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右腕や左腕やどちらでもない腕などがそこに浮かび、
かえってきたのか向かっていくのか全然わからないが
アルミ製のサッシ越しに月面の色でくりかえされている
気は確かだ気は確か ....
かたむいた胸を
祭太鼓が踏みかためていく
永遠へ向うあなたの黒髪の隙、
円形・方形の一群は街を滑落し
ひかりとかげを揺れ模糊となっていく
わたしのさびしさの刹 ....
サルビアの陽射しへ
うつむいた頸がいろどる
あなたが放つすみれ柄の微熱
この愛しさと出会うために
幾度自らを{ルビ擲=なげう}ってもいい
振りむいた睫毛に弾む ....
見えつつ
あるものの内壁へ
つたう光へ、冷えた天使をみつめていた
腫れ房を成す、{ルビ硝子景=ガラスけい}の、あなたがたの
優しさから眼をそむけた
見えつつ ....
透きとおった女に
殴られた男の傷から
ながれる血は透明でなかった
くろい鍋がはっきりと置かれた
江東区亀戸二丁目のキッチン
言葉のかわりだという ....
一機の ヘリコプターが
交わりをひとつずつ置いていく
海色の稜線、わたしたちの
茹だり、かげ沿いに膿んでくる、疼痛の粘り気
冷えすぎた{ルビ ....