すべてのおすすめ
五年かかって庭の木にやっと
たわわにおっぱいが実った
刺身、焼き、しんじょ、シチュー
いろいろあるなかで
やはり茹でて食うのが一番うまい
マヨネーズは味が濁っていけない
つけるのなら酢醤油 ....
せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう ....
あなたの温かみと重みが
わたしの存在に加えられる
その重みで
わたしは少し沈む
ほんの少し
沈む、あなたのわからない程度に

支える四本の脚
と呼ばれている、それは
わたしの言葉
 ....
ラクダと探偵が恋に落ちた
ふたりは愛情を育んだが
所詮は偶蹄目と霊長目の許されぬ仲
お別れの日探偵は
沈むことのない夕日をプレゼントした
ラクダは泣き疲れ
二つのこぶをなくし
変 ....
僕らが歩き出す衝動は
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番 ....
子供が行きたがっていたはずの
遊園地に行った
子供が恐がるであろう乗り物
恐がらないであろう乗り物
そのひとつひとつに順序良く
そしてなるべく丁寧に
乗っていく
スタンプカードがたまった ....
洗い場には
石鹸の代わりに豆腐があった
かじると
石鹸の味がした

食卓には
冷奴の代わりに石鹸があった
かじると
やはり石鹸の味がした

豆腐はすべて食べてしまったの
と言 ....
日記は忘れています
かつて
誰かの小鳥であったことを
目を瞑ると
まぶたの中で風景が裏返る
人は皆
空の切れ端でした
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
君が握ると
同じ力で握り返してくるものがある
君はその力をさざ波に変え
身体の最果てまでゆっくり送り届けることで
自分の輪郭を形作っていく
君が握っているのは
君自身に他ならない
 ....
気がつけばいつも
君はそこに立っている
君は待つ
遠くに地鳴りを聞きながら
まだ秋には早い日
目の前をつうっと
赤とんぼが通り過ぎていく
同じ高さにある地平線を目指し
旅立っていっ ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
男のズボンの右ポケットは
いつの間にか上着の胸ポケットに繋がっていた
えいっ、と腕を突っ込めば
指先が胸ポケットからにょきりと出る
それが生きていくうえで何の役に立つというのか
試し ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
時を刻むより他に
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確 ....
夏休み
街から人はいなくなった
窓という窓
木陰という木陰
ベンチというベンチ
そのいたるところから
少しの匂いと
体温を残して

静寂、というには
まだわずかばかりの音 ....
Blue Sky
僕らが愛と呼ぶもののすべてが真実でありますように
僕らの幸せが誰かの不幸のおかげでありませんように

僕らのパズルはこんがらがっていつまでも解けない
このまま解けな ....
覚えてる
迷ったときの指先のちょっとした仕草とか
暑い室内でむっと漂ってきた身体の匂いとか

正午、君がサイレンの口真似をすると
僕らは作業を中断して
いつも小さな昼食をとった

今日 ....
脳みそが痒いな
朝から痒いな
のこぎりでギリギリと開けて
痒いところを掻きたいな
掻いたら脳みそぐちゃぐちゃになっちゃうかな
ぐちゃぐちゃになった脳みそは味噌汁になるのかな
 ....
道路の端っこに弟が寝ていた
こんなに寒いのに
と思いながらも弟らしい寝姿に
つい笑ってしまった
半身を起こし後ろから両脇を抱え
ズルズル引きずる
小さい頃はよくおぶったものだ
気づかない ....
てのひらにドアを取り付けた
白くてとても素敵なドアなので
一度遊びに来てください
と、旧い知り合い数人に手紙を出した
一通が宛先不明で戻り
それより早く金を返せ、という返事が来た以外は
い ....
心臓は崖へとつながっている
推定二百メートル
くらいでしょうか
そこから下を覗きこむのも可ですが
寧ろ僕は
ヤッホー
の魅力にとりつかれいつまでも
ヤッホー
ヤッホー
と繰り ....
下駄箱の中
君はいったいどれくらいの間
神と呼ぶものに祈っていたというの
十七歳だったころの
愛されていた少年よ
牛皮の匂いがする両手で
夕日のたまごを包み込んで
庭の木にセミの抜け殻があった
手にとって握りつぶすと
ぬちゃ
それはセミの抜け殻ではなく
抜け殻のようなセミ
もて余した僕はこっそり
ぬか床に隠してしまった
夕食の時
今日のぬ ....
夜が白々と明けると通勤が俺を捲くし立て俺は走り
俺は走るが走っているのは通勤快速だ
くそっ!通勤だ
くそっ!快速だ
身動き取れないそれでも走ろうとする俺の背中にボインちゃんのボインが
ポ ....
夕暮れ時のトイレで俺は
花子を殴る
ドリフの大爆笑のオープニングテーマを高らかに歌い
俺は花子を殴り続ける
だって、お化けだぜえ、恐怖だぜえ、恐いんだぜえ
俺は花子を殴る
花子は微 ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
触覚の先端ではもう無くしたての繊細な産毛
 幾千とおりの声が転回を始めている
  その閃光は深く深く脳を焦がし
   僕の両手から溢れるハチミツを虹色に染め
    やわらかく着地 ....
見知らぬ少年が大きくなり
間違えていないか
何度か数えなおしてみる
口あとの残った譜面や
カロリーの低い清涼飲料水
忘れるたびに覚えていく
右手では保つことのできない
左手のもの ....
食べられるものを食べるのが
好きな人でした
食べられないものを食べるのが
嫌いだったところは僕とは似たもの同士
だったかもしれません
食べられないものを食べないのが
好きだったか嫌 ....
エズミさんのたもつさんおすすめリスト(48)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
おっぱい- たもつ自由詩906-5-17
漂流- たもつ自由詩3105-9-6
椅子- たもつ自由詩2205-8-28
ラクダと探偵- たもつ自由詩1305-8-23
すいか- たもつ自由詩20*05-8-21
飴玉- たもつ自由詩1805-8-18
絹ごし- たもつ自由詩15+05-8-17
童話(日記)- たもつ自由詩2005-7-31
子供- たもつ自由詩38*05-7-23
すし職人- たもつ自由詩905-7-20
ゴールキーパー- たもつ自由詩1705-7-18
七人の男(手を振る男)- たもつ自由詩41*05-7-12
七人の男(ハトを捕まえる男)- たもつ自由詩1205-7-9
七人の男(傘を育てる男)- たもつ自由詩4705-7-7
時計- たもつ自由詩3205-7-4
夏休み- たもつ自由詩1805-6-29
Blue_Sky- たもつ自由詩1405-2-26
サイレン- たもつ自由詩3605-2-16
図鑑- たもつ自由詩905-1-26
靴底- たもつ自由詩505-1-24
記憶- たもつ自由詩1405-1-21
転落- たもつ自由詩1005-1-19
たまご- たもつ自由詩905-1-17
ぬけがら- たもつ自由詩1704-12-21
通勤快速- たもつ自由詩1104-12-16
トイレの花子- たもつ自由詩1704-12-3
童話(初恋)- たもつ自由詩42*04-11-17
BEE- たもつ自由詩1404-11-12
晩秋- たもつ自由詩1004-11-5
節目- たもつ自由詩704-10-30

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