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一面に花が咲く。君の笑窪がひかる。星が降る。透き通る。春になる。
そんなかんじの恋だった。
太鼓の皮を破るような
驟雨が駆け足で通り過ぎていった
恐る恐る顔を軒に突き出して
ほっ、とする、お天道さんと
顔を突き合わせて
軒下で菜園の土を破り
アスパラガスの夏芽が
にんまり笑 ....
花かごに
ゆったり
あしかけ
たっぷり
ゆられれ
まなこに
うつるる
えだの黒
私は今日、父になった。
娘が産まれた時
妻は命を懸けて母になり
命を懸けていない私は
父を、演じ始めた。
....
となりの家はリボン細工
ピアノの音が聞こえます
お嬢様の手毬唄に
私は恋をしました、と。
彼女の髪は
いたずら好き
ピンとまつ毛を跳ね上げて
ピアノの音が
聞こえます
....
少しの時間
無人駅を貨物列車が掠めた
地吹雪が立ち
向こうの民家はより硬質に遠ざかり
電線が顔の横を通り過ぎた
視界はいなくなった
マフラーの中
熱い体だけが近くにあった
それは気の迷いだろうどっちかというと
と書き込みたい気持ちを抑えて眺める
空が青くて明るすぎるので私はすっかり腹を立て
こども部屋の真ん中に黒のクレヨンで魔法陣を書く
逆さの五芒星の真ん中 ....
海は液体の音楽
世界の七割は
約束を守るように光る音色は
冬の真昼をあたため
水面から上がった美女が
うっとりと膝を閉じる
海は液体の音楽
世界の七割は
波から一本の木が
....
脳が軟らかすぎて
耳と鼻から
流れ出てしまいそうなとき
朝の結露した窓を
人差し指でなぞる
「川」
唯一覚えている文字は
水滴とともに
もっと長い流れになって
やがて消えて行 ....
言葉の連なりによって
生み出される
イメージやリズム
本当の詩人達の
問題意識が
今何処にあるのか
私は知らない
知る能力がない
それは音楽についてもそうだし
絵画についても ....
さっと
拾い上げて行く
まるで
風が
降り積もった粉雪の
上澄みをさらって行くように
わたしたちの
真実を
積雪の中に
置き去りにして
そうして駆け巡る冷風が
冬の
いたず ....
団地という
語の 重量と
つりあっているものらが
そこらへんにある
昼間を 歩いて
菜を刻み
嗅いで
寝た
CSのドキュメンタリーチャンネルは
どれもこれも
戦争と中古車のレストアと
サバイバルばかりだ
そこで私は考えた
戦場で兵器のレストアをしながら
泥水啜って生きていく
という番組作れ ....
ライオンの世界は過酷だぜ
縄張り争いに負けたら
勝った雄に
子供なんかみんな食われちゃうんだってよ!
千尋の谷どころの騒ぎじゃないぜ
雄同士の闘いも
キンタマに噛みついたりさ
背骨噛 ....
風呂で溺れた
ダウン症児の周ちゃんが
救急車で運ばれ
一命を取り留めた
子供病院
入院後の回復は順調で
3日後に人工呼吸器は外れ
ゆっくりと目を覚ました
日が暮れて、パパは
....
○(親父似)
紙くずが落ちていたので
まるめてポケットに入れた
それを見ていた妹が言った
「父ちゃんとおんなじだね」
ポケットはいつのまにか紙くずで
いっぱいになっていた
○(介護老 ....
○(葬式)
死ぬということは
すべてのものからの
解放である
葬式に行き故人の顔を見ると
お疲れさまでした、よく頑張りましたね
と声をかけるようにしている
○(リタイア夫)
リタイ ....
ジャンプの得点を
時間に換算するなんて
どう考えても無理があんだろ
クロスカントリーのコースに
幅100M、深さ100Mぐらいの谷を設定して
みんな一斉に飛んで
越えられなかった奴は
....
ただ座っているだけで
自分が自分に
さまざまなことを
教えてくれる
赤い車の
座席で
わたしたちは
部分的に
毀れた
雪がふり
たばこを吸い
腿にふれ
窓をぬぐい
寒かった
戸走りに冬越飛蝗 奥間の灯
{引用=冬越し
この頃 冬といっても
僕の国や
何も知らない人達の国では
ギリシャ世界のアネクメーネのように
どんなに寒くても
明日への蓄えがなく ....
◯夫婦喧嘩
たまにするのは
いい
先に謝ったほうが
大人だ
◯夫婦喧嘩
仲直りした夜は
蜜の味
少女の髪はいつも御河童だったのですが
三つ編みとリボンに憧れていました
そして隣のお姉さんのようにセーラー服を着て
無色透明ではないリップクリームをポケットに忍ばせて
お姉さんが通っている ....
ぬれて可愛い犬のあたまを撫でてやる
自分の手が よいもののようにみえてくる
ほんとうのことを言っていればいいと思っているひとのとなりだと
まるでほんとうでないように見えるわたしの手が
....
どぅわし、知てますか?
鼻毛を伸ばしたままのブラジルさんが尋ねてきた
どぅわしです
どぅわし?
瞬時に日本語検索を脳内で追いかけると前頭葉あたりがホカホカしてきたので
帽子を ....
時計 ばかり 見る
数行も 書いてない
たまに 外を見る
眉間に 皺が寄る
メガネは していない
持ってんのは 知っている
うつぶせでは ねむらない
マスカラが つぶれるからだ
....
風の色は透明、雨の色は透明、太陽の色は透明、景色を透明が彩る。
時間は透明、景色を揺らす。草木が輝く。透明によって色彩が歌う。
そのなかを歩いてたら楽しかった。
時間が僕を透明にしてくれるときが ....
目がどろっとして
唇から唾液を垂らして
「アンニュイなんですか?」
って聞いたら、
ふふっと、微笑んで
ガラスの割れる音
犬の遠吠え
電話の呼び鈴
歯茎から血が出る
口の中が ....
激情を極め
静けさを極め
祈りながら認識し
認識しながら祈る
この飢え切った界で
この哀しみの界で
導かれ 諦め
静謐に包まれ
光り輝くあの日の君を 僕は決して忘れない
すべての元凶は
肩こりだ
肩こりさえなければ
俺はもっとあなたに優しくなれるし
愛溢れる人にだってなれる
世界中に存在する
ありとあらゆる
辛いこと
悲しいこと
全部背負うこ ....
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