卒業の記念を持たない人が
 ポケットに
 石を忍ばせているらしいと
 風の噂が耳を掠めた

 石ころの仕込みは人それぞれらしい
 代々受け継がれるモノもあれば
 下駄箱に投げこまれてい ....
 子どもが さけぶ 肺をからにして
 名前を奪われた 動物を確かめ
 さけぶ こめかみをふるわせ
 おなじ靴、おなじ服
 好きになれない 名前 みなひとまとめに
 ぬぎ捨て駆ける

 さ ....
 水が 欲しい
 もう 雨が聞こえる

 水を思うと
 ことばの膜は かわきはじめて

 そのまま 波の奥
 さみしさが鰓をおさえつけ
 こころ、と消えて
 択ぶように石をつかんだ
 ....
 こわい箇所だけ集めた 試写会のような
 夢
 夢は ひろい鏡に浮かんだ
 あおじろい入れ子

 口の中はレトロ
 ほの昏く暖色な
 どことなく固定された感ただよう炭酸臭
 安っぽいシ ....
 忘れ物 に なったハンカチ
 あわいもも色 うさぎを飼って
 駅の向こうから来る
 おんなの子を見て
 つれていって
 と、輪をかいた
 石のむれをしずめた 海と
 とおい空 かすれた ....
 ゆれる ぬけがらの重さ
 ひとつひとつ 声に彫られた
 ふるい幹のこまかな傷と

 蝉と烏 青を奪いあう
 にぎやかな今日

 不意につまづく
 日傘をさした子づれの伝道師が
 扉 ....
 田舎のビルでみた 踊り場 シネマ
 月光 スクリーン 古びた壁に
 主人公、現わる とある風
 恋は またたく間に想いを伝え
 うかれ気分を流れに運び去られても
 次の季節に 誘われ飽きな ....
 ホントに海なんだって
 あるつってんだよね車座のばあちゃん連が
 あの丘をこえたらザザザ

 と、むかし たぶん一度きり
 お波とお供からあっとさらわれると云い
 舟のり達なら躊躇うわず ....
 ゲームセンターの活気は
 見ているだけがいい
 かつてハイスコアを争った
 夭折たちの親しみが鎖されている

 憧れた景品は
 一度もとれたことがない
 冷媒は触れると綺羅をすり潰す
 ....
 (人の電離が噂し苦し)

 うんと昔ながら
 不意に回想される人
 生まれた額の単眼で明暗を求め
 溢れていた色と香りを踊る中
 くい込む
 針だけが抜けきれず
 土深く残されて欲し ....
 道に迷った鳥たちが憩う屋上庭園は
 都市に仕掛けられた田舎風の罠
 たまには人間も立ち寄る
 ネクタイなんか弛めて
 汚穢なんて言われるが
 ほんとうに心地よい斜められた大気

    ....
 暗やみに
 はり 巡らされた 糸

 目ざめ る
 頭蓋に は
 蜘蛛 が棲む か
 吐きだ された
 糸 が伸び て老いて

 朝 を待たず
 足音 に
 ちぎられてゆ く
 ....
 エロチックな好奇心と
 相性がいい音楽がある
 それは時にバッハでも構わない
 大切なのは

 踊ることだから
 何もかも棄て
 くるくる回り
 捩れ
 戻れ
 くり返すだけ
 ....
 花がゆれていた
 かすかな風があるらしい

 おあしす、という名の看板が
 空に吊り下げられ

 割れた白熱灯が取替えれない
 青粉を吹き
 町と山の境を馳せる群

 人をつれ去 ....
 落ち葉をひろって
 たったそれだけのことで
 一日が眠りつく
 つらい、けれど大切な別離があって
 急にころがる
 あなたの ひとつぶ
 それを どうか嘆かないで

 中心に感じて
 ....
 飾る
 花を一輪、もう
 動かなくなる唇に

 飾る
 短い一生
 不意の熱交換

 飾る
 フレームいっぱい
 ただ ただ笑い

 飾る
 すべらかな不安
 幾何形体
 ....
夏 夕暮れて
逃げ水の空は
ひかりの端から
てのひらに現れる
なんてあざやかな文字盤を濡らす

鎖されて昏く
放たれて赫ぎ
ふりかえれば
くるりくるほそ長い螺旋
胸の人の絵姿にも見 ....
 チーズケーキなんかなかった
 ほんとうはトーフ(チーズのせ)だった
 ワインじゃないこぶ茶

