我慢してたけど
とうとう声が出た
ぐーとか、うーとか
声が出た
お昼の間
ずっと我慢してたから
何年も
ずっと我慢してたから
いつも見慣れてる
君たちの写真
ヒラっ ....
お昼みたい明るいガソリンスタンド
街灯、信号、ネオン、テールランプ
涙で縦になったり
通いなれてた道を
今夜は一人で運転する
ひどい事故起こしそう
予感
お昼みたい明るいガソリンスタ ....
青い部屋のバイオリン
天井に浮かぶ
水あめのプール
眠い青い部屋 グルグルと回る
足が暖かい
耳が暖かい
トロトロと眠い午後の部屋
心臓が遅くなる
時計が遅くなる ....
ネムネムと起きだすあったたかい午後
青い空
さくらの国に生まれた
幸運だと思う脳の奥底
ヒラヒラと空気も桜色
敷き詰めて道路も桜色
テクテクと歩くあったたかい午 ....
肩をよせあって同じ本を読んだ
同じページで笑った
手をつないで歩いた
エスカレーターでは必ず向かいあった
家の前に車を止めても
バイバイを言うまで一時間
多久蘭乱/ ....
人生は綱渡り
陽がまぶしくて落っこちる
風に吹かれて落っこちる
人にすがって歩くバカ
人をだまして歩くバカ
人生は綱渡り
浮かれて踊れば落っこちる
手を取り合えば落 ....
港にしずむ
真っ赤な夕日が
君を乗せた船を
遠くに運ぶ
さよならさえ言わず
言葉さえかわさず
からんだ糸を
ふち切るように
水面に映る
真っ赤な夕日に
....
はしゃぎすぎて血を吐いた夜は
これをあげよ
あったかいメロンスープ
どろどろと喉の奥に流れ込み
赤い胃をなでまわす
ぐるぐるまわして緑色
スプーンが溶けるまで
泣き ....
静かにまわる足踏みミシン
ベルトをはずしてるときだけ
遊んでもいいと教えられた
今そこで遊ぶのは君
私の娘
手をはさまないでね
はじめて乗った飛行機
大都会の遊園地 ....
ごめんね
誕生日も
星座も
忘れちゃったよ
だって生まれた日に惚れてたわけじゃない
ごめんね
血液型も
下の名前も
忘れちゃったよ
だって名前に惚れてたわけじゃ ....
引越しの唄
悲しい唄ばかり
やっぱりそうなのかと思いながら
だって君が一人で登れるようになったハシゴ
しゃべれない言葉で連れて行けとせがんだベランダ
桜の花びらが吹き込んで ....
なんとなく心配な顔をつくって君は
手をつないで酔っぱらった夜は目がまわりすぎて
死ぬほど落ち込んだ顔をつくって君は
知らん顔してすれ違ったろうかは日が当たりすぎて
「もうすぐだよ」 ....
君の左肩にもたれて
ウトウトと通り過ぎた時間
でも もうずっと前の話
ぐるぐると落ちてゆく重い渦の中
遠くに見えるのはため息をついて
手を上げる君のうしろ姿。
心の中
....
また一人になったけど。
きっとまた慣れるよ。たぶん。
自分だって自分をだますくせに
他人に信用されようなんて
虫がよすぎるのかも。
雪の中いそがしそうな人たちを
部屋からみ ....
目がまわる夜
ごっつんこしながら
あったかいね耳と耳
でも
ふたりとも
言い忘れたことが
いっぱい
きっと明日になれば
きのうの話。ずっと前の話。
星の ....
ほんの0.1秒前に割れたカガミも
3年前に割れたカガミも
二度と物を映すことはない
多久蘭乱/「時間」より抜粋
口の赤いこのこ
すぐにテクテク歩きだし
自分でえさをとる毎日
大きな家の広い庭
火をつけてはおこられて。
口の赤いこのこ
カベに向かってすわりこみ
自分語を話す毎日
....
わがままを一つ
手のひらにのせて水の中
ゆらゆらとしずむ白い服
昔々恐竜がまだ元気だった頃
昔々地球がまだ温かかった頃
涙を一つ
手のひらにのせて水の中
ふわふわと ....
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