あの星はもう死んだという。

その知らせが今届いた

楽しげな絵葉書にのせて
降ってこい

あっちから こっちまで
遠くで一つ 近くで一つ

早く
早く

急がなきゃ

サイレンが
大きくなる前に

浮力で浮き上がっていく
僕の学生服

雲の隙間 ....
東通りを歩いている

歩調にあわせて動き出す炉の

焼き焦げ一つの

多くの星は今私の眼にはなく

焼き焦げた一つの

形があるばかり
点と点をつないで
海岸を無数の貝殻を踏んで歩く

やがて落ちるだけの


大きな

*
点と点をつないで
星座をつくるように窓の外
どこにもない
ただ落ちるだけの
硝子板
 ....
結晶がやがてバラバラになる
その秒数を数えている

唱えていた呪文が
わからなくなった朝に

私はぐるぐると
テーブルのまわりを廻りながら
世界を憎んでいた

私の呪文
生きてい ....
わらったの


そのために

わらったの



少し甘いものを食べたの




お母さんが最後に



あかい



あかい

*

最後に残したお ....
*

ゆめの形をたどって
かくある という言葉を
隠しておく

あなた

小さくうなずくのは
あなたではなく

*

空間を触る


*



*

おお ....
やがて雨がふり
話はつき


花のひとひら
散るだろう
写真を撮りたいときは
いつだって真夜中で

撮れる技術やカメラは
いつも
僕の手にはなかった


夜が集まって静かに騒ぎだす
黒い影
夜の一つ一つに色をつける

黒い色は様 ....
あの棟では人が焼かれるそうです

薄い夜のカーテン 眠れるはずもなく

白い一筋の骨

私の白い手
布に包まれた人の細波

めくってみると 波音は静まり

わたしは つまさきで

浜辺に足跡がつかないように

つまさきで
自動ドアを開いた

「雨が降る」と
囁いていく
カキ氷が溶けた後の 蚊の乱舞
 床に描かれた光の窓を 開けようともがいている

犬達は皆 昼間は外にでない
やつらは 過ぎ去った陽光の中を
 影を伸ばしながら歩くのが好きなのだ
いつかみたのは幻なのか彼女の手を
握った夢をみた

夢をみた

小さな手 空
澄んでいた

蒸気があの空中を縫って漂うように
あの頃散っていった一つ一つ
澄んだ空に散らばる小石を拾 ....
ピアノの一音が消えた跡を追うように
虫が数匹宙を舞う

夏が終わったね

古い畳の上で
お茶を淹れながら

誰に向かって
話しているのだろう

いつか
秋の色が
この空を満開 ....
今頃 月の空は
きっと晴れていて
清々しい漆黒の空だろう


宇宙服を着こんで
壁面をそっと蹴って
晴天の黒空に浮かぶ


船の影で明滅する
私の身体


電池の切れた衛星 ....
ある日 上陸した魚の一群が、
砂浜でひなたぼっこをしていた

太陽の光を全身に浴びた魚は
やがて背骨を透き通らせ
口から虹を噴き出した

羽の生えた酸素が空を漂い
酸素が付着した虹は輝 ....
飛んでみたら?

笑顔で 空を飛ぶ

僕に 笑って 声をかける

飛んでみたら?

朗らかで 暖かくて 優しい笑顔

空中で分解した身体から流れる 体液

優しさの中 眩しくて ....
空中から沢山の頭部が落ちてくる
僕はブルドーザーで山を作る

まるでぶどうのようだと思っていたら
用務員のおじさんが皿にそれを盛ってくれた

笑いかけてみると、少しだけ笑ってくれたので
 ....
瞳の奥の
あの壁の隅

目をあわせていないと
[世界]は通信をやめるから

こっちにきて
始めようよ

階段は放課後
窓の光から影を作り出し

影に隠れたあの子は
一人通信を ....
「それ」は立ったまま枯れていた

純水の雨が
ビーカーの中で
音もなく


黄砂の舞う海
は 枯れた鉢の上

無数の猫の鳴きまねを
する
唇が暗い空に
浮かんでは消える

 ....
祈りは
誰かにむけるのではなく
私の中に沈んでいくだけだった



地下鉄は
風景なんて
みえないんだ


しらなかったよね
電車に乗って
どこまでも
見渡す限り
風景が ....
自転車で宿舎に帰る道は
いつも決まって霧の中だった

不意にあらわれる人を避けると
濡れた草が足を撫でた。

- - - - - - - - - -
やがて記憶の中には
雨が降ってく ....
前に来たときは

僕の知っている
道だった。



やがて

僕の友達が
やってくる
さよならをいいに



友達は
この道を行くのだ


さよなら

さよな ....
鉄の匂いを
僕は知っている

あの金属のぬめりを
僕は知っている

太陽が反射する

鉄の匂いもそうやって
空中に反射されて
四方に鉄の柱を
延ばし続ける

一面にはえた鉄の ....
*

切り傷から咲いた花が

たちあがる

*

地下鉄で
音が 途切れた

窓は
暗い地下室を

映す為にある。

イヤホンで振動するのは
微かな
電車の心音
 ....
*
タキオンが像を結び
無数のクラゲが空から
淡い光を放つ

*
どこまでも歩いていっても元に戻ってしまう
三畳間の宇宙に

*
生まれてから白痴に至る世界

*
笛を吹いて ....
海が みえるよ
海が みえるから

砂浜に座って
雨が降るのを待っている

海に
海に
世界とは万華鏡に映った地獄である。

それが風に吹かれてくるりと回っている。
柔らかかった
抱きしめたまま消えたかった
刻み付けた記憶は

それでも
原型をとどめぬくらい
淡い靄がかけられ

誰なのか
柔らかさだけが残った
佐藤伊織(359)
タイトル カテゴリ Point 日付
暑中見舞い[group]自由詩309/8/3 0:09
降ってこい自由詩109/8/3 0:08
東通り自由詩109/8/2 23:14
点と点自由詩109/7/19 3:39
結晶自由詩009/7/19 3:34
わらったの自由詩0*09/7/11 3:17
三唱自由詩1*09/7/11 3:15
水中花自由詩2*09/4/25 2:22
夜の写真自由詩4*09/2/28 4:32
焼き場自由詩3*09/1/21 2:01
自由詩3*09/1/16 19:05
自由詩2*09/1/12 1:00
[group]自由詩4*08/12/3 2:38
[group]自由詩5*08/11/30 14:02
夏の終わり自由詩008/10/26 2:03
月の空[group]自由詩3*08/9/8 21:59
旅人自由詩2*08/7/21 23:26
校庭[group]自由詩1*08/6/26 9:03
ぶどう[group]自由詩2*08/6/1 0:54
自由詩1*08/4/21 1:28
[group]自由詩0*08/2/4 3:14
地下鉄自由詩6*07/12/30 3:12
[group]自由詩0*07/12/24 17:31
せめて空なんて飛ばずに[group]自由詩3*07/10/8 1:12
金属[group]自由詩3*07/9/10 8:25
地下鉄自由詩2*07/8/15 2:13
自由詩4*07/6/10 22:08
自由詩4*07/5/13 19:14
世界自由詩2*07/5/10 0:36
柔らかさ[group]自由詩0*07/5/4 2:03

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