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冬の午後を
公園に置き忘れたので
急いで取りに戻った
言葉を頬張りながら
塾へ急ぐ子どもたちと
光速ですれ違いながら
公園に着くと
理科準備室から
そっと盗んでおいた
雲母の標本 ....
決別したつもりの海に
手招きをする影を見る
葉脈の震えが伝わり
白い夜に立ちつくす
コンパス
情動
頼りにならぬ
女の勘
子どもたちは梟の頭
不等号に揺れる眼球
傾いた試験 ....
寒すぎるサーバー室で眠った彼は
真冬に新月で小指を切る夢を見た
次の朝になって彼が目覚めると
世界の半分が失われていた
空腹の彼はコードで繋がったまま
駅前まで歩いて喫茶店に入った
注 ....
夜の風に呼びかけられて
居心地の良い部屋を捨てる
駄目な方へと向かう本能
どこかで赤ん坊が泣いている
綺麗な花を上からのぞいても
ダ・ヴィンチの要塞都市を連想する
そんな思考に石を投げ ....
雨はなぜ私をすり抜けていくのか
そんなことを考えながら歩いている
死者を飛び越える猫のように
あるいは歩きはじめた老人のように
それは古寺へと続く苔生した山道であり
田植えが終わったばかりの ....
笑っている花瓶を床に叩きつけて
彼女の一日は始まる
すでに夕陽へのカウントダウンを始めながら
鼻歌交じりで自慢の髪に火をつける
深海魚の庭園から響いてくるベルの音
聞こえないふりをしないと食 ....
私は座っている。なぜなら私が、座っている自分自身の姿を心に思い描いているからだ。同様の理由で世界には雨が降り続いている。冷たい雨だ。人がその中に立てば数分で息絶えるほど無慈悲な雨だ。いつから降り始めて ....
磨りガラスの向こうの公園で
外国人に話しかけられた
どうやら、フランス語らしいが
何を言っているのか分からない
家に帰ると母親が叫んでいた
ひとつひとつは意味のある言葉
けれど、つなげ ....