室でつくった奇妙な湯呑みでお茶をすすり
な ....
何処まで 走りたいですか と 問いかけて
どこまでも と 応える
最初は 同じなのだけれども
頷く頬の角度から
冷たい影が 伸びているようで
ずっと 見つめていたら
風邪を ....
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