さあさあかかって来い
挑みたいならかかって来い
おれが胸を貸してやる
やりたいんならかかって来い
おれにはどこも欠点がない
完全無欠の風雲児
不満も不足もありはしない
真円のように満 ....
着古したスーツに袖を通し
素知らぬ顔して電車に乗る
むかし嫌悪した満員電車
今ではそれすら感じない
仕事ばかり上手くなって
順調にマシンに近づいていく
利益と効率化が行動原理
また君 ....
昔、砂場でよくあった
棒切れを手に取って
自分と、自分以外の人間のあいだに
いびつな線を引く
こっから先おれの陣地だかんなー、
そう言って嬉しそうに、
そして、意地悪そうに笑う
それ ....
僕の部屋だけを残して
今日も一日は終わる
Tシャツが背中にへばりつく
僕の口にした言葉は
一体どんな形だった
吐き捨てたのは自分のはずなのに
胃の中ではまだ
黄色い物が蠢いている
....
ぼくはいま
たいいくかんのぜんぽうの
ぶたいがぜんぶかくれるほどの
しろいきゃんばすのまえにいる
きみはみぎてにきいろいペンキ
ぼくはひだりにぼくのペンキ
きみのペンキがこをえがく
....
公園の木々は
真っ黒な影を映しだし
セミの鳴き声が
コンクリートに反射する
コンビニまで全員ダッシュ
ラーメン屋から野球中継が漏れてくる
この汗は熱気のせいじゃない
自分でもよく ....
まるでもう梅雨が明けたような日だった
絡みつくような熱気
三番線のアナウンスが陽炎に揺れる
横ではサラリーマンが
つまらなそうに電車を待っている
僕はただ
いつもの青いタオルで
額の汗を ....
閉め切られた直方体
その中で
向かい合って
投げているのは見えないボール
そのひとつひとつを
正面の相手が弾き返す
まっすぐ伸びた腕
しなやかな肘
打撃音
右腿への苦痛
い ....
見ないで
僕を見ないで
なんでみんな僕ばかり見るの
両手で全身
ひとつひとつ触れてみる
でも足は止めない
余計に目立つから
子どもが隣を駆け抜ける
子どもはかわいい
僕に評価 ....
当然のように
空は紫に染まっていく
バスターミナル パチンコ屋の照明
若者たちの笑い声
駅は通り過ぎたけれど
もう少し歩くことにする
旅行サークルが 新入生歓迎会を開いている
絶 ....
霧雨さえ止んでしまった午後
いつも通り腹は減るから
買い物に出かけた午後2時半
君の好きだったいちご大福を
なんとなくかごに放り込んだ
カップ麺とこすれて音が鳴った
世界は ....
なんだかんだと流されて
紺のスーツに袖を通す
人事の話もほどほどに
つまらない詩を書きとめる
働きたくないわけじゃない
何をすべきか分からない
喜びがないわけじゃない
苦痛と引き ....
今日初めて
道行く少年に おじさん と呼ばれた
スーツを着ていたからだと思うけど
公園の木が風に震える
アスファルトは抵抗する気すらない
おじさん、てぶくろおとしたよ、
とその少年は
....
ことばを交わしたい人がそばにいるのに
壁に貼られたメニュー表ばかり見ている
生ビール550円
横顔を見るタイミングだけうまくなる
「いい人」になんかなりたくない
「大切な人」になりたいの ....
出会う前に戻ったのに
どうしてこんなにつらいのかなあ
つないだ両手を離しただけで
まるでちぎれたように痛む
ぼくらについて驚くべきことは
それで相手がどんな気持ちになるか
まったくもって分からないまま
ことばを口にしていることだ
しかも
その人が笑いかえしてくれたところで
それはやわらかな微 ....
こないだおれの足あとに
中2のときのクラスメイトがいたんです
宿題の貸し借りはできたけど
遊びに誘うわけじゃない
事務的な話をした程度の
かなり微妙な関係
「マイミク申請って 事務的な手続 ....
どんなに言葉を尽くしたって
どうせ誰にも届きやしない
この前マックに入ったら
てりやきバーガー食べさせて
自分はつっぷして寝てる母親
子どもは静かにDSで遊んでる
だいじょうぶ ....
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