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苔生した岩が目覚めの胸を押し潰す
浅瀬では精霊の呼び声がまだ響いているので
安らかに泉に潜り込む
カーテンの隙間から立ち昇る朝が角度を傾け
夢の泡を貫いてくる
惜しみながら深部を反転したのち ....
左耳が嗤ってる そんな時は
真鍮の針を心臓に突き刺して
鼓動の波で全身を海にする
皮膚という皮膚に群がる蟻が
感情の熱で蒸し焼きになるまで
ただ立ち尽くして真理の老木を{ルビ凝視=みつめ}て ....
あなたの重心が蛍のように揺れ動く度
私は喉の渇きを覚え、疾駆しては立ち止まる

世界が傾き星空は額縁を脱ぎ捨てる
遠い地平から、心臓を灯火に祈りを捧ぐ一群が
集合無意識の亀裂を修復しようと{ ....
あざやかな鮮血に染まったこの手でも
掴みとれるものがある

君の心臓を手の平に乗せ
その重みの振れる速さで
鼓動を聴く

とくんとくんと脈打つそれは
揺るぎない強さで君の感覚を支配 ....
両の眼の平行線が二人を射抜き 行きつ戻りつ 
熱を持った細胞が身体を離れて蒸留する

新たに生まれる神秘性を持つ、そのものは幽かな産声をあげる

どちらの魂に矢を射るのか

射られた ....
両の手の平に抱かれる宇宙
手からはそれを引きつけ、また離す力が充てられるから
楕円形をした宇宙は落ちることなく、ふわふわと手の間をおよぐ

頭(こうべ)から髪が抜け落ちるように
 ....
長い旅路だった
絶望の灯火を燃やさねば
死すら受け入れがたい道を
ただ歩いて

私は太陽に触れる
命の限界を超えて愛するは
その代償も大きく

喜びと苦痛は何処で結ばれ輪になるの ....
秋の夜の先端が月に届き
丸い円の中心から滴り落ちる雨粒が枝葉を揺する

遠く近く震わせる鈴虫の唱和に
一際大きく腹をこする一匹の独唱
寒気にさらされ弱りゆく命を一心に鳴らし
鈴虫は何を ....
tamamiさんの由木名緒美さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
◎ある日- 由木名緒 ...自由詩13+*14-4-12
ランドスケープ- 由木名緒 ...自由詩13*14-4-3
◎インソムニア- 由木名緒 ...自由詩9*14-3-25
邂逅- 由木名緒 ...自由詩6*13-12-7
情熱- 由木名緒 ...自由詩6*13-11-24
胎動- 由木名緒 ...自由詩10*13-10-6
旅人- 由木名緒 ...自由詩6*13-10-4
残月- 由木名緒 ...自由詩12*13-9-6

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