自然には矛盾がない
人の心が矛盾を作り出している

三回忌法要で坊さんが話された
訓話の言葉を噛み締める

語る言葉が圧倒的に足りない僕は
何を書き残そうとしているのだろうか

語る ....
疾走する赤き車
似つかわしくない車
それでも
気にならなくなった
麻痺したのだ

新産業道路から
尾久橋通りへ
さらに環状七号線へ
夜の四車線道路をとばす
その恍惚感

月の光 ....
遠い風/海の凪
光の海/遠い風

潮騒を割り溢れ出る光の帯
遠く海を渡るカモメが一羽

君のもとへ早く
焦らずに帰ろう
遠い風/海の凪
もう陽がしずむ
曖昧になる境界

遠い海 ....
何もない日が不安なのは
僕の心がゆれているからだ

縛られたい
アンカーが欲しい

ユラユラゆれ続けて
何処までも流れていくから

空の青さにさえゆらいで


昼休みにあてもな ....
仕事帰りの疲れた身体をシートに沈めると
ひと駅間に
うつらうつら
して

ごく短い夢/妄想を見てしまう

夢/妄想から醒めた瞬間
時間の感覚が混乱して
おいてきぼりを食らった気分で
 ....
濡れたままで立ちすくむ
シャワーがザァザァと音を立てている
頭から水に撃たれたまま僕は
君の記憶すらも流してしまおうとしている

モウドウデモイイヤ

光を感じることができなくて
荒む ....
夜毎交わされる言葉に
どんな意味があるのだろう
だとか
気にする方が変人なのであって

おやすみなさい

眠りに就こうとする挨拶
という意味に純化されて

軽い/重い
どんな思 ....
涸れた港を見下ろす丘の上
にある廃墟のような酒場で
俺は飲んだくれている
のかすら分からない

ただまどろんで

きしむ壁をすり抜けて
吹き込んでくる風に
震えているのか

スト ....
薄暗い河原にしゃがみ込んで
肌寒い風に吹かれながら石を拾う
積んでは崩し 積んでは崩す

水の流れる音がする

向こう岸に繋がっていた橋は
いつのまにか流されて
橋脚だけが空に突き立っ ....


声にならないひとこと
君はテーブルに突っ伏す

修学旅行で撮った百数十枚の
写真をテレビに映して
得意げに/楽しげに
拡大したり縮小したりして
鑑賞していた時のことだった

 ....
震える言葉を摘み取ってみる
掌の中でフルフルと揺れて溶けて
流れることも滴ることもなく揮発する

赤い液体を吸い込んでしまった
痺れる感覚は思い込みなのか条件反射か
そんなこと、どっちでも ....
君に対して
誠実な言葉を口にすることが
できなくなったのは

君が僕を軽く扱うから

それは僕が
気が付かないまま
不誠実な行為を繰り返して
いたからなのか

ゆっくりと壊れてゆ ....
台所に転がっていた
折りに入っていた桜餅は
ちんまり小さくて
一口でも食べ切りそうだ

桜色が濃すぎて
鮮やかでキッチュで
どう見ても体に悪そう
だから少しニヤけながら食べよう

 ....
タスケテクダサイ

テンポとは最早
言い難いほどに
ゆっくりと打ち鳴らされる
バスドラ

露悪趣味も極まった
唄うことの価値を無視するような
声帯を抑制した嗄れ声

空虚で儚く
 ....
高崎線の電車はスローダウン
ターミナル駅にゆっくりと進入する

携帯電話から窓の外へ顔を向けると
常磐線の線路上をこちらよりもゆっくりと
白地に赤帯の見慣れない電車が
高架ホームに進入しよ ....
二階の窓から曇る夜空を眺めている
降りだしそうな雨をむしろ望んでいる
雨に撃たれてしまいたい

