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エンドロールの途中に
まさかのどんでん返しが
意表を突いたハッピーエンドが
そんな気がして
なかなか席を立てないでいる
場末の映画館

あるいは
アディッショナルタイムの
カウ ....
黒い夜の画布を背に
彫刻刀で刻まれた白骨のように
浮かび上がる鋭い流氷の切っ先が
すばやく流れる雲の切れ間に
瞬時に現れた細い三日月を
祈りのように照らし出し

私が確かに聞いたのは
 ....
母さんがせっかく作ったんだ食べて行け

父のひとことに逆らえず
しぶしぶ食卓についた君は
スープを一口
口に入れると
涙をこぼし
絞り出すような声で
ごめんなさい
と言った

 ....
ピカソの絵みたいな顔の人が映るから
「嘘つき!」って
テレビに向かって
怒っていると
猫が足元にすり寄ってきた
にゃー
「にゃー」じゃないよ!って
猫にも八つ当たり
ったくどいつもこい ....
早く夏が終わんないかなって
思っていたのに
終わってしまうと
なんだかさみしくて

早く秋が来ないかなって
待っていたのに
秋は
なんだかよそよそしくて

友達だったはずなのに
 ....
ウッドデッキの
木と木の間の細い隙間に
花びらがすすっと入っていくのを見た
少し離れたところから
目を凝らすと虫が抱えていたようだ
蟻にしては大きかった
ごく小さめの細身の黒っぽい蜂の ....
塞がれた傷なら
新しいほど
ほの明るい

命と呼ぶには薄すぎる
生まれたばかりの緑の雲母は
はかなげに震える風の欠片

アスファルトに跳ね返る
光の刃が
明日には切り刻むだろう
 ....
ジニーが死んだ
名前なんかつけたから
何度壊してやっても
やがてまた同じところに低く浮かんで
逃げもしないし
玄関横の
しろい壁とオキザリスの
プランターの間を斜めにつないで
全然邪魔 ....
りーりー
りりり と
鳴いている

耳を澄ますと
少しずつ違う音色で
合奏している

パソコンの中から
聞こえるようで

二階の窓から
見てみると
明るい夜空に
透明な羽根 ....
薄曇りの空を浴び
錆びたトタンが発色する
剥げかけた というよりも
薄い金属の表面を
浸食している赤ペンキ

腐蝕しながら
守るべきものを阻害していく

かつては輝きそのものであり
 ....
ガラスのように光るその蛇は
青草の影を躰に映し
すべらかに移動していた
怖くはなかった
わたしを無視して
まっすぐ母屋に向かっていくので
なんとか向きを変えさせようと
木の枝で
行く手 ....
遠く轟くのは雷鳴
それとも記憶の彼方の爆音

或いは過ぎ行く夏の
名残の花火

下駄を穿いていた
裸足のくるぶしを
風がくすぐり

バッタが跳ねる草の道

また明日遊ぼうねと言 ....
黒焦げのアカツメクサを労うように
レースフラワーが風に揺れ
夏が終わると歌っている
排気ガスまみれの分離帯にも
芽吹いた種は繁らせた
波打つ夏の色

色褪せた空のキャンバスに
ぽたりと ....
  

眠っていたのだ
死んでいたのだ
意識のはざまで
行方知れずになっていた
辛うじて煌めく記憶が
呼び戻そうと身を捩る
わたしの裏で
呼ばれているもう一人の
耳は 形を亡くし
 ....
寝床に横たわると
せせらぎが聞こえてくる

母の家は川に近いが
夜は窓も閉めているし
国道を挟んで
川の流れる音など聞こえるはずがない
たぶん一晩中自動で回る
換気扇の音だろうと
弟 ....
咲いた翌日から続く
低温と
強風にも耐え
寄り添って直立を支えあう

ある日訪れる真夏の陽気に
結束は緩み
感熱性の花びらは
ひた隠してきた
雌しべ雄しべの位置をも露に
くろぐろと ....
潰してきた

気付かぬふりして
舗道の上の
見えにくい蟻を
踏みにじるように
見て見ぬふりして
胸の奥の
後ろめたさを
正当化するために

取り返しがつかない程
多くの時間 ....
 