 テーブルの夜を醤油で食べたくなった
 痩せた蝙蝠がいて
 壁のすき間で乳離れをはじめた
 ....
 真夜中に点灯した冷蔵庫の奥であらゆる向きに齧られたチー
 ズケーキが発見された\反射的にわたしもかじりつき\素早
 く体温を加え咀嚼を開始\ねっとりうっとり\うまれるチー
 ズケーキのかがやき ....
 海は準備活動を終え
 ひらかれるのをを待っている
 次つぎと飛沫をあげくる
 首から下が海にとっては

 たくさんの人間達のように
 いつかは愛したいよ
 あの空の
 離れるほどそそ ....
 感じる それ
 そう過ごす時期がきて
 すべての穴 おし拡げられて
 戸惑いも

 空が必要なくらい 青いから
 蜜が欲しいくらい 痛いから
 人としても必要とされたい
 一度きり
 ....
曲げた躰をハートの形に触れ合わせ
あおく短い空を翅ごとに掴む
 (静かに震えながら)
何を見ている
何を感じた
 (水と血が滲じむと)

小川に沿って気流が乱れ
深い茂みが盛り上がる度 ....
 空っぽのランドセルに
 かなしみをカタコト鳴らしながら
 工事現場は夕暮れの渦につつまれる
 瞳が裂けた子をひとり
 ひかりの膜にとり戻す
 想像上の友だちは
 会いたい気持ちを反故にさ ....
 小鬼らの足あとに少女もはだしを載せましたら
 堪えきれない心が蒼へと染まり
 瞳に映らなくなりました

 そこから見えますか
 少女の唇が呼ぶ雨と
 少年の肩を締めつける光
 そして間 ....
 カメラを構え
 しんと静まる
 あの感じ

 シャッターが切れる直前の
 無限に近い感じ

 出来上がる
 誰にも見せられない
 風景にしてしまった
 取り返しのつかない
 圧 ....
 色褪たページは
 枕辺のまぼろし
 テーブルに伏せた夜のとばりを
 そっと捲るように

 形を感じさせぬ影は
 ただそこにあり
 幾重にも揺れるカーテンの奥で
 かすかに濁すマドラス ....
 都会の片隅に、にっこり
 置いとかれたお地蔵さん
 短い夢にからかわれ
 ビルからまたビル渡り
 錆びた引戸の奥で
 さよならぽつり

 きみはやわらかに抱きしめ
 つつみながら
 ....
 見えない陣が静かに張られ
 消せない悔いを学ばされる
 通学の青にも馴れた頃

 無菌にされてゆく教室で
 午後の解答欄をはみだした
 もっとひろい紙の方へ
 未来をつかうことば達を黙 ....
 積乱雲を想って
 紫の渦あじさい
 順呼気に澄む
 ふくらみ過ぎた花と緑は
 まるで巨大なくるみ型の舟
 或いは脳みそ 
 私はミソスープに伸ばした腕を
 食卓の
 小鉢に触れたいと ....
 撹拌された
 街の音や願いが
 クラシック風の音形をなぞる

 やわらかな丘の群で拾われる古代
 おしゃべりな小鳥
 衰弱しかないその聲に
 仮託された笑みは
 発点してしまえばいい ....
soft_machine(447)
タイトル カテゴリ Point 日付
石ころ?自由詩4*23/8/10 5:59
こどものせかい自由詩9*23/8/9 15:18
水をおもう自由詩2*23/8/8 17:10
自由詩2*23/8/5 9:20
忘れ物になったハンカチ自由詩12*23/8/5 9:19
青い影自由詩323/8/4 10:38
風のシネマ自由詩3*23/8/3 10:56
ザザザ自由詩8*23/7/28 16:37
ゲーマーズハイ自由詩223/7/28 15:26
骨を抜かれた話自由詩223/7/28 6:01
屋上雑景自由詩123/7/23 17:08
夜のうちに自由詩2+*23/7/21 15:49
コレクション自由詩2*23/7/17 18:40
夏の日自由詩223/7/17 14:20
なみだ自由詩6*23/7/14 20:46
飾られる人自由詩323/7/14 20:45
夏の雨自由詩423/7/13 11:01
リルケさん自由詩2*23/7/12 20:11
チーズケーキとリルケ自由詩11*23/7/8 12:44
海びらき自由詩423/7/6 16:29
夏がきて自由詩323/7/6 16:16
蜻蛉自由詩523/7/4 15:46
ある日自由詩423/7/4 6:23
あやかし自由詩4*23/7/2 15:40
カメラ#2自由詩5*23/6/28 18:10
ブルーマウンテン自由詩323/6/26 17:34
お地蔵さん自由詩723/6/25 21:54
テスト期間自由詩423/6/22 15:05
六月自由詩8*23/6/16 18:34
やわらかい丘自由詩423/6/10 21:26

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