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何度も何度も触れてくるのに
けして苦しくなることのない
数え切れぬ手 ふたつの手
近づき 重なり
離れゆく手
離れ 離れて
響きわたる手
さくさくと向かい風
にじむ ....
あばら骨を浮き立たせたまま
空はどこへ埋まろうとするのか
墓地の土は硬すぎるのに
操車場の跡は狭すぎるのに
まわりながら燃えあがるかたちを
位置も時間も持たないものが
....
いつもいつも同じ場所で
同じ音とすれちがう
同じ夜の
同じ時間に
小さく横に弾む音が
沈む星を捕らえては
右と左をくりかえす
光の歩幅をくりかえす
ひろ ....
鴉のはばたきに覆われて
夜の鐘は少しだけ揺れる
刃の音 鋼の音
夏とともに終わる音
音はただ音としてはじまり
やがて静かに変わってゆく
前転する光と
前転する黒羽が ....