ビリビリに引き裂いた
力任せに 泣きながら
それでも気が済まなくて
鋏でジョキジョキ切り刻んだ
その切れ端を 徹底的にシャッフルした
元の形などわからないように
二度と思い出さな ....
詩作においては
私今とても
低迷しております
気取ってそう書いて
自問
低迷・・って わかる?
低く迷うって書くんだよ
たしかに
では
高くまっすぐ行きたいのか
青空を横切る
戦 ....
探すつもりもなく
期待もなく見上げた空に
おもいがけなく大きな月を
見つけると
不意を突かれて
涙ぐみそうになる
今日は満月でもないのに
晴れた夜空に低く浮かぶ
大きな月
死んだ人の ....
寂しいから寂しくないふりを
しているなんてお見通しなの
寂しくないならどうして
そんな限界集落の無人駅に
会いに来ないかなんて言うのよ
あなたの孤独を映し出す
鏡のように澄んだ湖はもう ....
久しぶりに電話してみる
着信音が十回で、切る
内心ホッとする
まもなく向こうからかかってくる
少し慌てる
「なに?どうかした?」
声を聴いて安堵する
「いやどうもしないけど。今話せるの? ....
先週までのうだる暑さが嘘のよう
公園の木立は重い影を落とし
鬱蒼と風に吹かれているが
家々の庭に
咲き尽くした夏の花々が
どこか安堵したようにうなだれる
もうここからは秋
静かに目を凝ら ....
羽音で目が覚めた
驚いて明かりをつける
汗だくで寝ていた
汗の匂いに寄って来たんだな
いったいどこから入ってきたんだ
窓は閉めていたのに
ベープマットをセットして寝る
でもまたも高い羽音 ....
待ち遠しい


白ソックスの
四足歩行で
夏まで
渡れ

日々の汚れが
レールを漱ぎ

雨降る
早く

雨降れ
もういっそ

止まずに

線路を洗う
土砂降りの ....
黙ってただ生きる
ということができない

永久に
見つけてもらえないから
暗いさみしい器の底で
発語したがる
別なあたし

世界中でたった一人の
ひとに向かって
そのひとだけに
 ....
吹き荒れていた強風が止み
静かに雨が
降る

激情は去り
懺悔するように


いまさら遅い


傷つけたものは
けして回復しやしない


けれど
過ぎ去ったものの後に
 ....
仔犬を胸に抱いた少年
あるいは
眠っている赤子を
抱っこ紐で抱えた母親
のように

買ったばかりの
ラナンキュラスの
花束を
両手で持ち

包装紙の隙間から覗いて

微笑ん ....
砂のような
罵詈雑言を
浴びせられても
べつに痛くもかゆくもない
友達だったこともないヤツから

雨の日に浮かれ
這い出てきたのだろう か細い
蚯蚓が

ぺかぺかに光って
張り付 ....
ひだかたけしさんのLucyさんおすすめリスト(59)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
エピローグ- Lucy自由詩4*17-10-26
冬のオホーツク凍えながらたった一度でいい最後に私は意識の勝つ ...- Lucy自由詩12*17-10-17
ミネストローネの秋- Lucy自由詩16*17-10-13
自分の言葉に誠実な人は一般市民の中にいる- Lucy自由詩5*17-10-6
待ち遠しいのに振り返ってばかりいる- Lucy自由詩14*17-9-25
ウッドデッキの細い隙間に- Lucy自由詩17*17-9-19
草蜻蛉に- Lucy自由詩10*17-9-15
ジニー- Lucy自由詩14*17-9-12
りーりー- Lucy自由詩10*17-9-2
ページ- Lucy自由詩10*17-8-31
優しい人- Lucy自由詩18*17-8-26
別れ- Lucy自由詩5*17-8-24
労い- Lucy自由詩18*17-8-21
- Lucy自由詩3*17-8-10
せせらぎ- Lucy自由詩17*17-7-23
チューリップが限界に気づく時- Lucy自由詩10*17-5-21
潰してきた- Lucy自由詩14*17-1-16
パッチワーク- Lucy自由詩18*16-11-19
低迷- Lucy自由詩9*16-11-11
月に- Lucy自由詩6*16-10-18
白のブルース- Lucy自由詩19*16-9-29
会話- Lucy自由詩17+*16-9-14
晩夏- Lucy自由詩2*16-9-14
提供- Lucy自由詩5*16-9-4
雨降る- Lucy自由詩6*16-7-4
発色- Lucy自由詩15*16-5-30
夜の雨- Lucy自由詩11*16-5-17
街角- Lucy自由詩17*16-5-12
乾燥地帯- Lucy自由詩16*16-5-2

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