世界に射抜かれる前に
この街を焼き払おうか

*** ** *

持ちきれないほ ....
 漢字の練習とかでさ
 同じ字をずっと書いていると
 突然
 あれこの字ってこんな形だったっけと思うことあるよね

娘がポツリと言う

漢字の書き取りではないけれど
仕事で文字ばかりを ....
その手を離さないで

今の僕は放たれて
たちまち空に
吸い込まれてゆく風船で

空の奥のそのまた奥
何もない空間を漂って

あなたの知らない街に
あなたの知らない姿で

降りて ....
キィィィィ ンンン
鳴っている

塾帰りの娘を迎えに来て
路肩に車を止めてエンジンを切る

ガラス1枚隔てられただけで
街のノイズは膜を張られ
夜の静寂が濃くなるから

ィィィィィ ....
踏みしめる音が心地よいから
麦を踏んでいるわけではない

やがて来る冬を越して春を迎えるために
僕らは強くならなければと
強がっている

強がることでしかゆるされないと思い込んで
差し ....
豊洲から有明へ
ゆりかもめ沿いに

豊洲駅を東へ歩く
すぐに現れるガス資料館を抜けると
広大な空き地が広がる

新開地とはこんな
空っぽの場所を指すのだろうか

遠景は遠すぎるが故 ....
夜を走る電車
十五両編成の最後尾
ゆっくり居眠りしようと
乗り込んで席を確保した
はずだったのに
次の駅から
スノーボードと思しき
荷物を抱えて乗り込んできた
二十代前半の女性が
暫 ....
主の居ない実家の風通しに行って
帰京する日の昼食は
親父が通いつめていたラーメン屋

生前
親父は帰省していた僕が帰京する日には
決まってこのラーメン屋で一緒に昼食を食べた

それだけ ....
少し早起きした日曜日
気を利かせたつもりで
洗濯をしたら

真っ白だった
タオルやTシャツが
真昼の空のような
とりとめのない空色に染まった

      それは一緒に洗った
   ....
眩暈がする
粒のそろった
音の洪水
言葉の洪水
音像/位相/破綻/逸脱
シームレスで繋がる
流れ/溢れつづけるメロディ
美しい旋律
降りしきるノイズ
全てを呑み込もうとするコーラス
 ....
お囃子が始まる
和太鼓/篠笛/摺鉦が
絡み合って

今日は表彰式のアトラクション
小さなホールに響く音は
ことのほか大きく力強い

お囃子の調子に乗って
繰り広げられる足踊りは
艶 ....
東京の原っぱが消えたと書かれても
子供のころにはもう
原っぱは無かったのだ

のび太やドラえもんやジャイアンが
遊んでいた空き地も
ファンタジーでしかなくて

リアルじゃなかったんだ
 ....
濡れた足で汚してしまうとしても
恐れることはないはず
そう信じたくて
貴方に話しかけようとする

はじけてしまう言葉を
ただ見送る
見送り続ける

君の後ろ姿など目に焼き付けるものか ....
僕とは繋がっていない
世界中を止めどなく
流れる/溢れる情報なんて
信じられない

新しいセオリーなんて
存在したこと
あったのだろうか

すべては既視感に
満ちていて
それは瑞 ....
宵闇に包まれた路地に建つ
戸建住宅の玄関前に
一匹
猫が座っている
しゃんと背筋を伸ばして
正面を見据えて
その確固たる存在感を
僕は
しげしげ見ながら
通り過ぎる
どこ吹く風とい ....
kauzak(280)
タイトル カテゴリ Point 日付
矛盾自由詩6*10/7/1 23:59
赤き車自由詩7*10/6/21 23:44
遠い風自由詩11+*10/6/11 22:02
ゆれるからアンカーを自由詩4*10/6/1 23:59
高崎線の駅間距離は存外に長い自由詩6*10/5/21 22:49
濡れたままで立ちすくむ自由詩7*10/5/11 22:46
おやすみなさい自由詩3+*10/5/1 23:55
永遠のとば口自由詩8*10/4/24 23:56
夜の河原自由詩5*10/4/18 0:35
写真を消したことも思い出になる自由詩6*10/4/10 23:59
震える言葉を摘み取ってみる自由詩7*10/4/3 22:27
自由詩12*10/3/27 22:39
桜餅自由詩9*10/3/20 23:57
空虚で儚く猥雑でしぶといワルツ自由詩4*10/3/13 22:39
5分だけ鉄ちゃん自由詩7*10/3/6 23:34
二階の窓から曇る夜空を眺めている自由詩13*10/2/27 23:47
ゲなんとかという現象自由詩18*10/2/20 22:57
リセット願望 弐自由詩5*10/2/13 23:46
耳鳴りに親和する自由詩12*10/2/6 23:31
踏みしめる音が心地よいから自由詩6*10/1/30 17:03
湾岸/都心/新開地自由詩17*10/1/23 23:58
人畜無害自由詩16*10/1/16 23:59
語ることのない物語自由詩11*10/1/9 23:37
洗濯自由詩7*10/1/2 22:39
不穏である音楽を自由詩9*09/12/26 22:31
足踊りを見ながら自由詩8*09/12/19 23:22
原っぱなんて無かった自由詩12*09/12/12 21:59
濡れた足で汚してしまうとしても自由詩9*09/12/5 22:32
抽出される世界自由詩8*09/11/28 15:08
路地裏の野生自由詩10*09/11/21 23:49

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