佐藤正午や横尾忠則が描いたY字路
織り成す綾であり
しずかに開いた不思議であるY字路
ひとは舟とすれ違い
川とは相対している
どこかで決められているのだろうか
....
もてない男が浮気しないコツを喋っているようなものだ
そういうやつは感謝されることに飢えている
なら感謝してやればいい
やつは調子に乗るかも知れない
調子に乗らせておけばいい
....
どこかで計算されているのか
寄る辺ない営みだけが確かです
人生の遥か範囲で
運命や宿命が
遠い燎原のようだ
太陽系第三惑星に届いた星は
勝手に名前をつけられている
....
うつろう自然と人々のいとなみを
列車が直線に突き抜けていった
車窓から
世界が紅葉で汚れているのが見える
ちいさな山の連なりに
湯気のような霧が溜まっている
灰白色の低い空には
楽しいこ ....
人はデジタルなものに支配されているのか
人はアナログなものに支配されているのか
そのどちらもなのか
どちらでもないのか
人には依りどころが必要なようだ
思想や情動の成 ....
神戸での会合を終えて
新幹線に乗り込んだわたしに世界は
スピードと夜を与えていた
岡山までの短い時間だけれど
南方の従軍基地にむかう兵隊さんの
わたしはひとつのたとえ話だ
船底にち ....
オレはいまひとりかい
レゲエさえせつなく聴こえるよ
ブルー?ドロップス
おい
レゲエって黄色じゃなかったっけ
思いきり
スマイルしてみる
愛がほら
スキ ....
足もとのカラスは飛び去らなかった
朝のホテル街をふたりで歩いた
いいのに、でも、ありがとう、
女を駅まで送っていた
ぼくらはたとえ話のなかを生きている
これは、なにか ....
六十八年まえのある日
ぼくらの先輩は
ハワイに奇襲攻撃を仕掛けた
それが実は傍受され
逆に仕掛けられたものであったとしても
十二の空を蒼天と呼ぶ
司令長官の激烈な真 ....
きみを忘れることなんかできやしない
人類が抱える問題なんかより深刻だよ
七千年まえから
炭水化物中毒になってしまった人類
七年まえから
きみを考え中毒になってしまったオレ ....
平気な口をして返事をしないで
あなたとなら何処へも飛べるの
囚人のジレンマを巡りなさいよ
ひとはうらやみもしないけれど
心がわりはメールを待ちわびる
あたたかい紅茶のなか ....
カラスが夕日を出入している
オレは寂しさを捜したりしている
暗冥をやぶる焚火のような快楽
山を越えて市街地を見晴らしながら
ゴルフ場からの家路を辿っている
学生の女の ....
だから
暗中模索・徒手空拳で
俺はIBをつらぬいてゆくぜ
結果がすぐでることなんか積み重ねても
そんな遠くに行けるはずもないだろうから
暗中模索で全然OK
徒手 ....
日本のことなら俺に聞け
これがいいでしょキリギリス
ひねもす松の木ノ下で
寝ころびのっぽが死んでいる
あした越える夢はもうきょうは夢じゃない
女の悩みひとつ聞いてやれ ....
自殺が話題にされると
じぶんの引き出しに
自殺が入り込んで来る
まさかじぶんが
そんなこと
今は有り得ない
この実感が曖昧なことに
しばらくして気づく
自殺よ、忍び寄らないで
....
黒い河の向こうを
電車の明かりが渡ってゆく
あと6時間もすれば
この街は放射冷却で煙れるだろう
置き去りにしたのは
ぼくの心、それともきみの心のほうなのか
あの電車 ....
希望は与えられている
悲しみは与えられている
ショパンを練習している
テンポの変わるところが
音がほどけてしまってながれない
おなじところで音もわれる
灰色の街で
....
暗中模索の日々のなかを
わたしはきょうも
わたしはあしたも
きょうという日々を生きるだろう
ひとの夢がわたしの夢に沿わないとき
わたしはそのひとを
愚かだと決め ....
恋人いじょう
友達みまんのふたりには
待ち合わせる場所も
繁華街のシャッターのまえ
セブンスターを持ってかざして
立っている
割り切りたいと
そういう欲望 ....
少女のような
その逆のような
真ん中かも知れない
だけど男ではない
助けを呼んでいる
キュンキュンきてる
アマリア・ロドリゲスの
歌声は無垢な群れ
路面の電車、壁と見まがう ....
部室に転がっていた雑誌の表紙は手塚治虫だった
手にとって眺めていたら
女優の田中裕子のエッセイに目がとまった
もう20年以上まえ、平成元年のことだ
エッセイの内容は
ライトアップされた東 ....
大阪を発ち東京に向かっていた
車窓の闇のせいで
一瞬夜のような錯覚を覚える
これは朝の暗さなのだ
車内の匂いがまだ人間に撹拌されていない
車内の明かりの鮮度に目がなれてゆく
車窓の ....
到達点ではないという意味に於いて
私の志す理想は王国にあらず
一部の者たちの人格の磁場にあらず
王国とは自らの理想郷を言う
その王国が開かれたものであるのか否かは
....
まだぼくが幼かったころ
不倫あいてに
星野道夫の旅をする木を読んであげていたことがある
あいてはそのまま眠りたかったに違いない
まだぼくは幼かったから
からだをいたわるふりをして
あいてに ....
きみの言葉を聴いていなかった
ぼくによろめいたきみの寂しさを
聴いていなかったからごめん
サイゼリヤの駐車場で
ホテルにいくまでの時間を過ごした
きみはお父さんのことや
....
臼田雅代の財布に金はなかった
財布に金がなくても日常は消し込まれてゆく
アルバイトを終えて車で帰宅する
ふたりの恋人が今日も職場に遊びにきた
高田篤は同い年の不倫相手だ
篠木康太は六つ上の、 ....
夜を待てずに
豚が岸辺に波を見つめる
スティックみたいなあそこ
固く濡らして
川べりの風に女の髪
豚に真珠の月影が
脱獄まえのさいごの笑顔
さよならの癖は ....
見果てぬ夢のカーニバル
砂にかいた城郭の呪文
寄せてはかえす波の調べに
なにを重ねてなにを惑う
きみの瞳に恋している訳ではない
きみの瞳に乾杯したい訳でもない
....
恋への期待をトランペットが
今日の果実を絞り込むような
鏡のまえで私は武装している
小鳥たちの囀りがアフリカを
木漏れ日たちもそれを真似る
感謝がアムールに追いつかな ....
あどけないズルさや
さやかな正義感が
生まれては消え
生まれては消えしていた
ぼくらの気持ちは
さらにどこへと消えてゆくのだろう
友よ
永遠など
な ....
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