時雨の後退り
窓が泣くような音がする
時雨の後退り
窓が泣くような音がする
時雨
の
後退り
窓
が
泣く
ような
音
が
する
時雨の後退り窓が泣くような音が ....
からだを崩して
水の音が静かに静かに
重力に逆らい天上へとそそぐ
赤ん坊がボールの中で宙返りをしている
老婆は手編みのベストを厳かにまとって
庭木は樹海の水脈を眩しげに浴びる
洞穴 ....
死にたい気持ちで
寝付く夜
朝と夜とを混ぜ合わせ
昔ばなしの夢をみる
明日私は
いくのかな
誰も語れないあの場所へ
母が育てた彼岸花
小さな私は積み木で遊ぶ
向こう岸は
ど ....
本を開いては
単語をつまんで
床に落とす
カナリア
使い古された鳥の名前よ
名前を忘れて
休むといい
石鹸
もう何も泡立てることなく
しろい体を
確かめたらいい
....
詩というのは、心情の吐露とか、綺麗な風景を綺麗に書くとか教訓めいたこと、哲学めいたこと、社会批判、を共感を得やすいように、大勢が納得するような比喩をつかったり美しい表現をしたり、あるいは素敵なぐっとく ....
愛が美しい
言葉で語られ
手帳に書く時間も
ないくらい
肉体が支配する
頃にはもう
正しいレシピを
忘れたような
クリームシチューの
中にいるから
熱くて皮膚が
敏感 ....
とおーい 声がするのを、するのを見ている。蛇腹にたたんだ気持のなかで子どもが泣いている。あかるい窓べ、海べ、岸辺。
心に彼岸はないから、いつまでも分かり合えない。猫たち性懲りもなく恋する。
....
空き地の段ボールハウスが
雨で溶けてる
Krispy Kremeの窓から
それを見てきみが言う
「17になったらあんな家に住むわ」
子供の頃から私は高い場所が好きだった。
家の中なら、
天井に散らばした星に手が届くロフトベッド、
に、寝ていれば、
リビングの、
話し声が遠くなるから。
床に布団を敷いて寝ると、
柱 ....
とがった先に
やさしくあるわたしの、本質
何度折れても
頑なに再生する、じんせい
歩く足のふとももに
太く根ざす、わたしの信念が
いつか土に帰るときも
刻んできた言葉たちが
生きつづけ ....
ロウが落ちて
冷めてから固まる
誰かの足跡
みたいな雪国
二度とぶり返す
ことのない炎
身体じゅうで
押さえつけた気持ちは
ストーブの窓に
打ち明けた恋
薪の匂いが ....
じろう、きたろう、いず、きしゅう
ゆうべに、はなごしょ
ごしょ、たいしゅう
いろんなカタチをしております
えど、ふじ、はちや、れんだいじ
つるのこ、よこの、たかせ、はがくし
酸 ....
青空。
あれは欠けてしまった心だ、
心の欠けらなのだ、
重力のようにわたしを惹き、
赤子の瞳のように影を呑むのだ、
どこにも行けないという幻肢痛。
慰めがたい痛みを慰めよう ....
その手は冷え切っているから
あなたが春なのか冬なのか
わからなくなってしまいます
つくしにふきのとは
いつもの場所にいません
あなたの背中をさがして
遠まわりして歩いていたら
風 ....
ピエールと言って
ピエール・ルメートルを思い出すのは
監禁マニアに限ったことではない
或いは低身長マニアという訳でもない
何故ならそのどちらでもない私が
こうして思い出すのだから
(実のと ....
箱がたくさんある。
現実にも想像上にも、自分のものも、むすめのものも夫のものも。怠惰な感じのする春の日差しの真中にわたしのそれを置いて、みる。日差しは多くの物事を明らかにする(もし私達がそれを望 ....
点と線で描く
風船の中
詰まった言葉を
透かしながら追う
軌道の先で
詩人は待ってる
釘をさすような
最後のひと声
丸い形を
変えたくて割った
地球の中心
少しズ ....
傾いた太陽が
枝だけ残った木達を
公園から浮かび上がらせる
枝には時間が葉のように光にきらめき
螺旋状に生い茂っている
手前には娘がブランコに乗り
奥では息子がすべり台をすべり降りた時 ....
かがり火を消し去る
純、潤、順
と
水が焼ける音
の、背後からは
翼をもがれた旅人が
一人
赤の渇望へと
にじり寄る
旅人が
その
赤の渇望の
窪みへと
とく、っと流し込んだ ....
滞在時間が近づいて
右手からプラズマが出てる
あなたの食べてるものを食べてみたかった
あなたの飲んでるものを飲んでみたかった
ひどい別れ方をすることになるけど
それまでいっぱい、 ....
めざめ また往ぬ
途上の椅子 ひとり
とほきこころ とほきねむり
ふと おぼえたる
すわるしぐさ
だれとふけはいなき
思ひ出の ....
掌から零れ落ちた幸せを
慌てて拾い集めようとするけれど
砂上の楼閣の如く
脆くも崩れ去り
風に浚われ跡形もない
立ち竦む 過去と未来の狭間
砕け散った心だけがその場に囚われ
視界を阻 ....
凪に 燃え立つ
怒り 火柱
無意識の 海から
意識の空を 穿つ
沈下した 青春から
享楽の 樹液が
蒸発し 靄のなか
火柱は 脊椎の様
いつから 疲れたのだろう
心臓より 鼓 ....
自転車で世界へ。
人のからだに宿る
{ルビ硝子=がらす}の魂
密かな通路は
小宇宙へつながる
神々に感謝できる自由を日本は守り続けてきたの。
理解できますか?
もう一度いいますね。
神々に感謝できる自由を日本は守り続けてきたの。
いつかわかると思います。
日本を日 ....
永遠という言葉の中に
私が含まれるのはいつだろう
転
転
転
回った先に
円
線
ペン
あなたの愛する実験が
ステレオ越しに聞こえてる
転
転
転
回った先に
ペン
線
円
あなたの愛する実験が ....
戸棚のなかには古く硬くなりはじめた
フランスパンに安いチリ産のワイン
書きかけの手紙はすでに発酵し始め
こいつはなんになる? 味噌でも醤油でも
ない、カース・マルツ? 冴えないな
フォル ....
薄く、もやのかかる、まだ暗い午前5時。
隣に眠る彼を起こさぬよう、そっと身体を起こして
冷たい空気に、震える
毛布の上に広げた袢纏を引き寄せて
熱い身体から熱が逃げないように
忙しなく羽織り ....
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