頭が痛いの、
成長痛だと
ごまかした。
悪夢がどんな形になって
飛んでいくのかを
見てた。
白昼夢
タイムマシーン
すれちがう黒い瞼の女の子
甘い匂いが私を
真っ暗な冬の夕方の
安全ピンだらけのマフラーへ
押し返す
私は何もかわってない。
私が訪ねると、
火星の蛸は海底へ旅立った後だった。
無重力の自由な不自由も、
遠く君と蛸の住む星も、
私をぽつんとさせた。
帰ろうよ、と
耳元で ....
扉の手前で
踵と
爪先が
転ばぬ靴に
しっかりと
収まっていることを
確かめる。
右手で押した
扉が
ばたんと
閉じて、
今日 ....
べつにいいよ。
あいたい
あいたい
わらっていいよ。
あいたい
あいたい
てのひら、
つまさき、
きみのそば。
ページをめくるその指の上で
白くまと踊る私。
美しい魔女は紅い唇に
呪文をのせてため息。
蛙の歌う丘の上で
うさぎを抱いてしゃがみこむ私。
王子様の顔に ....
あの夏にいたあのこは、
目眩の見せた幻。
輪郭のない蜃気楼。
茹だる午睡の短い夢。
もう会えないけど、それでいいの。
私大人になったから。
暑い暑い
熱帯夜の入り口。
夕暮れを過ぎて、
思いだすのが
汗の冷えた君の背中なんて。
今日のあたしは
ほんとうに
どうかしてる。
ひまわり病で
上ばっかり見てる君は
あたしが大切に育てた
小さい芽をけとばした。
さよならもいえないのに、
ありがとうなんて
いっていいのかな。
わたしたちのじかんは
ながかったけど、
またあいたいな。
ゆがんじゃったけど、
そばに ....
私の影。
私の存在。
光と私。
帰りたくないとかは
とても言えない。
帰りたくないけど。
とても言えない。
だから
あたしは
また
ぐーをだす。
重い翼を引きずって
君と手をつなぐ。
二人で見る
誰もいない空は、
いつの日もきれいだ。
蜂蜜の瓶で溺れ死んだ
ミツバチのことを想ったら泣けてきた。
べつに私の涙なんて
彼の家族の足しにもならないのだけれど。
すき。
それだけ。
だめ？
とか
言ってみたいのに。
あのこみたいに。
だきしめて
なぐさめて
とじこめる
何てことないよ。
あたしたちは
たんぽぽの種みたいに
かんたんには
飛び立てない。
明るい太陽の下に
重たい雲の下に
嵐の夜の下に
あたしのための
にせものの星空を。
嘘でいいの。
信じさせてくれるなら。
あたしをその空に
飛ばして。
言いたいことがあった。
聞きたいことがあった。
あとで、にしたら、
ぐるぐるまわって、
やっぱり黙るしかなくなった。
夜になると
傍にいるひとは
もっと近くに来て
遠くにいるひとは
もっともっと離れて行く
胃にもたれるほど
甘いショートケーキなら
忘れさせてくれるのか。
黒くて四角いその車
彼のと同じだれかの車
きのうの夜に連れてって。
青い空と、私も一緒に。
ひゅるひゅる
へたなくちぶえふいて
あるく
いつか 笑って
うしろふりかえる
日まで
ずっと遠くに行くのと
ずっとここにいるのと
それはどちらも大変で、
落ち着いてなんていられない。
どこにいてもだれかがいて
どこにいても私がいる。
だから、もうあと少しだけ
....
エアコンの下で
冷たく乾いた体を
ガーゼの夏布団で
まるめこみ
このままずっと
とろけていたいよ。
指からこぼれる うたをうたう。
喉からあふれる うたをうたう。
食べるように 眠るように
あたしは毎日 うたをうたう。
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