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手を広げ…じっとみつめてごらん
言語ではない太古の温もりを
こちらに語りかける
生きものに見えてくる
遠藤周作の「イエスの生涯」を読み終え
僕は本をぱたん、と閉じた
（密かな息が頬にふれ）
本の中で十字架にかけられ
｛ルビ頭＝こうべ｝を垂らし、息絶えたひとの想いは
｛ルビ肉体＝からだ｝を ....
出先の喫茶店で「童心」がお題の
コラムを書いてから、自宅のママに電話した。
――じゃあ、読むよ。
――今、周に聞かせるからちょっと待って。
ママが携帯電話の音量をあげてから
できたて ....
昔々…伯父さんの家に遊びにいくといつも、畳の
部屋に這いつくばって、すりすりすり…と無我の
境地の音を立て、何者かが憑り依った後ろ姿で、
すりすり…と和紙を摩る毎に段々…深みある旅人
の自画像 ....
