すべてのおすすめ
脳の病って、人間の一部が次第に失われてゆく過程なのです。
その傍で過ごす自分も失われてゆく過程をただ見ているだけではなく
一緒に自分の一部が失われてゆきます。
君は
次第に右手がきかなくなり、 ....
言葉に質量があるかと問われれば
あるのかと問い返す。
あると仮定すれば、の話だが
その質量は意識と比例して膨張し
膨大なものとなり、ついには
意識の中枢に重くのし掛かる
言葉の中で ....
夏の暑い日差しの中に佇む古いビル群
道路の照り返すビルの窓硝子の中
子供たちの笑い声が蝉の音とともに響き渡る
外には溶けかかったコンクリートの街並み
蝉の音を抱え込んだ街路樹
呟きが聞こえる ....
梅雨空の悲鳴
私の空はやけに立て付けが悪い
私は有無を言わさず空を閉じる
天国など空から見えるわけもなく
ただひたすら空は鈍色だ
君がどの辺(あたり)に上ってゆくのか
風が吹いている
ダ ....
君の右側がどんどん物化してゆく
歩くこともままならない
食事することもままならない
まして字を書くことはままならない。
自分の署名すら出来ない。
君は苛々する。
もうだめかも知れな ....
僕は、世界一面食いです。
君は色々な男に言い寄られても僕と結婚しました。
とても優しい君は僕といういい加減な存在をなんとかしたかったのかも知れません。
やはり ....
庭の片隅にある金柑の木
棘の生えた枝の先に
その日もイモムシがいる
太い緑色の胴に
胸には眼の黒丸
突っつくとオレンジの角が
にゅーっと
その日もイモムシがいる
イモムシはじっ ....
酒浸りの毎日が厭きてくると、突然思い立って詩なんぞを書き始めるようになつた。
詩を書くことにしたのは、既に日々欠乏しつつある己の体力と得体の知れない精神と何とか帳尻が合うかも知れないと言う甘 ....
金の無い人間を殴りつけ
ときどき金を恵んでやり、
金のある人間には金をせびり
躊躇しないジャンキーで
金のある時は大盤振る舞い
金の無い時はけち臭く
外の乞食に金をせびる
育 ....
猫砂に埋もれた二人の思い出は
一部は綺麗に乾涸らびて
形だけくっきりと存在している
一部は砂がかけられずに
異臭を発して、未だ砂の上の鎮座する。
軋む心と身体を引き摺って
ほん ....
懐かしいという言葉を話すと
鼻の奥がツンとくる。
春はまだ来ないが、
冷たい風が吹いている。
君と二人、風に乗って行けるものなら、
君の生まれ故郷のこけし橋の欄干に行きたい。
....
遠い昔のことよりは
今の家族を思うとき
苛立ち不満を見るよりは
今の楽しさを感じて生きる。
不自由な君の手をさすり
冷たい君の手をさすり
世間話につい昔
未来の話は嘘になる。
今の楽し ....
頭が痛いと君は言う。
私が死んだらという話はしない約束だが、つい君は口にする。その度に僕の手に握られている砂粒が少しづつ隙間からこぼれ落ち、風に吹かれて飛ばされてゆく。
そのあと、僕の心は痙攣 ....
コンパスは嫌いだ
三角定規も嫌いだ
三〇センチの定規も嫌いだ
でも
雲形定規はどう使うの?
何故四角定規はないの?
何かを描くために必要なものか?
とくと教えて欲しい
....
恐ろしいことに
半分の心で僕は君と付き合っていた。
そのことに気づいたのは漸く人生も終わりかけた今ごろ。
君は随分前から気づいていたようで
頭蓋骨を開けられてから
口に出して言うようになった ....
頭蓋骨にぽっかりと穴の空いた人は
心にもぽっかりと穴が空いたようで
表情は少ない。
手の震えは、脳味噌の痙攣で
その人の手の震えは、僕の心を痙攣させる
その人の無表情の時間は次第に長くな ....
言葉に表せない思いは
ため息で足元に落とせばよい
言葉に表しても伝わらない思いは
自分で口を開けて呑み込めばよい
いつも思いを言葉で包み込もうとした
言葉に包まれた思いは変色してしまい
....
何年ぶりだろう
二人で食べる黒蜜のあんみつ
手術前のある日の病室
老舗の和菓子屋の前を通り
ふと気づいて買った
お土産のあんみつ
あんみつの中には
紅白の求肥や赤豌豆
漉し ....
初夏の夕暮れ
見舞いに来た僕は君と歩く
五階の病室から一階の売店まで
五階のエレベーターホールまで
病室から二〇メートルほど
エレベーターに二人で乗る
乗るときも手は離さない
三五年 ....
たちばな まことさんの……とある蛙さんおすすめリスト
(19)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
病
-
……とあ ...
自由詩
2
19-6-19
取扱メモ
-
……とあ ...
自由詩
7
16-2-5
たそがれどき
-
……とあ ...
自由詩
6*
15-8-17
挽歌
-
……とあ ...
自由詩
10*
15-6-24
物化
-
……とあ ...
自由詩
16*
15-5-14
面食い
-
……とあ ...
自由詩
7*
15-3-25
幼虫
-
……とあ ...
自由詩
9*
15-3-11
日常
-
……とあ ...
自由詩
8*
15-3-2
チャーリー
-
……とあ ...
自由詩
5*
15-2-20
猫砂
-
……とあ ...
自由詩
11*
15-2-17
思い出
-
……とあ ...
自由詩
11*
15-2-15
生活の隙間
-
……とあ ...
自由詩
20*
15-1-17
ため息
-
……とあ ...
自由詩
8*
14-12-14
出会い
-
……とあ ...
自由詩
11*
14-12-6
中途半分
-
……とあ ...
自由詩
13*
14-10-25
その人の笑顔
-
……とあ ...
自由詩
18*
14-10-9
言葉と思い
-
……とあ ...
自由詩
8*
14-10-4
あんみつ
-
……とあ ...
自由詩
34*
14-9-8
夕暮れの病院
-
……とあ ...
自由詩
11*
14-6-4
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する