眠って起きることが当たり前じゃない人に
「死にたいのよ」と微笑まれて
頷くしか出来なかった
だって、わたしは眠ることに不安も疑いも抱かない
朝の憂鬱さを思い「もっと ....
ポカリ凍らせてきて溶けない
アンパンマンの首から下を食べるのは なし
満員電車に一人で乗る
顔も見ないし見たくない
みんなどくどく動いてる
みんなただの物なんだ
わたしにとってはね
満員になって運ばれる
知らないうちに運ばれる
知らないう ....
絡み合う蔦が入り口を隠してくれる
夜になれば安全に河口まで行けるだろう
ジャングルで
黄熱に苦しんでるときも
農民から盗むなと
彼は言ったのよ
エンデが昔話をしている
す ....
昼下がり
古いテニスコートを占領して
自転車の練習をする女の子
もうずい分上達したようで
ぎこちなくだが転びもせずに
不規則軌道を描いている
ヘルメットを被った人工衛星
昔は誰も被って ....
甘える
それは奮い立たせる刺激がない、もしくは、そんなもの、要らないから
私は、何かになろうという気持ちがないし、あなたは
病気を治し、社会へ戻ろうという気持ちがない
似たようなふたりが
....
手を
引っ張り続けるか
離すかの
あの話の結末
何が正解か知らない
夫婦で
右と左の
正反対の意見の
間にいる
わたしでいることを
どうしても
自分の子ども達に
経験させた ....
人はなんでもないような場面を
なぜか覚えているものだ
中学校からの帰り道
乾いたグラウンド
走者のあげる土埃
プールに浮かんだ白いはなびら
すでに樹の指先は新しい葉を生やして
吠える ....
私の目はどんどん見えなくなっている
ぼんやりと、ゆっくりと、確実に
どんどん見えなくなれば
みなの姿も あの人の顔も
どんな感じなのか 憶測で考えていくだろう
できるだけいい方向へと思う ....
流れてく 菜を冷やした小川の 見えなき終
そんな事を思い出していた この遠い地で
弔いの灯は風に泳ぎ 灰は風に舞う
皆を覆い隠して 空へ
消えた
貴方がくれた 幾千のもの
わたしの ....
ウールのベストは暑いかな,と思いながら
まだ肌寒い春に,詩人の家に行った
その部屋はアトリエのようなコバルトブルーの壁紙が貼られていたので,
アトリエなんだろう,詩人の子供は自由に遊んでいるし, ....
田に水を張ると
一面が鏡になる
田植え前の一瞬
薄い空を映して
今年はどんな年かと
思案している
今年はどんな稲にしようかと
話し合っている
近くの葉桜が
....
その漆黒ボディの目的は何かと問われても
生まれつきだから上手く答えられやしない。
私はご存じのとおりどう見てもコーラだよ。
このボディが理由で困ったことなどないね。
言っておくけどもこのボ ....
一
貴女にだけ焦点があたり
貴女をひきたてるためだけに
周りはほのかな額縁になって
動く絵画が私を石にする
二
机の隙間は敵地の運河
岸の高台には王女の横顔
幾多の ....
飛行船追いかけて知らない町
ことばに変換できない
内に断層の捲れ上がる感覚
{ルビ穿=うが}たれた二つの池が風もないのに細波立つ
千も万もの透明な手足を生やしては
縋るものもない空の空を
死にもの狂いで掻き毟る
....
夜の帳がおりるころ
窓枠をめざすもの
ベッドの下をめざすもの
テレビの画面を目指すもの
外気を求めて出かけるもの
温もり求めるもの
夜の帳がおりるころ
こ ....
花が散ってしまったことを
貴女はカレンダーを見て知る
「今年も会えなかった」
ただよう匂いに引き付けられて
蝶のように舞う貴女の姿を
来年は見られますように
緑が顔を出しは ....
おもちゃ箱の底にタミヤじゃないミニ四駆
小さな凧になって
白い干潟の方へただよっていく
そんな夢をみた
空はいつもの人見知り
いそがしく雲がゆききして
染まるべき色を探している
そんな風力2の午後だ
桜の坂道で手を繋ぎたくて
思いきってシャツのすそをつまんだこと
遠い日の記憶の花びらがひらり
真昼の三日月が見せた幻でしょう
桜 綺麗なピンクを
スニーカーで踏んで行くの
淡いピンクが ....
たくさんの色で塗りつぶして真っ黒にした気持ちは
クレヨンだったが為に
雨を弾いた。
もう
会えないという事実が
悔しくて哀しい
忘れてしまうことは
忘れられるより怖くて
....
羊の影が
小径を歩いて行くのがみえた
人も居らず ごみばかり落ちている
その小径は雨の臭いに満ちていて
もう
まもなく、
日暮れが訪れる
マフラー ....
ピーマン食べられず誰もいない放課後
ハズレくじで折った飛行機が飛ばない
緩やかな坂道を下りると
遠くに海が見える
ここから見る海は
手のひらの中に
隠れてしまうほどの大きさ
海を目指して歩いてゆくと
潮の香りの風が吹いてくる
風は太陽の ....
迎えにきた おまえを
切っ先を腹に埋めこんでいるさむらいを
かつて桃太郎と呼ばれたおまえ
殿様の不興を買ったおまえ
梨の木の下で死を待つおまえ
おお おれは鬼の屍
といっても はじめか ....
凹んだままもどらないこころを
あえて膨らまして生きている弾力をおもう
生きることに引きずり回され
足下がみえないまま歩をすすめて行かねばならない
立ち止まるわけにはゆかないのだ
それが残 ....
夢を追う者よ
君の往く旅の途上で
現実の壁が立ちはだかる時
憂えてはならない
(人間には、翼が無い…)
と地面にしゃがみこんだ、悔しさで
涙を拭い、ゆっくりと立ち上がり
まなざしを向 ....
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