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ジンジャーエールの
薄いこがね色に光る泡を
優しく、かき混ぜ、溶けるように
わたしの過ぎた惑いを
散らしていった
冬の早朝に舞い降りる霜のビロードで
肌のヒリヒリする感触が
....
離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな 接続詞を
あてがい続ける
たくさんの 繊細な傷を
指でなぞり 再生して
....
いつのまにか
ぼやけてしまった
染みが
もう存在が消えようとする、その瞬間に
ようやくこころの片隅に
いろを
発生させて
うまれるよ
うまれるよ、と
存在を主張し始める
....
雨はやわらかく弾けて
あおいビー玉となり
ひとみに触れてとけてゆく
風は産毛をなでながら
うすい絹となり
はだに濡れてしみこむ
きみの発するパルスは
聞いたこともないのに
....
すっかり寒くなってきた、土曜の早朝
僕はいつもの様に
四階にあるベランダで煙草を燻らす
景色はいつも通りのようで
いつもとは違うように見えた
特に、空が違う
だから、空が好きだ
一度 ....
さくりと欠落し淡いひかりを
切り裂く、闇
まるではじめから
無かったかのようで
わたしの発するパルスは
ほとんどが四散して
もう何処にいったのやら
仕事 ....
明けない夜はない
闇が取り巻いても
未完成なままで
それを切り裂く
暮れない陽はない
今日の不条理に捕らわれても
胸の炎が
消えそうにない
変わっていく世界
....
夜明け
窓を開けると
空に明星が瞬いている
テーブルにこぼした煙草の灰を
手で掬いとっているうちに
夜が終わっていく
春先の
暖かい雨は降り止み
朝日が微かにひかる
神経が泡 ....
なにもない
雪だけの原を歩く
目の前の白
後ろに点々と足跡だけが残る
まるで世界に
自分だけがとり残されたような感覚
孤独の影が走る
ドサリ、と音がする
木から雪でも落ちた ....