しゃらくさい ぼうや
いいだろう ともに行こう
知識は たゆまぬ 経験から
うまれる 千年 生きても
まだ 冒険が たりない
家賃と食費を かせぐためだけの
生活だけど まんざらでもないと
思いはじめているが ヒーローに
冒険へ誘われたら すべてを
うっちゃって 駆けつけねばなるまい
ぼくは闇と戦うため
帰りの電車のなかで
剣士と 魔法使いと
ドワーフと お姫さまに
メールをだした
砂をつかんで はなつ男がいる
砂はどれも 鳥のかたちになり
おちて こわれる前に
風がすくって せっせと
雲の巣へ はこんでいる
鏡の迷路で
みうしなったら
うしろむきに 夜の
斜面で 滑ってみましょう
こわれたのが わたしです
ことばは いつ わたしに
なるのか あやしいから
わたしのなかの あらゆる
わたしを あらいだして
いったんは ながしてしまう
とうふの かどに
あたま ぶつけた
だいじな ことば
とびちり きえた
きみの なまえも
いい匂いの おねーさん
風にゆれる 若木のような
ほほえみを ふりこぼして
うつろいよりも はやく
少年を 朱に染める
うっかり むかしのと
おなじものを そっくり
はじめと かわらぬ
ときめきで しらずに
かいて しまえること
むすびめに つまずいて ころんだ
ものずきに おなじみちをきた
きみも つまずいて ころんだ
そこで ふたりは むすばれて
あたらしい むすびめになった
とおくの星はみんな
他人のものでいいさ
宇宙を すくいとろうとして
ふかい裂け目ににおちた
自分の物語を 遍歴したから
遠くまで 届きたい
おもいが 橋となる
その たもとから
深淵を のぞいて
たちすくむ
あやまちの あとを
けさずに さらして
はだかで くるりと
まわり なまきずに
りぼんを むすんで
わたしの あたまを
からから まわすと
なないろの たまが
さいげんもなく でますが
ぜんぶ はずれです
本屋には 本がいっぱいあるのに
もうあれもこれも 読む時間がない
知命の午後の やわらかい光のなか
きまって本棚の隅に 咲くという
まぼろしの詩集を さがしている
なにかを そこなうのを
おそれずに いうなら
ことばは わたしから
あふれて わたしでない
もののために かがやく
高いものの 内部を
はかっては いけません
鳥のことばを
かたったら
遭難します
どこにでも
だれにでも
あるのに
ぼくにだけ ないことの
ほこらかさ
ほしぞらを すぎて
かえってくる
すてて いったものを
ひろい あるいて
くらしに もどる
※BGM→http://momo-mid.com/mu_title/i_riders_i ....
ひざまずけば 祈りの
耳のたかさで やぶれた
約束を ささやきながら
ひらくから とこしえに
きみを わすれない
ふしあわせな こころに
にじを かけそこなった
せつなさの はてを はなで
かざれなかった きみの
ためだけに いきられなかった
倒れている
かわいて ちぢんで
なにものでもなく
大の字になって
雨をまっている
※ 旱天(かんてん)→極暑の候、久しく雨なく照りつづくこと。
木かげに つむじ風の
セーブポイントが ひらいている
冒険のつづきを おもいだしたが
もうしばらく 汗にまみれて
働いてからにしよう と思う
若いときに つくった
地図の上の 砂の都に
いのち からがら
逃げこんだ そのとたん
がらがらと トシをとった
川の上流で
洗いおとした
顔が いくつも
よどみに
たまっている
遺書をかいてから ずいぶん経った
あのころの じぶんと
いまの わたしが 同じである
はずがないので 襟をただして
若づくりを してみる
おくさん わたしね
まいにち あぶられ
むされて もはや
なまもので ないから
あんしんして たべて
投げ網のようなものを
過敏に かわしている
どこへも組織されないから
居場所をもたぬ そういう
たましいの 種類である
もろもろの ゆめの
尾をひいて ひろがる
きずぐちを
つぶさに なめながら
たち去って ゆく
五月の風をゼリーにして
とどける道の途中で
眠りこけてしまった
鳥になるたび 撃ちおとされる
ゆめばかり みていた
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