普段通っている路地の
影にあるもう一つの街

影の街を僕が知ったのは
12の頃で

その頃
父はこの街を出て行った。
霊魂のような声が聴きたい


身をよじらせるだけで震えるだけのこの小さな存在を


昇華して光は色になるのだ。
ただ奇妙に笑う君の夢をみた

君の小さな手を握る夢だ
ふらり
夢がわらった

つないだてが
はなれた

そうして
壊れるまで
みつめていた

再び
わらいあえる日まで
さした花が花瓶を震わせ
波紋を作る

波紋は
カーテンの傍を吹き抜ける風と当たり
砕けていく

砕けた焦点を中心に
陽は射す
或るおかしな人生が終わろうとしてい

煙草の火がさっきから

わたしは震えながら手で三角形を作り

とおしてみた街路の人影を噛み殺す

ちぎれた紙切れに書いておいた「ありがとう」の ....
夕暮れの寂しげな笑顔
ふりかえれば
長い影

子供達の声だけが
薄暗い商店街を
通り抜ける

マントがひらりと
路地裏に消える

ざわめきの向こうに
淀みがちな空が
終末を待 ....
バスケットの
ゆるゆるとした赤い月。
ラベンダーの香りが
階段を伝って匂ってくる。
聞こえるか
石段の向こう
ざわつく駅の周辺に偏在する
倦怠

おおおい
おおおい

ゆりかごにゆられている
温い空気のなかで
草原と云う名の広場に
私は昨日から酒を一瓶担いで
そうしていつのまにか集まってくる
倦怠や寂寥などの鬼と
赤い月を肴に一杯やっている所だった。
地下を抜けて
階段を昇り外へ出ると

どこからか雨が降っている。

どこから降るのか見上げると
灰色の空が視界を埋める。

空一面から
雨の音がする
空間を触ってみた。

階段の手前あたりに
暗く空いた穴に

魂を吐く子供
透明な魂を吐く透明な存在だ。
水の結晶の響く洞窟を歩く
どどどどどどどどどどどどど
水の音が聞こえる
どどどどどどどどどどどどど
満天の苔の空を転回する周転円が
どどどどどどどどどどどどど
春を指した
虚ろな顔だ
巨大な白い顔が僕の頭上を覆うので

口のなかから もう一つ頭を取り出して
紐に括り付けながら空に昇ってみた。


巨大な顔は回転しながらただ泣き叫ぶばかり


視界に広 ....
珈琲の空き缶の蓋から
薄緑の光が立ち上るのがみえた

暗い教室を出ると長い廊下が続いていた。
視点よりはるか先まで
神経が届いてしまうのがわかった。

その先には沢山のドアがついてい ....
一つ
二つ
数えながら歩いている

わらった わらった
影を数えている

花火の影が網膜にちらついているので

手をひいて二人で夜道を帰った。

消えいくものはすべて
かつて私 ....
干からびた時間を笑ってすごす。

白い幕に閉ざされた窓の向こうに
僕の行けなかった黄昏が潜んでいる。

澄んだ青い海を背に小石を拾うと
波の音で囁きはかき消されるのだ

寂しさが満ちる ....
坂の上に のっかっている

そうか こうやって 私は






この雲の先にあるくだらない現実が

本当はすこし好きだったのだ。
私は首が伸びすぎて
身動きすらとれやしない

電車の壁から穴をあけて首を出している。
風を受けるための帽子を被り。

猫はいつから電車に乗れるようになったのだ。
不遜な態度で時計を眺めて ....
また 音が する
また 雨のように 

鉛色の空のせいで
部屋が暗くなるんだ

枕のそばに
携帯の点滅する光

また 音がする
雨が叩くように 戸を叩く幻聴を聞く

あ ....
遠くに見えた空き缶の色は
ぼくにとって空の色だった
沈んでいく雲の色だった

どぶ川に浮かぶ自転車のサドルに
腰掛けていた

マンションの屋上には
淀んだ雲が腹をのせている

 ....
狂っていると
おじさんはぼくに言う

ぼくはじぶんのほうが狂っていると言いたいのだが
おじさんのからだがどんどん捻じれてくるので
怖くて言えなかった

そうだおじさんが今死んだら
捻じ ....
ひっくりかえって
わらってるじゃないか

わたしはヅ上に広がるビルの隙間を縫う

灰色の



と駆け出し




ああ、思い出というにも
おぼろげな


 ....
粉々に どうか


それは皆 粉体に紛れるように


に紛れる ただ ネオンの 美しさ



路上に舞う粉体の体をした 平の上で。 
足跡が一つ
僕の前の廊下に
ついている。
あまりにも小さく
不気味な足跡

ひょっとすると
僕のお母さんかもしれない
そう思って跡をつける

足跡が一つ
部屋のカーテンの影に
 ....
少年が指差した向こうから

手を繋いでやってくる 暗い空

雲が沈んでいく 

坂を登った先を

僕は手を併せて この暗い大空を迎える
壁の向こう側を
幻視する

真夜中の花火

身体は溶け出して
分解される

空中に映し出された
追憶の景色

クルクルと
鉄くずがまわると

小さく鳴り出す
不安定な ....
子供が扉をあける 暗がりの重い扉を

そして漂うように群集を掻き分けると

重い扉の先の道を一人で歩いていく。

鋼線の擦れ合う音が身体を刻んでいく。

ふと、懐かしい声が耳もとをかす ....
今日は月夜かと思ったら。
空にあいた穴からボトボト蛍光色の液体が流れてきた。

筏でも作ってあの穴まで漕いで行ってやろう。

穴はいくつも空いていき、様々な蛍光色の液が混ざり合って
風景が ....
佐藤伊織(359)
タイトル カテゴリ Point 日付
影の街[group]自由詩4*06/4/9 19:41
自由詩2*06/3/15 1:31
自由詩2*06/3/15 1:29
わらいあえる日まで自由詩1*06/2/27 17:03
自由詩3*06/2/27 16:51
電線に吊るされたまま発信しているテレビのようなそれ自由詩0*06/2/24 21:06
ざわめき自由詩0*06/2/4 18:12
香り自由詩1*06/1/30 3:23
ゆりかご[group]自由詩2*06/1/8 17:02
[group]自由詩0*06/1/8 16:42
[group]自由詩5*05/12/10 2:42
空間自由詩4*05/11/29 22:09
洞窟自由詩1*05/11/28 0:00
虚ろな顔[group]自由詩1*05/11/20 23:17
学校自由詩1*05/11/4 3:47
花火[group]自由詩5*05/10/18 23:51
砂浜自由詩1*05/10/10 0:17
坂の自由詩4*05/9/22 2:38
[group]自由詩1*05/9/15 23:07
[group]自由詩2*05/9/2 21:25
空き缶[group]自由詩4*05/8/11 23:04
捻じれ自由詩2*05/8/2 10:18
ヅ上自由詩1*05/8/1 15:03
紛体自由詩2*05/7/25 16:58
お母さん[group]自由詩6*05/7/23 20:37
暗い空自由詩3*05/7/14 17:23
追憶自由詩2*05/7/6 4:40
[group]自由詩3*05/6/8 14:12
月の穴[group]自由詩14*05/6/2 0:47

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