母が
乳房を膨らませる過程で
ほろほろと
無くしたもの
父が
涙を忘れ去る過程で
ほろほろと
無くしたもの
それは僕です。
光と量子とのけし粒が揺らめく
生暖かい感 ....
手のひらは差し出した
昨日へと潜水し
やがて沈降に向かう
腐った魚を
捕まえようと
そこは夢精の海
繰り返される
日々が溢していった
鈍い光の残像
甘い果肉の歯触りと
悲哀 ....
深い井戸で口を開く女の陰部
押し広げられた涯の口紅
それを覗いてしまった僕の背中に戦慄した芋虫が這う
民話の語り口から滴る古い童心を奪われ
錆びた鋸が林立する平野は黙って火を食み続ける
....
遠く渚の白波が
さよなら告げるよにさざめいて
町の子どもの線香花火
夏を焦がして昇る思い出
古里は離れて尚もここにあり
暗い微熱に慕情が火照り
振り向けば妖しき街灯
誘う別れの一夜露 ....
太陽が楕円形に回転するカッターの
切れ味になった日、棒アイスに舌を
カミソリのように当てオアシスを快
感する少年と煮えきったアスファル
トでぐらぐらに煮えきった仔猫の死
骸が蜃気楼の波間に飲 ....
電車のドアが閉まる
それを見送る
乗るべき電車は
まだ来ない
*
僕の帰る町にも
やみそうでやまない
雨は降っているのかしらん
*
「あまりよく知らない人たち ....
駅前の公園で
大人になることをまだ知らない僕は
彼女の帰りを待つ友達のふかした
煙草の煙を吸い込んで
萎れた茎のような心を直視してしまう
どうしようもないから
雲の多い夜空を見上げた
そ ....
雨の降る寂しい夜は
樹海に似た空気を宿している
車の黄色いヘッドライトが雨に溶け出して
道端の排水溝に流れていくさまに寒気を覚えながら
傘もささずに一人歩いていた
煙のように揺ら ....
地球を横断中のどこからどう見ても萎みきった男性がスペースシャトルと衝突し死亡
そんな夢。
t he sa me
t he s am e
t he sa me
t he sa me
t he sa me
th e sam e
....
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0.12sec.