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街角でティッシュ渡され冬の空
この冬は{ルビ暦=こよみ}通りの寒さかな
からころと下駄を鳴らして湯ざめかな
掃く人の去りて落葉がまたひとつ
野良猫も老いの歩みや落葉道
「 ....
大福の舌打つ甘さ稲光
秋逝くも大福食うてのんきかな
大福の豆噛み殺し菊供養
品切れで焼き芋を買ふ焼き芋屋
焼き芋や思ひ出はみなほの甘く
この小銭さて豚まんか焼き芋か
....
(俳句八句)
風鈴もカタカタと鳴る風強し
ひとり寝の布団の朝に泣くな蝉
初盆の生々しさにわが身抱く
スイレンの花に牡蠣殻落とす罪
夕涼みし ....
頁{ルビ繰=く}る 手を休め{ルビ食=は}む {ルビ葛湯=くずゆ}哉
「ただいま」と 還り笑う君 雪の{ルビ冠=かん}
降る雪と 藥罐の歌う 夜更け哉
電飾の 眠っ ....
寂しさの星座へ向かう一月半ば
諦めを一つ手持ちて鬼は外
もう良いと言ってほしいの冬銀河
冬の雨寂しいという合言葉
父がいないわたしは起きる寒き朝
かけがえのない思い出に浸 ....
いまは無い
おでんの屋台
何処いった
焼き鳥の
匂いが誘う
帰り道
チャルメラは
スピード上げて
走り去る
もつ煮込み
野菜だらけで
吐息つく
コンビニに
行 ....
愚痴などは言わぬと決めて冬の月
姦しや冬寒の月は上弦で
冬ざれの野には野の想いがあり
乾かない髪に触れて確かめる冬
冬苺口にほおばる我と父
狐火を追いかけてなお過去の時
本日のお品書き~日野菜漬~
白飯をうれしがらせる日野菜漬
漬物の中で一番うまいと頑なに信じている日野菜漬だが、残念ながらあまり知られていない。「いい酒は旅をしない」というが「 ....
本日のお品書き~ボルシチ~
ボルシチや一階五十円二階千円
一物二価とはまさにこのことだろう。べらぼうめ、たいめいけん。ということで、私は専ら1階の人である。
たいめいけ ....
本日のお品書き~目玉焼き~
得意料理?そうね目玉焼きかしら
目玉焼き。それを初めて見たのは家の食卓でもなく、レストランでもなかった。見たのは食堂車。目の前の白い皿に、目玉が二つ ....
本日のお品書き~煮凝り~
煮凝りや一途は愚かさにあらず
それをどこで覚えたのか、いつ知ったのか、それが真実かどうかはわからないが、魚の料理法は「一焼き、二生(刺身)、三蒸し、四 ....
本日のデザート~楊梅(ヤマモモ)~
楊梅やあまりにあしのはやき過去
いつもの道を歩いていると、足元に楊梅の紅い実が落ちている。歩みを止めて見上げる。街路樹として使われることが ....
本日のお品書き~パスタ~
食ひにゆく西洋うどんを空駆けて
日本のパスタの夜明けは1984年である。それまではスパゲティといえば、ふにゃふにゃのナポリタン。ママーの茹でパスタにケチャ ....
本日のお品書き~ブリ大根~
出世していま煮られをるブリ大根
今冬はいつになく寒ブリが豊漁だったとか。そういえば昨年の秋、鮭網にブリが大量に入って、鮭が全く取れないと嘆いていたの ....
本日のお品書き~サザエ~
壺焼きの落し蓋さへある手柄
なぜだろう、いまサザエが爆安だ。逗子のスーパー「スズキヤ」で、小ぶりだが六個で五百円台。一個百円しない。まさか養殖したりは ....
本日のお品書き~鮎~
よく見れば鮎のつくづく京唄子
最近スーパーなんぞで求める鮎はどれもこれも太りすぎで、脂もいやらしく、焼いていると炎とともに油煙のような煙があがり「お前 ....
本日のお品書き~チーズ&クラッカー
食堂車の白きクロスや夏の旅
本州の西の端の町に住む人にとって、長距離列車は都会の空気を乗せてやってくる「文化」だった。特に食堂車は田舎の ....
本日のお品書き~チャンポン~
チャンポンの具に秩序失せ世の乱れ
いまはもう思い出でしかないが、下関という町は食い物のうまいところだった。その背景には永く大陸への玄関口だったことが ....
本日のお品書き~マグロのづけ丼~
ピカソの鮃のごと中落ちの骨残る
逗子の駅前にスズキヤという食品スーパーがあり、ものがいい。実にいい。その分高い。特に魚は群を抜いて鮮度がよく ....
本日のお品書き~おでん~
まっすぐに串逆立てて関東煮
昭和三十年代に地方の子どもだった男子(とくに大阪から西)が、放課後に直行するのは春夏であれば駄菓子屋。五円のみかん水というガジ ....