弄(あそ)ぶ指先
止まらない髪先のひかり
止まらないにわか雨
ふるえる唇から
零れる風の接吻
枯葉のぬくもりが
みえる窓硝子の彼方
近づく雲のノイズ
....
空を舞う白いなみだ
近く遠く
リフレインする
乳白色の風
手のひらに
あるものはすべて
目を閉じていても
哀しみは
感じない
だけど
何故だろう
....
白い霧の海が
みつめている
囁くように
「この道を歩きなさい
だけど未来は保証しません」
誰かの
冷えたことばを
思い出す
眼下に広がる東京湾は
白 ....
透明な煙が
流れている部屋の窓を
右手で閉じる
閉じた手の
余った時間が虚しい
煙の足跡の風が冷たい
こころの温度を
回復するまでの間が
夜を登るように苦しい
....
夜の満月は探せても
昼の満月は探せない
空の誘惑に騙されて
雲の誘惑に邪魔されて
雨上がりの
悩ましげに
そろそろと晴れた
空に耳を澄ます
赦しのア ....
屈折する
夜のとばりの
彼方にみえる
薄い月
約束とは
青天の空に飛ぶ
噴水の滴の煌めきのように
儚い
約束とは
終わりへのカウントダウン
砂漠の ....
淡い硝子の底の
蒼い水溜まりへ
注がれゆくわたし
なにかをすべてやりつくし
かたちだけが残った
透明な輪がいくつも
浮かぶ水面
もしもそこに
一輪の花が咲 ....
孤独とは、本当は独りではなく
ふたりのあいだに、常に存在する影
光が闇からうまれるように
愛も孤独からうまれる
ぬくもりとは、その孤独が
幾重にも重なり合いうまれた
....
石をみている
石の奥に映る光をみている
石の奥に映るわたしをみている
石の奥に映るわたしの瞳をみている
石の奥に映るわたしの瞳に映る光をみている
石とわたしのあいだには
....
時折見せる
あなたのかなしい微笑に
わたしは茜の放課後をみる
琥珀に澄んだ
あなたの真直ぐな瞳のなかに
わたしはゆらめくさかなの影をみる
あなたは そう いつもやさしい
....
君は遥かな天を目指す
一頭の鷲
孤高なるその瞳
僅かに夢を携える
鈍色の爪先
雨のなかで
しゃがみ込んでいた肩を
浚われたわたしは
君とともに昇っていく ....
いつも
満たされない夜を求めて
光を舞う蝶でありたい
描けるしあわせはいらない
とまりぎに 腰をかければ
灰になってしまうだけ
足跡を水にとかして
あなたからあなたへ
....
月は
見えない音をたて
真昼の闇の滝を滑り堕ちていく
否
堕ちるのではない
昇るのだ
わたしを介してあなたへと
絶望に煌きながら
地の底の淵で
やがて幾人もの人間 ....
ひとつ、ふたつ、と、あなたは
錠剤の粒を数える
明日を待てずに、夜を待てずに
ひとつ、ふたつ、と、あなたは
舞いおちる煙草の灰を数える
線香の如く滅び落ちていく愛を
指先で留 ....
雄大なる大自然の彼方の果てを
奇蹟と名づけよう
あなたとの刻
寄せては返す波の如く
迫りくる愛に
遥かなる未来を託して
明日には終わりはない
続いていく
彼方まで
....
誰も何も
映さない鏡
昨日も明日も
今この瞬間も
映さない鏡が欲しい
何もかもが
映り込みすぎて
息が苦しい
誰も何も感じずに
通り過ぎていくだけなら
不透明 ....
閉じられた
闇のなかのページがある
その紙の隅に
わたしは捺印した
血潮の押捺
同じくナイフで人差し指を
切ったあなたが
わたしの指に重ねる
血潮の性交
血潮の婚 ....
遠くながい光よりも
今、あなたの目の前にある
一秒の光を
直視しなければ
あなたの壁は壊れない
あなたが逃げれば逃げるほど
壁の数は増えていく
わかってはいる、とあなた ....
遠くにもえる空
なにかがやってくる 予感
甘いカフェオレで眠らせたこころに
透明な釘が刺さる
走る列車の軋みに
見送られていく時間
夕暮れの空はどこまでも美しく
わたしを ....
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