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車窓に映る自分を眺める
このスーツを着た疲れきった青年は何者だろう
いや、何者でもない、ただの「夜」だ
何者かでありたいようだが
何者になりたいかも分からず
ただ何者? という問 ....
何もかも
原則的に敵だから
僕は今日も肩で風を切って歩く
すると思いもかけない温かい風が吹いてきて
僕にあいさつするものだから
戸惑いながらもあいさつを返すと
風は微笑みながら ....
全ての生命が鉱物のようにまどろんでいる
太陽は新しく昇ったばかりの新人で
世界の照らし方がわからない
ぎこちない光を浴びながら
水のように低くしたたかに歩道を歩く
私はすべてを根拠付 ....
あなたは私という平原を流れていく一筋の川
涼しい亀裂を走らせながら光として流れていく
あなたの源流はもう去ってしまったし
あなたの流れ着く海はもう干上がってしまったので
あなたは存 ....
生命の芽吹きは死と同義
草木が芽吹いているのではなく
死が咲き乱れている
春に漂う死の破片は極めて正気で狂気のかけらもない
この緻密に計算された春の死に私の感情も巻き込まれる
新しい ....
正午とは絶対的な停止の時刻だ
全てのものは太陽の鑿に彫刻されるため
輪郭を顕わにしてじっと耐えねばならぬ
痛みもまた停止して焼き付けられ
まぶしい空は地上を忌避し続ける
昼は ....
――M.S.へ
あなたは私という小さなひずんだ円形を、余すことなく包みこむ大きな完璧な円形だった。ふたつの円の中心は、二人の性格の針によって異なる点を指していたが、私が囲っていな ....
輝くものと輝かないものが出会って
互いに氷として融け合った一年だった
ほんとうのことはすべて
偉大な虚構から滑り落ちた一年だった
どこまで伸びていくか分からない
指先を丁 ....