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『夕暮れ』

寂しいと呟けば
誰かが
肩を抱いてくれそうな
そんな
秋の夕暮れに


『曼珠沙華』

野辺の道に咲く
真っ赤な曼珠沙華が
やけに扇情的で
まるで娼婦のようだ ....
ある日 
水槽の中で泳ぐ
熱帯魚が
テレビに映った 
青い南の海をみた

こんな狭い
水槽の中では
すいすい泳げない
テレビに映った
広い海に憧れて

ここから
逃げ出そうと ....
パソコンに向って
キーボードを打っていたら
ブ~~~ン
という音が聴こえてきた
蚊か?
気づいた時にはもう遅い
手と足と三ヶ所 刺された後だった
痒い 痒いと掻きむしりながら
蚊の気配 ....
容赦なく
照りつける太陽から
逃れるように
白い日傘が路地の奥へと入ってゆく

打ち水をしたアスファルト
ゴーヤ棚が繁って日陰をつくっている
縁台でのんびり寝ている野良猫
軒下には硝子 ....
私たち親子の手を見比べると

娘の手は白くて 細くて
張りがあって美しい
私の手は皮膚が薄くなって
血管が浮いて見える

やはり手には年齢がでるね

真面目なだけが取り柄で
洒落っ ....
要らないものが多過ぎる!

下駄箱の中の履かなくなった靴
クローゼットしまい込んだ流行遅れの服
屋根裏部屋に放置された古い布団

断捨離にも体力が必要で
一日延ばしにする内に
どんどん ....
冬の道のあちこちに
手袋の片方がよく落ちている

ポケットから
ものを取り出す時に落ちたのか
自転車の前かごから滑り落ちたのか
私も長年愛用していた
手袋の片っぽを失くしてしまった

 ....
わたしたちは毎日
岐路に立って考えている

左の道にいきますか?
 はい  いいえ

左の道にいったので出会った人
左の道にいかなかったので出会えない人

もしも 出会ったその人が
 ....
いそぎ足でやってきた
冬が
粉砂糖みたいな
パウダースノーを
街中に降りかけていった

私の黒髪にも白く積って
ガトーショコラみたい
綿菓子みたいな吐息が
凍える指先を温める
北風 ....
誰かの溜息で
紅く染まった紅葉
風に巻き散らされて
紅い絨毯が敷き詰められた
一歩 歩む度に
カサッ カサッ 
と、小さな悲鳴を上げる
その一枚を拾って
空に翳してみれば
紅い残像が ....
ちょっと長いけれど
暇だったら聴いてください


私は小学校五年の頃 
お化粧に興味を持ちました
鏡台に姉の化粧品が入っていたので
ある日 赤い口紅を塗って
三面鏡に映った自分を見てい ....
ぽっかりお月さま 
今夜は月明かり
暖かい風が吹いてきた

ブロック塀の上に猫がいる
ゴミ置き場に猫がいる
駐車している自動車の底にも
猫が潜んでいた

ニャア――

真夜中は猫 ....
ここんところ
物忘れが多くなった
年のせいにしたくないが
やっぱり年のせいか

特に人の名前を失念してしまう
テレビタレントは元より
知り合いの名字さえ出てこない

先日も
道で女 ....
夜の{ルビ静寂=しじま}が
私を思考の世界へ誘う
仄暗い豆球がシーツの海を照らして
波打ち際には夜光虫のように
ラメ入りマニキュアが光るから

私の思考回路は小舟に乗って
大海原へと漕ぎ ....
私は関西人だけど
納豆が大好きです!
けれど頑固な関西人の旦那は
決して納豆を口にしない

蛸を食べる日本人を見る
欧米人の眼
豚を食べる民族を見る
イスラム教徒の眼

彼にとって ....
冷蔵庫に賞味期限切れの
ちくわが一本残っていた
二日しか過ぎていない
まだ大丈夫だろうと
丸かじりする

食べながら
ちくわの穴と対峙する
もしかしたら……
別世界が見えるかも知れな ....
唐突な話なんですがね
最近 魚になりたいって思うんです
いえ 泳ぎは得意じゃありません
なんか太陽とか土とか風とか
面倒臭いなあーって感じるから

