帰り道の踏切が夕陽の中でけたたましく鳴って、し
ばらくして私の前を、快速列車が辺りの熱を巻き込
みながら走っていく。自転車のペダルを踏み出しや
すい位置に蹴り上げる。
学校を出たのが5 ....
何もかも を
誰のことも
忘れたくないという
それだけの こと
たったそれだけのこと
を 願う
わたしの 願い
は それだけのこと
何から も
誰からも
忘れられたいという ....
「ねえ、ブルーってイーが前だっけ?ユーが前だっけ?」
「ブルー?」
「単語の綴り」
「あ、んと・・・uが前だよ。ルー・ウーだもん」
「いっつもわかんなくなるんだ」
「ルー ....
3・31
波打ち際で砂をすくい
「これで世界は救済された」と
両手いっぱいの満足
守られるものは
両手いっぱいの満足のため
あとは
波が足跡を消すのを待っている
待っている
....
3・28
あなたが、いつも吹いている口笛の音律が、耳から離れないから、わたしは今日も眠れないんだ。窓の外には、春と呼ぶには早すぎる、マイナスの風が吹きすさぶ。けれどそれすら、今のわたしに心地よ ....
10・19
ある日星が落ちてきて
空は見渡す限り暗闇になった
わたしは世界に散らばった星を
拾い集める旅に出た
モンゴルの高原には
羽の折れた白鳥座が落ちていたが
少年が食べ物を ....
4・11
波の返す音を数えて
砂浜に線を引いた
8まで数えたところで
波が静かにさらっていった
真夜中の海は
どこまでも真っ黒で
水平線など見えはしない
それは空が落ちてきたの ....
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