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狸小路のロシアン料理店 友人の家族と食事に来た
店の名は忘れた 目立たない小さなお店
壁際を飾るように 多くのウォトカの壜が並んでいる
短い北国の夏を祝うがごとく まずは生Beer ....
朝の寝床で聞く ででぽっぽぅ
は 夏の息苦しさ
貝塚の丘のぽっぽどり
何を歌うか
生の証を 風に乗せて
ぽー ぽー ででぽっぽぅ
鉄の扉 内には把手が無い
日曜の午後 鳩が鳴く
....
おほかたの宗教は死んだ
{ルビ歌人=うたびと}よ
{ルビ詠=うた}え
たからかに
その美しき つぐなひを
聖よ
青き天幕の下に眠る
聖たちよ
その浄きこころに 憂 ....
すれ違う{ルビ漢=おとこ}達は皆奇妙な顔をしている
狂言回しが今にも踊りだしそうな
そんなお面が歩いている
本当の顔がない
自らつくり出した
虚飾の汁を塗りたくり塗りたくり
色 ....
友よ
四十三年生きてきたことを
誰に誇れと君は告げてくれたのだ
郷愁の募る日には
ふるさとの山並に似た雲が現れて
街々のとよめきは
懐かしの潮騒に転じていくようだ
あれから
十 ....
来たれよ あかときの空のもとへ
向かへよ 神のしもべの羊たち
長いねむりから醒めて東の空に太陽がひとつ
見えたとしたらそれは幸福の証だ
風のない朝だというのに樫の葉の薄緑が落とす
地表 ....
エピキュリアンの
幸福の吐息は甘美にきこえる
時には魅惑の声色で
「生の窮極は快楽」とほざく
魂の苦悩は
祈りによって救済されるべきか
つかの間の
陽光が薄れた後の翳りのように
....
不自由
それは俺の心がつくり出すものなのか
ここは監獄 この世のはたて
ここまできては自らどうこうなるものではない
身も心も囚人に徹していればいいのか
今を解決しようと思えば地獄だ
ひ ....
この払暁の紅は
「金色」という うたた心の信奉と錯誤
贋金という主に
デュロックやランドレース達の扈従
瓦礫の天地返しさながらに
血の眼して掻き分けて
渺茫とした廃墟の内の埋蔵プラチナ ....
或る日
食い残しのおおきな鰯の頭
かざすほほ骨のくぼみの半透明
陰影の向こう
梅雨空は陰鬱なしずくを飽かずに垂るる
不満なるかな
不満なるかな
或る日
薩摩の黒豚逐電すと
....