考えてみれば終点の西高島平は
笹目橋のたもとにあるような駅で
我が家から結構近いところを走っている
はずなのだが印象が薄い
開業当時の電車はもう引退して
地方鉄道で第二の人生を送って ....
先週の金曜日に係員が
片っぱしから抜いてきた芥子が
車庫に運び込まれて
取りあえず焼却炉に火が入る日
まで
放置していた
チョクシャニッコウハアタラナイシ
カゼトオシモイイカ ....
微かに本が吐き出していた
縁の糸に絡み取られたように
また
導かれた一冊の詩集
図書館で目にすると
迷いもなく借りてきた
けれど貸し出し期間の半分が過ぎても開けず
10日が過 ....
彼女と手をつないで今夜
麓の街で開かれる
夜祭りを見に行く
月明かりが硬く降り注ぐ
蒼ざめた石畳の街の四隅に
かがり火が燃える
やがて大弓を載せた
台車が四隅から繰り出して
街 ....
慌ただしい朝
出勤前に身だしなみを整えていたら
妻から声がかかる
バァチャンガナクナッタ
僕らの結婚当初からお世話になっていた
九州から出てきた妻は母親代りに慕っていた
おばあち ....
赤い電車も地下を走る
インバーターの
メロディーを奏でて
浅草/日本橋/銀座/新橋と
旧き佳き時代の繁華街を結び
雑多な電車が駆け抜ける
三浦半島から成田空港へ千葉NTへ
インタ ....
心地よい浮力を感じながら
どこまでも流され続けようと覚悟する
その心意気だけで日々を過ごし
世界を変えようとしている
隠れたセオリーを白日の元へ引きずり出す
幸せに繋がる/がらない/のか ....
夏の縁側に腰かけて
入道雲が真っ青な空に湧き上がるのを
見ている
背後の部屋は暗くて
ひんやりとしていて
もらい物の生菓子を食べようと
手を伸ばした瞬間
チリリ
(一陣 ....
人生の軽さを言いながら人生の重みを感じさ
せる。
そんな境地に僕もいつか辿り着けるの
だろうか。
ノイズとスクラッチとギターとピ
アノと正弦波とドラムとベースとライムのよ
....
駅から我が家への道の半ば
江戸時代に開基された由緒ある寺で
お通夜が営まれている
普段は併設された幼稚園の園児が
遊んだり運動したりしている地蔵堂に
祭壇が設えてあって
地域の生活 ....
何も残せないと分かっていたとしても
踏み出すべき一歩はあるはずと
遠い雲に問いかけてみる
僕が目指すべき地はまだあるのか
戸惑いながら歩いていく
朝に夕に
呼び掛ける人の声の暖かさ ....
走り出して一年弱
開通フィーバーも
忘れたかのような
副都心線の渋谷駅
ホームの真ん中に
露出している線路
オブジェのように
まだ無意味に佇む
急行があることを
失念して ....
わぁ泳いでる
宴会場に入ったとたんに
女性陣から声が上がる
浅い椀に入った白魚が
勢いよく泳いでいる
透明な体に赤い心臓
鰓が細かく震えている
勢いあまって椀から
飛び出す ....
彼女は無防備に笑う
笑っているように見える
僕はそれが羨ましくて
弟が居ることを少しだけ恨む
一人っ子の彼女と彼女の両親の
三人の生活を僕は想像できない
考えてみれば僕は
四 ....
固い蕾が座っている
春の陽射しのなかで
凛として震えている
パッと咲けという人が
最近はとみに多くなったけれど
慌てなくてもいい
はずだ
じっくりと根を伸ばし
ゆっくりと綻んで ....
心がザワついて言葉にならない
ノイズ
情動はまだカタチにならなくて
いやカタチにすると
自分が惨めになりそうだから
カタチにしないのかもしれない無意識に
思わぬ出会い
僕は少し離 ....
暗い薄墨色の空を
綿ぼこりのような
存在感のない雲が満たしている
空がすごく低い
薄い夜空から落ちる雨が
僕の身体に滲みこんでいく
街灯に透ける僕の指
二重にブレてぼやける
街 ....
拍動し続けようとする循環器
食べ物を消化しようとする消化器
呼吸し続けようとする呼吸器
その自動性はいつインプットされたのか
何処に記憶されているのか
脳に?
臓器に?
細胞に? ....
一般市民向けのやさしい科学技術セミナーを受けに
漢字でも六文字を費やす「六本木一丁目」という
バス停みたいな名前の駅に向かっている
どんな話が聴けるのか楽しみにしながら
ホームドアで隔離さ ....
ゴツゴツ落ちつかないバランスの崩れた車
その中で聴く二十歳のためのロック
その青臭さが自分のものではなくなって久しい
十年前に書いた詩を読み返しながら
失ったもの表現できなくなったものを知 ....
週休出勤の帰り道
駅のアナウンス(それも合成音声)が
曖昧な事を言っている
まもなく、普通、上野行きがまいります
普通って
それじゃ事によると
上野じゃない所にも行くんだ
と
....
去年の3月から始めた投稿もちょうど1年が
過ぎて投稿数を数えたら108で図った訳で
もないのに煩悩の数に一致して確かにポイン
トに一喜一憂したりいつの間にか自分らしい
と感じるモノに逃げたりし ....
本家の従姉妹3人が集まって
一年忌の手伝いのことを話していた
はずなのに
気が付いたら彼女たちの話題は
秋にみんなで行く旅行の計画に変わっている
機関銃トークは女子学生の専売特許
....
キーボードの手を止めて
受話器を上げる
懐かしい声が僕に呼びかける
同じ社宅に住んでいた近所の小母さん
親父にきた年賀状の返礼に
僕が出した寒中見舞いを見て
驚いて電話をしてきたら ....
半蔵門って何処だ
紫の帯の地下鉄が開通したとき
まず思ったのはそのことだった
銀座/丸の内/日比谷/東西/千代田/有楽町
方角を示す東西以外の路線名は
東京近郊で産まれ育った僕でも
....
電車の座席に揺られると
素知らぬ顔で睡魔が襲ってくる
この瞬間も手が止まって意識が飛ぶ
気が付くと携帯電話のバックライトが消えて
真っ黒の画面が虚しく光る
(この機種はどうしてこんなに早 ....
信号待ちの車の中
ふいに
シチューの匂いが
忍び込んでくる
こんなに濃厚なシチューを作る
幸せな家はどんな家だろう
と思うけれど
走り出した車の中
すべては押し流され
....
ただ青く色そのものになった空
飛んでいる/はずの飛行機の窓の外には
動かない風景
窓の下には薄いごく薄い雲の海が霞む
空と雲の海/の境界を何と呼べばいいのだろう
白く霞む雲はその下に広が ....
貴方の
意味なんてない
と挑発する詩を読んで
心が
ざわっと動いて
コメントを書いていたはずだった
のに
手元が狂って
書いている途中で消してしまった
あぁ、なんだよ
....
?
加速を付けようとする度にガタガタと揺れる高崎線
高速で惰行運転に入っても細かい振動は収まらず
それは日常にはありえない乗り心地で不安で
あまりに快適な運転に馴らされて居たことを知る
....
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