御飯を頬張る私をまじまじと見ながら
太った?と聞くから
3キロと答えた
大袈裟なくらいあなたは笑って
幸せ太りだねと言った
私の頭には浴槽があって中を覗いて見たけど
お風呂に入るにはちょう ....
私たちは毎日食べて
毎日寝て
毎日仕事をする
来る日も来る日も
時間を繰り日を繰り
毎日を生きる
今日の水は今日汲みに行こう
それ以上でもなく それ以下でもなく
明日の水は ....
窓のない この部屋で
青い折り紙ばかり見ていた
ねずみ色と呼ばれる紙を
雲に見立てて 丸く切ってみても
雨の色は思い出せない
目をつぶれば
いつかの遠い夏の空が
果てしなく広がり ....
あなただけしか知らない秘密があって
あなただけしか知らないってことが私の秘密で
私たちはそうやって誰にも知られないように
秘密をつむいでゆく
0次元は点
1次元は線
2次元は平面
3次元は立体
…
n次元なら雲を掴めるかもしれない
どこまで行ったら
あなたの心を掴めるのだろう
あなたが望むなら
私はあなたの側にいよう
あなたが望むなら
私はあなたの子供を生んで
あなたが望むなら
私はあなたが眠るのを毎日見届けよう
あなたが望むなら
私はあな ....
寒い冬の日
凍った池の前で
あなたと二人
過ごしていた
言葉もなく
音もなく
赤色や黄色や茶色の
葉に敷き詰められた水面を
私たちは見続けていた
陽の光が緩やかに傾きかけた頃 ....
たとえ 私が死んでしまっても
あなたは知らないでしょう
長い間ログインしないうちに
彼氏でもできたのかな
と思うでしょう
さらに月日が過ぎたら
私を思い出すこともなくなるでしょう
....
夜空に大きな花が咲き乱れ
詠嘆する人々の声は
熱気とともに季節を彩る
私はまたあなたと二人
ここへやって来ては
花火を見上げている
花火は桜のよう
咲いては散り
散ってはまた来 ....
今度またこういうことがあったら
言ったほうがいいのかな?
言わないほうがいいのかな?
と訊いたとき
君はとても嫌な表情を浮かべて
だけど即座にはっきりと
全部言って 必ず全部言って
....
生きるのをやめてみようかな、と思った
ずいぶん前、絶望の淵で
そんなに大事ではない
ただ少し、休みたかっただけ
それから今まで生きてきた
生きることを選択したわけではなく
死ぬのを ....
山でもない 谷でもない
山の麓の沼で溺れていた
あの山の頂上に行く予定なんだと叫びながら
手足をもがいていた
蛙はゲラゲラと笑ってた
助けようとしてくれる人たちもいた
その沼は底な ....
七色の翼を持つカナリア
空高く羽ばたき
その歌声は月夜に響くだろう
あなたはカナリア
私は幻の夢を見る
私が恋したのは美しいカナリア
檻の中のカナリア
誰も知らない塔の最上階に
僕たちはいつもいた
その部屋は『時間の部屋』と呼ばれ
窓からの景色は
天も地も人も時間も
すべてが見渡せた
僕たちはいつも3人で
僕は皆から『過去』と呼 ....
西の空が赤く 東の空が青く 染まる頃に
「あの時 約束を忘れた振りをしたんでしょう?」
今まで言えなかったことを
いたずらに訊いてみようと顔をあげた
あなたの横顔がまるで知らな ....
男と出会って記念日が生まれて
男と別れて記念日が無くなって
貼って 剥がされて
シールのように
私に残ったのは
自分の誕生日が刻まれた刺青だけ
誰かの誕生日を
....
戦争は終わったのだろうか?
今は風の音しかしない
誰もが色んな言葉を口にして
感情的で緻密な作戦を練って
或るものの為に戦った
羞恥心は捨てて訊きたいことは全て尋ねた
言葉が溢れて ....
「愛していると思ったのは錯覚だった」
そう言って別れを告げて
逃げるようにあなたの前から去った
許さないという留守番電話のメッセージ
それが最後に聞いたあなたの声だった
電話番号 ....
つきあって一周年の記念に
バラを一輪もらった
花が欲しくて欲しくて
あなたから贈られたくて
せがんで だだをこねて
やっと初めて貰った一輪
二周年には二輪ねって言われて
はしゃい ....
裏切りには裏切りで返して
これで おあいこ
誰かを傷つけて
幸せになろうなんて思わないし
みんな幸せになってほしいと
祈る気持ちに偽りはないけど
誰にでも優しい顔をすると
誰にも ....
親知らずを4本抜いた
そうやってつじつま合わせて生きてきた
嘘には嘘を上塗りして
秘密には秘密でごまかしてきたけど
私にも友達ができた
友達は言った
次にあなたに何か悪い事が起 ....
口が過ぎたと思った頃には
既に時が過ぎていた
あなたは怒っていた
いつもとは違って
将棋のように冷静に言葉を並べて
私の非を問う
私は「ごめんなさい」と言った
相槌のように
....
他の人が言うことは ほとんど嘘だ
永遠なんて 限りなく 無限に近い有限で
50年も果たせば その言葉の意味を全うできるのに
数年も経たずに 朽ち果ててゆく
絶対に いつか 必ず
....
罪を犯した私が
どこへ逃げようとも
誰の許しも乞うことはできない
たとえ誰かが許してくれたとしても
何も変わらない
置いてきた事実は
過去の中
あなたでさえ
私を許してくれるは ....
ある夜
友達がひみつを打ち明けてくれた
今まであった つらくて 悲しい 出来事
ひとつ ひとつ 言葉を選び
ゆっくり ゆっくり 話してくれた
友達は泣いていた
いつも花のように笑っている友 ....
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