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僕はワンカップを片手に
車窓に体寄せていた
電車の外は雨らしく
ぱたぱたと打ち付ける雫が
声なき声の模様を描き僕を飾る
ざわめきの静寂に叫びを埋めて
引きずる体の亀裂を紐で縛って
....
物憂げな予感に満ちて
黄昏時に立ち止まってじっと
夕日を見ている人がいた
空が暗色に沈んでいく
目に丸い陽の跡が残って
月の横に暗色の太陽が浮かんだ
空に色を付けるのなら
赤しかない ....
懐かしい星を誰と指したか
老いた母に訊くと、うんうんと不明瞭に頷いている
分からないまま過ぎていく時間が過去をぼやかしていき
だんだんと星の色が落ちていく
ひとつ星を指した幼さを忘れてか
....