まちのくまは
夕ぐれどき
列をつくって歩きだす
やあやあきょうはまた
ずい分まちが赤いですな
いやいやわたしには
いくぶん青く見えますが
そんなことを話しながら
くまたちは ....
森の中の開けた場所
鬱蒼と繁る樹々の狭間
日の光が注ぐ
その中心に
湖が鎮座している
石を投げる
水面に波紋が広がる
風の音が聞こえる
樹々がさざめく
鳥の声が聞こえる
鹿の足 ....
秋の夜の先端が月に届き
丸い円の中心から滴り落ちる雨粒が枝葉を揺する
遠く近く震わせる鈴虫の唱和に
一際大きく腹をこする一匹の独唱
寒気にさらされ弱りゆく命を一心に鳴らし
鈴虫は何を ....
おんなの額の眉間のあたりに
ワルプルギスの夜は訪れ
黒い瞳は熱をおびて
銀食器のように冷たく暗く輝いている
あるいは柱の様な静けさの中には
緊張の糸と欲望の動脈が絡まり
....
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