海の中はいいだろうなあー
何処までも
 ....
遠い国で内戦があった

銃弾に倒れた人
爆弾に吹き飛ばされた人
炎に巻かれて焼かれた人々や

たくさんの人間が血を流し死んだ

勝利者は誇らしげに
殺した人の数を発表する
その中に ....
廃屋に一本の桜が立っている
誰一人愛でる人もなく
人知れず枝を伸ばし
花を咲かす

月明かりの夜
街灯に照らし出されて
ぼんやりと薄桃色の
その姿を浮かび上らせていた

夜の静寂に ....
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた

毎日々
ベルトコ ....
そいつは道の真ん中に転がっていた
雨の日だった
合羽を着て自転車を漕いでいたので
私の視界は悪い
遠くから黒い物体が見えた時
壊れた黒い雨傘だと思った
もっと近づくと
黒い長靴に見えた
 ....
コートのポケットに
どんぐりが三つ
入っている

きのうの夕ぐれ
近所の公園でひろった
小さなどんぐりたち

てのひらの上で
ころころ転がしてみたり
両手で温めてみたりする

 ....
普段の私は40Wくらいの明るさで
人に会う時は60Wになる
さらに仕事中は
100Wの明るさで全開だ!

しかし100Wの電球は
消費電力が大きい過ぎて……
電球がすぐに切れてそうになり ....
口角からはみ出た口紅を
小指の先でそっと拭う
赤い口紅は
いつも私を強気な女に変える
呪文のように
優しい嘘を口から吐く

独りぼっち
砂の上を歩いていた
彼方にオアシスが見えるけど ....
私は言葉を知らない
豊富な知識も 深い洞察力もない
柔らかな感性も持ってはいない

比喩や隠喩も使いこなせないし
哲学的なことはチンプンカン
コメント書いてもトンチンカン

こんな私に ....
紗耶さんの泡沫恋歌さんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
【_秋_三詩_】- 泡沫恋歌自由詩16*15-10-13
【_熱帯魚_】- 泡沫恋歌自由詩24*15-8-31
【_蚊を殺す_】- 泡沫恋歌自由詩16+*15-7-8
【_風の通り道_】- 泡沫恋歌自由詩16*15-6-23
【_娘の手_私の手_】- 泡沫恋歌自由詩19*15-6-9
【_断捨離できるか_】- 泡沫恋歌自由詩22*15-4-8
【_手袋の片っぽ_】- 泡沫恋歌自由詩16*15-3-2
【_分岐点_】- 泡沫恋歌自由詩15+*15-2-25
【_スイーツ♡ウインター_】- 泡沫恋歌自由詩17*15-1-13
【_レジリエンス_】- 泡沫恋歌自由詩22*14-10-11
【_私の化粧履歴_】- 泡沫恋歌自由詩26*14-9-18
【_猫の集会_】- 泡沫恋歌自由詩18*14-8-21
【_物忘れ_】- 泡沫恋歌自由詩18*14-8-11
【_思考する夜に……_】- 泡沫恋歌自由詩15*14-7-21
【_納豆_】- 泡沫恋歌自由詩17*14-7-10
【_ちくわ_】- 泡沫恋歌自由詩22*14-7-3
【_妄想を泳ぐ_】- 泡沫恋歌自由詩19*14-6-4
【_数字_】- 泡沫恋歌自由詩15*14-5-22
【_廃屋の桜_】- 泡沫恋歌自由詩23*14-4-1
【_私の履歴書_】- 泡沫恋歌自由詩36*14-2-21
【_どこへ_いった?_】- 泡沫恋歌自由詩19*14-1-29
【_どんぐり_】- 泡沫恋歌自由詩22*13-12-6
【_電球_】- 泡沫恋歌自由詩23*13-12-2
【_砂の記憶_】- 泡沫恋歌自由詩14*13-10-15
【_私に書けること_】- 泡沫恋歌自由詩21*13-2-9

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